2019年6月号 ドクターコラム

糖尿病にならないための食事、
なった時の食事をどうする?

糖尿病・内分泌代謝内科

掲載日:2019年6月 (更新:2022年7月14日)

根本にある忘れてはいけない大原則

  • 糖尿病にならないための食事、なった時の食事をどうする?
  • 最近、糖質制限ダイエット、ベジファースト、〇〇を摂ると体に良いなど、太らないための食事、糖尿病にならないための食事方法が、テレビや様々なメディアで取り上げられるようになってきています。

    多くの意見や様々な考えが入り乱れており、それを見る消費者、患者様は何が正しいかわからないまま、メディアで言われるがままに、その方法や食べ物に飛びついて失敗している姿をよく目にします。

実際に、糖尿病にならない/なった時の食事については、糖尿病を専門にしている自分でも、これが正しい、これが間違っているとクリアカットには言えない現状があります。ここでは、自分が知る限りの正しいとされていることをご説明しようと思います。

〇〇を摂ると体にいいと言って、それを大量に摂取しても体にいいものは葉物野菜ぐらいである

よくバランスのとれた食事という言葉でまとめられますが、何かを大量にとって体にいいものは基本的にはないと思ってください。

主食(炭水化物)は白米よりも玄米や穀米、食パンよりも全粒粉

  • 主食(炭水化物)は白米よりも玄米や穀米、食パンよりも全粒粉
  • 玄米、穀米、全粒粉のパンには、食物繊維が多く含まれています。食物繊維全般に、噛む回数が増える、胃液や唾液が分泌されて胃の中で膨らむ、胃の中でとどまるといった作用があり、満腹感が得られることが言われています。そのため、白米や食パンよりも、玄米、穀米、全粒粉のパンの方が良いと考えられます。

タンパク質は加工肉を控えて、ナッツ類や豆類を摂りましょう

  1. ナッツ、くるみは摂った方が良い
    注意:摂るとしても、オイルや塩分、添加物がない味付けされていないものにしましょう。
  2. 豆類は摂った方が良い
    注意:食品交換表を見ると、そら豆とグリンピースはご飯や麺類と同じ炭水化物の分類となっているため、血糖を上げやすい特徴があります。
  3. 加工肉(ソーセージ、ベーコン、ハム)は控えた方が良い

ナッツやくるみ、豆類は料理の中で積極的に使った方が良いとされていますが、根本にある忘れてはいけない大原則にあるように、健康のために大量に摂取すればいいかというとそうではありません。そのため、間食自体はお勧めしませんが、お菓子の間食をするよりは、ナッツやくるみの方がベターであると考えます。

ベジファーストが重要な理由

  • ベジファーストが重要な理由
  • 葉物の野菜に関しては、根本にある忘れてはいけない大原則に反し、ある特定の病状(腎臓が悪い、カリウムが高いなど)がなければ、大量に摂ってもいいかもしれません。葉物野菜だけは基本的にはいくら摂っても0kcal。
    注意:トマトやにんじんは少しカロリーのある野菜なので、摂りすぎには注意が必要。

    そして、もう知っている人が多いと思いますが、ベジファースト=野菜から食べることはとても重要です。野菜から摂ることで、食物繊維を摂取することができ、先ほども言ったように、噛む、膨らむ、胃の中に留まるので、満腹感が得られて、食後の血糖を抑え、太りづらくなります。

野菜ジュースは積極的にはお勧めしていません

野菜ジュースは、野菜にとって最も大切で、血糖を下げてくれる食物繊維がそぎ落とされています。また、噛まずに飲んでしまうこと、大抵は果物やカロリーのある野菜(トマトやにんじんなど)が入っていることで、血糖を上げ、太る原因になってしまうからです。

野菜以外でカロリーがあまりなく、食物繊維を多く含む食べ物としては、海藻・こんにゃく・キノコなどが良いでしょう。

これらの食品は基本的に0kcalで、食物繊維を多く含むため、野菜と似たような効果があります。積極的に摂っていきましょう。