クリニカルフェロー研修後記|外傷再建センター

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【執筆者】
奈良県立医科大学高度救急救命センター
小西 浩允 医師

私は2021年7月より2023年6月までの2年間、クリニカルフェローとして勤務させていただいておりました。新百合ヶ丘総合病院での留学前は3年間奈良県立医科大学附属病院救命センターにて重度外傷・多発外傷の治療に携わったことで、将来の進む道として外傷再建医を志し、さらなる研鑽を積むためクリニカルフェローに応募させていただきました。

新百合ヶ丘総合病院外傷再建センターは、整形外科からは完全に独立している「四肢・骨盤外傷再建治療」を専門とした施設です。重度四肢外傷を治療するにあたっては、一般的な骨折治療の知識・技術だけでなく、創外固定器を用いた骨延長・変形矯正、骨盤寛骨臼骨折治療、人工関節も含めた関節再建、マイクロサージャリーといった専門性の高い技術を持つことはもちろん、それらを複合して用いる治療戦略が正しくなければ、満足な治療成績を出すことは困難で、また重症・難治症例に関しては治療を定型化することは困難なためOn the Job Training継続が重要です。

新百合ヶ丘総合病院外傷再建センターでは様々な外傷患者を集約化して、運動機能を元どおりに戻し社会復帰させることを目指しており、急性期の治療のみならず偽関節・変形癒合・関節拘縮・感染といった外傷後の合併症に対する再建治療までを請け負っており、創外固定・骨盤寛骨臼骨折治療・関節再建・マイクロサージャリーすべての技術を用い、ときにコラボレーションすることであらゆる症例に対して最高レベルの治療が可能です。それらの技術を実際に見て学ぶだけでなく、治療戦略を立て実行していく過程を学ぶことでき、どんな教科書を読んだり講演を聞くよりも得られるものは大きいと思います。

毎朝おこなわれる症例検討カンファレンスでは難治症例の重症度と治療の難解さ、ディスカッションのレベルの高さに、留学当初は先生方が何を言っているのか十分に理解できず、今後このままこの病院で勤務を続けることができるか不安になることもありましたが、2年も経てばレントゲン画像・外表写真を見ただけでその症例の治療方針が想像できるようになり、その通りに治療が行われ、そして怪我・障害が治癒していく姿を見て自分がレベルアップしたことを実感します。

また、私のほかにもフェローとして日本全国のみならず海外からも10年目前後の医師が多数研修にきており、同世代のフェローたちと医局やときには居酒屋で症例に関して熱い議論を交わすことでともに外傷治療に関して研鑽を積むことができました。全国各地の今後の外傷治療を担っていく仲間とたくさん出会えることも新百合ヶ丘総合病院外傷再建センターで研修する大きな魅力の一つだと思います。