糖尿病・内分泌代謝内科

当科の特徴(概要)

「糖尿病なら新百合ヶ丘総合病院へ」といっていただける病院であるため、地域の皆様から信頼を得られるよう、的確な診察と症状に合わせた治療を行います。 医師および管理栄養士、看護師、薬剤師、理学療法士など多種のメディカルスタッフで構成された糖尿病チームが、患者様をトータルにサポートいたします。

また、当科では内分泌疾患(視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、性腺)にも対応しています。内科的診断、画像診断に精通しており診断は迅速に行います。 個々の患者様にあうベストな治療薬で治療し、手術が必要な場合は当院の担当の科か、適切な医療機関へ紹介いたします。手術すべきかどうか、手術に替わる内科的治療はないか、手術後のホルモン異常などについても遠慮なくご相談ください。

当科を受診される方へ

  1. 初診の方は原則として予約制とさせていただいております。
  2. 他院受診歴のある場合は必ず紹介状(診療情報提供書)をお持ちください。
  3. 健康診断で要受診判定とされた場合は、初回受診の際に健診の結果をお待ちください。

対象疾患

代謝性疾患の中で最も多いのは、糖尿病です。

代謝性疾患

  1. 糖尿病
  2. 脂質異常症
  3. 高尿酸血症
  4. 肥満症 など

内分泌疾患

  1. 甲状腺(バセドウ病)、橋本病、甲状腺がん など
  2. 副甲状腺
  3. 下垂体・視床下部
  4. 副腎
  5. 性腺 など

糖尿病

現在の日本では、生活の欧米化とともに糖尿病が増加しています。
日本には予備軍を含めると 全国に2,000万人、国民の6人に1人が糖尿病といわれています。
糖尿病はまさしく生活習慣病の最たる病気なのです。
血糖値が高くなる病気のことを糖尿病といいますが、自覚症状のない場合も多く気づきにくいという特徴があります。

糖尿病は血糖値が高くなる病気

食べ物や飲み物を消化して作られるのがブドウ糖です。ブドウ糖は身体を動かすエネルギー源となるものです。 血液の流れに乗ってからだの細胞に運ばれて、筋肉や臓器で使われます。
血糖値というのは、血液中にブドウ糖がどのくらいあるかを示すものです。

糖尿病になると、ブドウ糖がエネルギーを必要としている細胞の中に運ばれなくなって、血液の中に溢れてしまいます。
インスリンというホルモンが足りなくなったり、うまく細胞に作用しなくなってしまうからです。

インスリン

  • インスリンの働き

  • インスリンは、からだの中で血糖を下げる唯一のホルモンで、食後に血糖が上がりすぎないように調節する働きがあります。 そして、血液中のブドウ糖をからだの細胞に送り込み、活動エネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンというものに変えて、エネルギーとして蓄えておくようにする働きがあり、ブドウ糖のコントロールをしています。
    インスリンが不足したり、うまく作用しないと、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなって、血液中のブドウ糖が使えなくなり、血糖値が上がってしまいます。 そうなると、筋肉や内臓にエネルギーが運ばれないため、全身のエネルギーが足りなくなってしまいます。

糖尿病の2つのタイプ

糖尿病は、大きく分けて1型と2型の2種類です。日本では全糖尿病患者の約95%が「2型糖尿病」と言われるタイプです。

1型糖尿病

すい臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプです。 子供や若い人に多く見られますが、中高年にもみとめられます。

2型糖尿病

インスリンの分泌量が不足したり、働きが悪くなるタイプです。 主に40歳以降に見られますが、若年発症も増加しています。

  • 糖尿病の主な原因

  • 遺伝的要因に環境的要因が加わって発症すると言われています。環境的要因として大きくかかわっているのが、肥満、過食、高脂肪食、運動不足、ストレス、喫煙などの生活習慣です。

    家族や親せきなどの血縁者に糖尿病の人がいる場合、そうでない人と比べて、過食や運動不足によって糖尿病を発症する可能性が高くなるので、生活習慣を改善するとともに、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。

主な症状

糖尿病は、自覚症状がなく、知らない間に進行していることが多い病気です。 下記のような自覚症状がある場合は、病状がかなり進んでいる場合もあります。

◆トイレによく行く(頻尿)・尿の量が多い(多尿)
◆いつものどが渇いている(口渇)・よく水分をとる(多飲)
◆だるい・疲れやすい
◆たくさん食べても体重が減る・すぐにお腹がすく
◆手足がしびれる・つる・けいれんが起きる・目がかすむ

内分泌疾患

内分泌とはホルモンとほぼ同義です。ホルモンの主な作用は成長、生殖、抗ストレス、恒常性(緻密な体内環境)維持です。 内分泌疾患はホルモン産生臓器・器官に発症する病気で、全身に広く分布します。 内分泌の臓器には、視床下部(間脳)、下垂体(前葉、後葉)、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓、腎臓、性腺などがあり、複数のホルモンを分泌する器官です。たとえば、下垂体だけでも8種類のホルモンが産生されます。

内分泌の病気の特徴の一つは、単独で起こるのみならず、複合的にも起こることです。とくに視床下部は下垂体を、下垂体は甲状腺、副腎、あるいは性腺を制御するという巧妙な3段階の調節を受け、常に連動して働いているので、視床下部の病気はそれだけ影響が大きいといえます。また、一つの臓器の病気で別の臓器の病気、例えば甲状腺の病気で不整脈、高脂血症や糖尿病が起こり、副腎の病気で高血圧、糖尿病や慢性腎臓病が起こるため、高血圧、肥満、糖尿病、心血管疾患などの一般的な病気の原因として、内分泌の病気が隠れている可能性があります。 もう一つの特徴は、内分泌の病気は現れ方がホルモン欠乏症と過剰症として全く異なった表情(症状)を呈することです。症状の重さもさまざまであり、重症では症状だけで診断できることもありますが、軽症では見逃されることも稀ではなく、心身症などと誤診されることがあります。  さらに病態が複雑なことも特徴で、あるホルモンの値が本来ならば低下、または増加しているはずの状態にもかかわらず、本来の反応を示さないことがあり、これを不適合(不適切)分泌と呼びます。 高齢者に多い電解質異常、特に低ナトリウム血症を起こす抗利尿ホルモン(ADH)不適合分泌がその代表です。

以上のように、内分泌疾患は、多臓器、多ホルモン、単独・複合臓器異常、ホルモン欠乏・過剰・不適合分泌という、極めて多彩で複雑な症状を呈することがご理解いただけると思います。

検査内容

糖尿病の検査

空腹時血糖検査

食後一定の時間絶食した状態で採血した血液の中に、ブドウ糖の量がどのくらいあるかがわかります。 正常型:100mg/dl 未満

HbA1c検査

過去1~2ヵ月間の平均的な血糖値がわかります。 正常値:4.6~6.2%(NGSP)

糖尿病の合併症のチェックのために、以下のような検査も施行します。

  1. 神経障害のチェック:アキレス腱反射、振動覚、神経伝導速度、CVRRなど
  2. 網膜症のチェック:眼科受診(眼底検査)
  3. 腎障害のチェック:eGFR、尿中アルブミン、尿たん白、血清クレアチニンなど
  4. 骨粗鬆症のチェック:骨密度検査
  5. 動脈硬化のチェック:頸動脈エコー、ABI/PWVなど

他にもさまざまな検査があり、必要に応じて追加します。

甲状腺(バセドウ病)の検査

バセドウ病の検査は、血液検査が中心で、血液中の甲状腺ホルモンの量を測定し、過剰になっているかどうかを調べます。バセドウ病であれば、甲状腺を刺激する特殊な抗体(TSHレセプター抗体)が血液中から検出され、この抗体が存在すればバセドウ病と診断されます。
多くの方は血液検査で診断がつきますが、なかには血液検査だけでは診断がつかない人もいます。その場合は、 アイソトープ(放射線ヨウ素)検査を実施します。これは、ヨウ素が甲状腺に集まりやすい性質を利用したものであり、バセドウ病であれば、甲状腺ホルモンを大量に作るために、甲状腺に非常に多く放射性ヨウ素が集まります。 検査方法としては、患者さんにヨウ素のアイソトープ(放射性ヨウ素)を服用してもらい、アイソトープが甲状腺全体にたくさん集まれば、バセドウ病と診断します。

糖尿病教育入院

糖尿病治療目標

日本糖尿病学会では糖尿病治療の目標を、血糖、体重、血圧、血清脂質を良好にコントロールすることで、糖尿病細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)および動脈硬化疾患(虚血性心疾患、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症)の発症と進展を阻止し、健康人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持し、健康人と変わらない寿命を確保することとされています。

糖尿病教育入院とは

※最近は「教育入院」とは言わずに「学習入院」と言われるようになりました。

教育入院は、上に述べた日本糖尿病学会の治療目標の達成のために、有効な手段と言えます。当院では、患者さんやご家族の方が糖尿病を正しく理解して頂ける事を目標に「糖尿病教育入院」を実施しています。当院の医師をはじめ、医療スタッフ(糖尿病療養指導士、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士)が患者さんの療育サポートをします。

糖尿病教育入院について詳しくはこちらをご覧ください。

よくある質問

当院の糖尿病教育入院について

期間はどれくらいですか?
6泊7日の入院で、保険適用できます。
費用はどれくらいですか?
A:医療保険3割負担の方で約10万円の費用負担となります(費用は目安)。
※個室使用の場合、別途費用がかかります。
糖尿病患者さんはどの位いるの?
2016年時点で、日本では1000万人に達し、40歳以上では6人に1人程度の割合となっています。食生活の欧米化に伴って増加していると考えられています。しかし治療を受けている方は半数程度で、残りの方は放置しています。
糖尿病は何が怖いの?
糖尿病は、インスリンの働きが低下し、血糖値が高くなる病気です。 重要なのは、高血糖によって全身の血管が障害されることです。また、免疫力が低下し様々な感染症にかかりやすくなります。著しく血糖が上昇すると昏睡状態となることもあります。
血管障害とは具体的にどんなものなの?
細い血管の障害の代表が、網膜症、腎症、神経障害で3大合併症と言われています。 網膜症は失明原因の2位(年間3,500人)、腎症は人工透析導入の原因の1位(年間13,000人)となっています。また太い血管の障害(動脈硬化)に は、脳梗塞、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症などがあります。
合併症にならないためには?
合併症はすぐに起こるわけではなく、5~10年以上血糖コントロールが悪い状態が続くと起こります。早めにしっかりと治療し、良いコントロールを持続 すること(具体的にはHbAlcを6.5%未満に維持する)が重要です。「糖尿病と診断されたけれど放置していた」ということだけは避けたいものです。
「糖尿病教育入院」となっていますが、なぜ「教育」が必要なの?
糖尿病は治るものではなく、一生付き合っていく病気です。付き合い方を間違えなければ、問題はないのです。そのためには、病気の正確な知識、食事療法や運動療法を身につけ、患者さんが意識を持って生活することが重要となります。教育入院ではこの付き合い方を学ぶ良い機会を提供します。
そのプログラムはどんな内容なの?
糖尿病食に慣れる、運動療法の実践、血糖自己測定、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士からの講義・指導・糖尿病関連の検査、 病態に合わせた治療法の選択などを適切に盛り込み、充実した1週間とします。
多職種による説明とはどういったことですか?
医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士などの専門家が以下のような内容をご説明致します。
・医師:糖尿病の診断や治療、合併症について
・臨床検査技師:糖尿病や合併症の診断のための検査について
・管理栄養士:食事療法の内容と方法について
・理学療法士:運動療法の内容と方法について
・薬剤師:糖尿治療薬の種類や効果、服薬時の注意点など
※外来予約はコールセンターで受け付けております。
入院希望の場合はどうすればいいの?
まず、コールセンターで予約を取られてから糖尿病専門外来を受診して下さい。その診察の中で入院の予約をします。

血糖コントロールが不良な方の場合には、必要によりインスリン導入などを含む糖尿病治療入院も随時行っています。入院期間は2~3週間となります。詳しくは糖尿病外来にご相談下さい。