膝後十字靭帯(PCL)損傷|スポーツ整形外科|整形外科

後十字靱帯損傷(PCL:posterior cruciate ligament injury)

後十字靭帯損傷とは

膝の正面像と側面像膝の正面像と側面像

膝の前十字靭帯とは、後十字靭帯とともに膝の中央(顆間部)でそれぞれの靭帯がお互いに十字になるよう交差しており、膝の安定性をもたらしています。

前十字靭帯損傷の多くがスポーツで受傷するのとは異なり後十字靭帯損傷の多くが交通事故や転落などの高エネルギーによる怪我が多く、そのため複合靭帯損傷(ほかの膝の靭帯も同時に損傷する)や膝関節脱臼に合併することも多いといわれています。膝の前方から強い力が加わることによって損傷するため、乗用車の事故でのダッシュボード損傷やバイクでの転倒によって膝を打ち付けたりすることで損傷します。

後十字靭帯損傷後十字靭帯損傷
  • MRI:後十字靭帯損傷MRI:後十字靭帯損傷
  • 手術画像:後十字靭帯の損傷手術画像:後十字靭帯の損傷

治療について

後十字靭帯は単独損傷では、ある程度機能が残存している例もあり、大腿四頭筋訓練を中心とした保存治療によりスポーツ復帰が可能な症例も多いと報告されています。実際に装具を3か月程度装着し保存療法をすることで、ある程度の機能が温存されることもあります。

しかし、他の靭帯損傷や半月板及び関節軟骨などの損傷が合併する場合には、合併損傷を適切に評価し、治療方針を決定します。一方、損傷から時間が経ってしまった場合、膝の不安定性のため日常生活やスポーツに支障をきたす場合には再建術を検討する場合もあります。