肉離れ・肉ばなれ(筋損傷)|スポーツ整形外科|整形外科

肉離れ・肉ばなれとは

肉ばなれはランニングやジャンプなどで突発的に強い伸長力(引き伸ばされる)が筋肉・腱膜・骨付着部に働くことで起こるスポーツ外傷です。収縮しようとしている筋肉に強い伸長力がかかる(遠心性収縮)によって、筋肉や腱膜、場合によっては筋腱の骨付着部で損傷するのが肉離れです。

一般的にはハムストリング(太ももの後ろ)や大腿四頭筋(太ももの前)、腓腹筋(ふくらはぎ)に起こることが多く、重症の場合にはブチッ、ベリッというような破断音を感じる人もいます。

受傷後は損傷部のストレッチによる痛みや圧痛(押したときの痛み)、収縮させたとき(力を入れたとき)に痛みを感じます。診断はMRIによって行い、重症度診断をします。

肉離れの重症度分類

  1. Ⅰ型(軽症)筋線維部損傷型

    腱膜に損傷がなく、筋肉の出血
  2. Ⅱ型(中等症):腱膜部損傷型

    腱膜の損傷であり、腱膜の骨への付着部は損傷していない
  3. Ⅲ型(重症):付着部損傷型

    腱の骨への付着部が剥がれる損傷

(これに加えて各タイプで、それぞれ3段階の損傷度分類があります:JISS分類)

ハムストリング肉離れのMRI(STIR像)

  • Ⅰ型Ⅰ型
  • Ⅱ型Ⅱ型
  • Ⅲ型Ⅲ型

肉離れの治療

治療において重要なのはまずちゃんとした診断をつけることです。MRIでどの筋肉がどれくらい損傷しているかという重症度診断をして、その上で治療期間が決まります。

治療はまずはストレッチによる痛みや圧痛がなくなってから徐々にリハビリテーションを開始していきます。早く運動に復帰してしまうとまだ治っていない部分で再損傷を起こし、治療期間が延長したり、部位によってはスポーツ復帰のために手術を選択することもあります。

またもっとも重症なⅢ型(骨に付着している部分が剥がれてしまう)場合には、治療期間は長期になり、損傷の部位やスポーツレベルによっては手術によって剥がれた部分を修復する手術が必要になることがあります。

確固たる科学的根拠はまだ不十分ですが場合により、治癒の促進を助けるためにPRP(多血小板血漿)治療をすることがあります。