2020年5月号 ドクターコラム

泌尿器科 徳山 尚斗

夜間のトイレの回数が増えた、
これって異常?

夜間のトイレの回数が増えた、これって異常?

  • 夜間のトイレの回数が増えた、これって異常?とは
  • 夜間のトイレに行く回数が増え、十分な睡眠が取れない、日中の体調不良に繋がっているなど、私が外来をする中でも困っている方が多くいらっしゃいます。夜間頻尿は特に高齢者で多い傾向にあり、下部尿路症状の中でも生活の質を低くする症状の一つであると考えられています。

夜間頻尿とは

夜間のトイレの回数が増えてお困りの際、どのような基準を持って泌尿器科への受診を検討すれば良いのでしょうか。夜間頻尿とは国際尿禁制学会の定義によると「夜間排尿のために1回以上起きなければならない状態」とあります。しかし、実際は本人やその介護者がまず治療を希望しているかどうかが重要となります。通常は2回未満の夜間排尿回数は正常とみなされ、2回以上が治療対象となる場合が多いです。特に高齢の方では床に就く時間が早く、回数が必然的に増える可能性も潜んでいます。

夜間頻尿の原因

夜間頻尿の原因には様々なものがありますが、多尿、夜間多尿、膀胱蓄尿障害、睡眠障害の4つに大別されます。もちろんこの中の原因が複雑に重なり会うことも考えられます。夜間頻尿の原因を調べるときに参考になるのが排尿日誌です。図に例を示しますが、排尿の回数、時間、排尿量を表に記載します。これを元に排尿回数と昼間と夜間の排尿量の割合をチェックします。膀胱や前立腺など下部尿路に異常がある場合は頻尿が昼間も存在することが多いです。多尿や夜間多尿が原因であれば、排尿量の増加が確認されます。 多尿、夜間多尿は日頃の生活習慣(水分摂取、アルコール、カフェインの摂取など)の改善で効果があることも多いため、排尿日誌でのセルフチェックをお勧めします。

多尿は1日24時間の尿量が体重(kg)×40(mL)以上の場合、夜間多尿は夜間尿量/24時間尿量が0.33以上(若年者は0.20)と定義されています。

排尿日誌の例
夜間頻尿の原因

夜間頻尿の治療のイメージ

泌尿器科で行う治療は基本的には膀胱または前立腺などの下部尿路の形態的、機能的異常(過活動膀胱、前立腺肥大症など)に伴う症状に効果があります。ただし、夜間頻尿という症状には意外にも内科疾患や睡眠障害が潜んでおり泌尿器以外の問題であるケースが多いのが事実です。多尿、夜間多尿は先に述べたように生活指導で改善する場合と高血圧糖尿病睡眠時無呼吸症候群などがベースにある場合があります。既に疾患をお持ちの方は適切にコントロールされているか確認していただくことも必要です。また下肢のむくみがある人は夜間に横になることで腎臓へ戻る水分が増加し、尿量が増えると考えられています。睡眠障害についても排尿回数が多くて夜間に起きてしまう場合と睡眠が浅いせいで、起きた時に排尿に行っている場合があります。後者の場合は睡眠障害の専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

今回は非常に多くの方がお困りの夜間頻尿に関するトピックについて述べさせていただきました。泌尿器科での精査と共に、ベースとなるご自身の生活習慣や内科疾患、睡眠障害などを見直してみることも非常に有用です。参考になれば幸いです。

【参考資料】
日本泌尿器科学会 夜間頻尿診療ガイドライン
日本泌尿器科学会 男性下部尿路症状、前立腺肥大症診療ガイドライン
日本泌尿器科学会 女性下部尿路症状ガイドライン