掲載日:2025年5月27日
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当科は「糖尿病・内分泌代謝内科」という名称です。「糖尿病」はよくご存じでも、「内分泌代謝」という言葉はなかなかイメージが湧かないかもしれません。「内分泌代謝」とは、体内のホルモンバランスの維持や代謝機能(栄養の利用、エネルギー産生など)の維持を担うシステムのことです。
内分泌とは、ホルモンを生成し、それを血液中に直接放出することで、体内の様々な臓器や細胞に作用させる機構です。全身には多くの内分泌を担う臓器や細胞がありますが、その代表的なものを図に示します。

代謝とは、体内で物質が化学的に変化していく一連の反応のことです。食事から摂取した栄養・酸素・水分などから、からだを構成する物質やエネルギーを合成したり、それらを分解・排泄したりする化学反応を指します。代謝は、生命活動を維持するために不可欠なプロセスです。
ホルモンは代謝の調節に大きく関与しています。つまり、「内分泌」と「代謝」は密接な関係があるので「内分泌代謝」と一緒にして呼ばれることが多いのです。内分泌は代謝の調節以外にも、体の発育、成長、生殖などの重要な役割を担います。また、代謝は、遺伝、食事、運動などによっても影響を受けます。
内分泌疾患には様々な疾患がありますが、大多数はホルモンの分泌異常(過剰や不足)や内分泌臓器の腫瘍で起こります。中でも甲状腺疾患が最も有病率が高い疾患です。
また、代謝疾患は糖代謝、脂質代謝、核酸代謝、骨代謝、エネルギー代謝などさまざまな代謝の調節異常によって起こります。それぞれ、糖尿病、脂質異常症、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、肥満症が代表的な疾患ですが、いずれも有病率が高いです。
近年、がんの治療に、ノーベル賞を取られた本庶佑先生が開発された免疫チェックポイント阻害薬が使われるようになり、治療成績が格段に良くなりました。ただ、副作用として、甲状腺疾患、脳下垂体疾患、副腎疾患、1型糖尿病などの内分泌代謝疾患が起こりやすく、当診療科でもしばしばコンサルトを受けるようになりました。
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