反復性膝蓋骨脱臼|スポーツ整形外科|整形外科
(反復性)膝蓋骨脱臼とは

膝の前方にある膝蓋骨が主に外側に脱臼する状態です。膝蓋骨脱臼は様々な解剖学的因子が複雑に絡み合っており、そこに外力が加わって発症します。
膝蓋骨脱臼は主に①外傷性膝蓋骨脱臼(強い外力で発症する)、反復性膝蓋骨脱臼(一度脱臼後に軽い外力で脱臼を繰り返す)、習慣性膝蓋骨脱臼(膝の一定の位置で脱臼する)、恒久性膝蓋骨脱臼(常に膝蓋骨が脱臼している)などに分類されます。本項では日常診療で最も多い外傷性、反復性膝蓋骨脱臼について解説します。
ほとんどの患者さんで解剖学的脱臼素因(脱臼しやすい骨格や関節の柔らかさ)があります。その病態に合った治療方針を決定することが重要です。患者さんの特徴として膝を伸ばした状態で膝蓋骨を内側から外側へ押すと強い不安感や恐怖感を訴えます。

膝蓋骨脱臼の治療
初回の脱臼では基本的に保存療法を選択することが多いです。膝蓋骨を安定させる装具を3か月程度装着し保存療法を行います。筋力訓練や可動域訓練、装具療法などを十分に行っても、ある程度は再脱臼を生じることが報告されており、不安定性が強くスポーツ活動や日常生活に支障がある場合には手術療法を考慮します。
手術療法として、半腱様筋腱(ハムストリング腱)や人工靭帯を用いた内側膝蓋大腿靭帯の再建術(MPFL再建術)や骨切り術(脛骨粗面内方移動術)などが行われます。
内側膝蓋大腿靭帯再建術(MPFL再建術)


靭帯再建により膝蓋骨の大腿骨との適合性が改善している(関節鏡所見)
骨切り術(脛骨粗面内方移動術)
