掲載日:2025年5月29日
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一口に肥満といっても、単純性肥満、肥満症、内臓脂肪型肥満、二次性肥満といろいろあり、治療の必要のないものから早期の治療が望ましいものまでさまざまです。
「肥満」は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算される体格指数(BMI: Body Mass Index)が25以上と定義されます。なお、肥満の程度に応じて、BMI 25~30を第1度肥満、BMI 30~35を第2度肥満、BMI 35~40を第3度肥満、BMI 40以上を第4度肥満と分類し、BMI 35以上を高度肥満とまとめることもあります。身長、体重と肥満度の関係について表にすると以下のようになります。

BMIは25以上あるが健康障害を伴わないものを(単純性)肥満と呼び、治療する必要はありません。
減量治療が必要な肥満を「肥満症」と言い、具体的にはBMIが25以上で下記11の肥満が原因または関連する健康障害を合併している病態です。
- 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞・一過性脳虚血性発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
- 肥満関連腎臓病
脂肪のつく場所の違いにより、「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型」肥満に分けることもあります。内臓脂肪型肥満は、内臓の周りに脂肪が蓄積するもので、男性に多く、お腹まわりが目立つのが特徴で、俗に「リンゴ型肥満」と呼ばれます。一方、皮下脂肪型肥満は、皮膚の下に脂肪が蓄積するもので、女性に多く下半身に脂肪がつきやすいのが特徴で、俗に「洋ナシ形肥満」と呼ばれます。
「内臓脂肪型肥満」は臍レベルのCT断層像で内臓脂肪面積が100㎠以上で定義されますが、CTは日常診療では行わない検査なので、代用指標として、ウエスト周囲長が使われ、男性85cm以上、女性90cm以上です。「内臓脂肪型肥満」はメタボリックシンドロームの構成要素のひとつであり、動脈硬化をはじめ多くの健康障害が起こりやすい病態です。

頻度は多くありませんが、肥満の原因が明らかなものを二次性肥満と言い、肥満の10%前後を占めると推定されています。内分泌性肥満、薬剤性肥満、遺伝性肥満、視床下部性肥満が含まれ、専門的な診察・検査で診断されます。
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