クリニカルフェロー研修後記|外傷再建センター

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【執筆者】
総合東京病院 形成外科
佐藤 宗範

2021年4月から2025年3月まで、はじめの2年間をクリニカルフェローとして、残り2年はスタッフとして勤務させて頂きました。

私は約10年間形成外科の道を歩んでまいりましたが、手外科や四肢再建に強い関心があり、形成外科だけでは習得できない骨折治療や再建手術を学ぶため本センターで研修をさせて頂きました。

研修初期はカンファレンスで用いられる整形外科特有の用語や議論の流れに全くついていけず、戸惑いの連続でした。しかし、同期フェローや先輩の先生方に支えていただき、症例を通じて少しずつ理解を深めることができました。ディスカッションの場では、私は形成外科出身としての視点から質問を投げかける一方、皮弁や植皮に関しては整形外科出身の先生方にアドバイスをするなど、互いに補い合い、切磋琢磨することができました。このように多職種的かつ学際的な学びの環境は、私にとって非常に刺激的でした。

学んだ内容は多岐にわたります。大腿骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折といった一般的な骨折から、重度四肢外傷、手外傷、骨盤骨折まで幅広く経験しました。さらに、創外固定を用いた変形矯正や難治骨折治療といった特殊な領域にも触れることができ、脊椎外傷を除くほぼすべての外傷治療と再建を網羅的に学ぶ機会を得ました。

これまで形成外科で培った経験を踏まえ、この研修を通じて「四肢外傷の治療を整形外科的治療原則の中でどのように位置づけ、どう活かしていくか」を考えることができました。重症外傷では骨折治療のみならず、皮膚や軟部組織への対応が不可欠です。ここで学んだのは、整形外科と形成外科の知識と技術を統合する“Orthoplastic approach”の重要性でした。本センターはまさにその実践の場であり、日本でも数少ない施設の一つだと実感しています。

多くの病院では整形外科と形成外科が協力して治療を行いますが、ここではさらに一歩先の外傷治療と再建を高次元で融合させています。私自身、形成外科での経験が整形外科的な外傷治療の理解を深め、逆に整形外科の学びが形成外科的視点を補完するという、相互の強みを活かす経験を積むことができました。

本センターでは日常的な骨折治療から重度外傷再建までを経験でき、かつOrthoplastic approachを体現できる環境は極めて貴重で、ここでの研修は大きな糧となるはずです。私自身、この経験を通じて、形成外科と整形外科の双方の視点を融合させた外傷治療の可能性を実感しました。ぜひ多くの若手医師に、この場での学びを体験していただきたいと思います。