医療コラム

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2017年8月号

脂肪肝

消化器内科/袴田 拓

 最近テレビでは美味しい料理やスイーツを紹介する番組が目白押しで、食レポタレントさんたちも大忙しです。美味しい食べ物に恵まれているのはよいのですが、一方で近年日本人は脂肪肝の人が増えています。成人男性の3分の1、成人女性の5分の1が脂肪肝という報告もあります。アルコールの飲みすぎが原因というイメージが強いですが、まったくお酒を飲まない人の脂肪肝がむしろ増加中で、原因はやはり食べ過ぎ。肥満の方はもちろん、さほど太っていない方でも、食べ過ぎ・運動不足で脂肪肝を指摘されるケースが増えています。

1. 脂肪肝に含まれる怖い病気

このアルコールよりも食べ過ぎが原因でなる脂肪肝の2~3割に「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)」という怖い病気が含まれることが解っています。肝臓に脂肪が沈着するだけでなく炎症が加わり、進行性に悪化して肝硬変や肝臓がんになることもあります。日本人の3~5%に認められ、男性では30歳から40歳の中年層に、女性では50歳以降(閉経期以降)で急増すると言われています。

2. 脂肪肝はどうすれば避けられるの?

消費されなかったエネルギーは肝臓に中性脂肪として蓄積していき、それが過剰になると脂肪肝になります。菓子類、ファーストフードなどの高脂肪食の増加によって近年では小児の脂肪肝もみられます。しかし脂肪の摂りすぎだけが悪いのではなく、過剰な炭水化物(糖質)・タンパク質摂取もみな脂肪肝の原因になります。特に依存性も指摘される糖質の過剰摂取にはくれぐれも注意したいところです。糖質の中でも特に脂肪肝に直結しやすいのが「果糖」です。字から判る通り果物にも含まれる糖ですが、加工食品の「果糖」の方がより注意が必要です。誰もがおいしいと感じる炭酸飲料、ゼリー、アイスばかりかケチャップやたくあんの味付けにさえ利用されています。それらを一切口にするな、というわけではありませんが、脂肪肝を指摘されている方は少し注意してください。商品のラベルを見て「果糖ぶどう糖液糖」「ぶどう糖果糖液糖」「果糖類」「異性化液糖」「砂糖(=ぶどう糖+果糖)」といった記載に敏感になってください。

3. 脂肪肝の検査

脂肪肝を診断するためのもっとも簡単な検査は「腹部超音波検査」です。脂肪が過剰に付いた肝臓は超音波を反射して、通常より白く光って見えます。脂肪の付かないお隣りの腎臓と並べて観察すると、コントラスト(差)がはっきり見えます。血液検査ではAST(GOT)、ALT(GPT)、γGTPなどの肝機能に異常値を示す方が多いですが、示さない方もいますので油断できません。疑わしい方は積極的に画像検査を受ける必要があります。当院では昨年「MRエラストグラフィー」という最新の画像検査を導入しました。これは肝臓の脂肪濃度を数値で測定する検査ですので、超音波検査よりも脂肪肝の程度をより詳しく評価できます。

4. 脂肪肝の治療

脂肪肝の治療に使える薬はいくつかありますが、頼りになる薬があまり無いのが現状です。やはり中心になるのは食事療法運動療法です。極端なダイエットはいりません。むしろバランスのよい食事を規則正しく摂り、有酸素運動(ウォーキングなど)無酸素運動(筋力トレーニング)を組み合わせて根気よく行うと、次第に余分な脂肪の燃焼が進み健全な肝臓に向かいます。

筋力トレーニングで筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、黙っていてもエネルギーの燃焼が進みます。当然、お腹回りもすっきりし、体力も向上し若々しさが取り戻せます。トレーニングの具体的方法は、年齢・性別・スポーツ経験の有無・怪我や他の病気の有無などによって変わってきますので専門の医師やスポーツインストラクターなどと相談しながら決めるのが良いでしょう。

公開講座のお知らせ

平成29年8月30日(水) 侮るなかれ、脂肪肝~お酒だけがその原因ではありません~

当院では脂肪肝ドックで肝機能や疾患の有無、肝臓の状態を詳しくチェックしています。

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