アキレス腱断裂|スポーツ整形外科

アキレス腱断裂とは

アキレス腱はふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋(腓腹筋内側頭・外側頭・ヒラメ筋)が踵の骨に付着している部分の強靭な靭帯です。アキレス腱断裂は30~50歳に多く、運動時にジャンプやダッシュなどで急に下腿後面(ふくらはぎの後ろ)に断裂音(ブチ、バンなど)を自覚し、誰かに蹴られたような感覚を訴えます。受傷後も歩行できることはありますが、つま先立ちはできなくなります。場合によってはアキレス腱が断裂した部分が皮膚上から陥凹(へこんでいる)を見ることができます。

アキレス腱断裂

治療方法

治療は保存治療と手術治療があります。年齢や合併症(ほかの持病など)、スポーツ復帰や仕事の内容など活動性も考慮して選択されます。

保存治療では受傷後、足関節底屈位(足首をつま先立ちのように伸ばした状態)でのギプス固定、その後は6週間かけてギプスや装具をつかって徐々に足関節の角度を戻していきます。保存治療では入院や手術は必要ありませんが、手術治療に比べ松葉杖の使用期間やスポーツ復帰などの治療期間は長くなります。

手術治療では断裂部を糸で縫合します。縫合方法は数多く報告されていますが、当院ではできるだけ解剖学的にしっかりと縫合し、できるだけ確実に早期に社会復帰、スポーツ復帰ができるようにしています。

当院でのアキレス腱縫合術の術後リハビリテーションの例

 (あくまで目安ですので手術の内容や年齢、競技レベルによって変わります)

術後 術後にすぐギプス固定をします
術後1日 松葉杖での歩行(手術した足に体重をかけないように)
術後2-7日 松葉杖での歩行が安定したら退院
術後10-14日 ギプスを切り、足関節の可動域訓練を開始
普段は装具を装着して松葉杖歩行を開始(部分荷重)
術後3週 装具をつけての全荷重歩行(松葉杖なしでの歩行練習開始)
1.2週ごとに装具の踵の部分を徐々に外して足関節を背屈させていきます
術後5週 バイク漕ぎのトレーニング開始、座位でのヒールレイズ(踵をあげる訓練)開始
術後7週 両足立ちでのヒールレイズ開始
術後9-12週 充分な足関節の可動域と両足立ちでのヒールレイズが可能になったら装具を外す
術後12-15週 足でのヒールレイズが20回以上可能となったらジョギングから開始
その後は筋力と状態を見ながらアジリティトレーニングも開始
術後6-7か月 競技完全復帰