2019年9月号 ドクターコラム

尿路結石症について

尿路結石破砕治療センター センター長 荒川 孝

尿路結石症とはどんな病気?

  • 尿路結石症とは
  • 尿路結石症は尿の中に溶けにくい物質が結晶を作り、結石となって尿の通り道(尿路という)に存在し、様々な症状を出してくる病気です。尿路結石症は腎結石(腎臓結石)、尿管結石、膀胱結石、尿道結石の総称です。

原因は?

尿路結石の90%近くを占めるカルシウム結石は、多くの因子が関与している多因子疾患です。腎臓・尿路の異常(尿路奇形、腎機能障害、尿細管障害)、結石形成過程の異常、尿中物質の排泄異常、環境の異常(気温、年齢、遺伝、人種)などさまざまな要因が挙げられます。そのため尿路結石の原因は?と問われてもクリヤーカットな説明が出来ないのです。一方で、疫学的な側面から見た尿路結石形成リスクというものが有用な知見となってきます。性別では男性に多く、男女比は2.4:1です。

どのような症状が出てきますか?

血尿と疼痛がよく知られている症状ですが、小さな腎臓結石では血尿も疼痛も見られないことがあります。大きな腎臓結石では背部に違和感や、顕微鏡で認められる程度の血尿(顕微鏡的血尿)や尿路感染症を指摘されることがあります。腎臓結石が動いて尿管に移動してくると目で見て分かるような血尿(肉眼的ける尿)と(図1)に示すような典型的な範囲に激痛を感じることがあります。膀胱結石は無症状なことが多いので、知らないうちに驚くほど大きな結石になってしまうこともあります。尿道結石は強い排尿困難を感じ、時に尿を自力で出せない尿閉という状態になる事があります。

右尿管結石の移動による疼痛の範囲の変化

診断方法は?

人間ドックや健診などで受けた超音波検査、CT検査で初めて尿路結石を診断される患者さんが増えてきています。こうして見つかった患者さんの多くは無症状です。一方、前記したような症状で救急病院に運ばれ、最初に超音波検査で水腎症を指摘され次に尿潜血の有無とCT検査を行って最終的に診断が確定する患者さんや、最初から CT検査だけを受けて診断される患者さんもふえています。その後の泌尿器科受診の段階で、尿沈渣検査と腹部単純X線写真が行われ結石の大きさや、存在する位置を確認します。小さなカルシウム結石やある種の結石は写真に写らないこともあります。患者さんにとっては理解しやすい造影剤を使用した診断方法もありますが、最近では実施する施設が減ってきました。

診断を受けたら治療はどうなるの?

時に人間ドックで大きな腎臓結石を指摘される患者さんがいます。大きすぎて動かず症状がない場合にそのまま経過を見る方針を立てられる事がありますが、必ず一度は泌尿器科の診察を受けてから判断した方が良いでしょう。そのような結石は放置するといずれ結石のある方の腎臓の機能を著しく低下させてしまう事があるからです。ひどい疼痛があって駆け込んだ内科の先生や夜間救急病院の先生が診断してくれた尿管結石についても、泌尿器科では結石の状況を判断して、疼痛管理をした上で経過を見ても良いのか、薬剤を使って自然に排石させることが出来るのか、すぐに結石を破砕して治療しなければならないのか患者さんに適切に説明してくれるはずです。結石を破砕する方法には、体の外から砕く方法体の中に内視鏡を入れて砕く方法があります。