肥満症外来|専門外来|糖尿病・内分泌代謝内科

肥満症外来の開設

肥満症の概要については、コラム「さまざまな肥満」をご参照ください。従来の肥満症の治療は食事・運動療法が中心でしたが、十分な治療効果が上がる方は一部に留まっていました。BMIが35kg/㎡以上の高度肥満症の方の一部には胃部分切除などの手術療法が行われ十分な減量効果が得られていましたが、やはり手術となると簡単ではなく、日本で手術可能な施設も限られていました。

しかし、2024年にセマグルチド(商品名:ウゴービ)、2025年にチルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)という1週間に1回皮下注射を行う薬物療法が保険医療の対象となり、減量効果も大きいため、今後の肥満症治療の主な治療法になると思われます。

肥満症の薬物療法は適正な使用が求められるため、厚生労働省がガイドラインを作成し、日本肥満学会から「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」が出されています。当科は施設要件を満たし医師要件を満たす専門医も在籍しているため、2024年から薬物治療を開始していますが、院内の体制も整ったため2025年6月から正式に「肥満症外来」を開設することにしました。

対象患者

肥満症と診断され、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、以下のいずれかに該当する方です。

  1. BMIが27kg/㎡以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
  2. BMIが35kg/㎡以上の高度肥満

治療の流れ

肥満症の基本である(管理栄養士による)食事療法および運動療法・行動療法を2カ月に1回以上の頻度で6カ月以上行っても十分な効果が得られない場合で、医師が薬物療法の対象として適切と判断した場合にはじめて薬物療法を考慮します。したがって、肥満症外来を受診しても必ずしも全員が薬物治療を行うわけではないことをご理解ください。

日本肥満学会HPより【引用元】日本肥満学会HP「一般の皆さまへ」を一部改変

薬物療法開始にあたっては看護師から自己注射指導を受け、ご自身でセマグルチド(商品名:ウゴービ)またはチルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)を週1回の皮下注射を行います。薬物は少量から開始し、効果や副作用を確認しながら4週間の間隔をあけて徐々に増量していきます。そして現時点では薬物の最大投与期間が68~72週間となっています。

日本人を対象とした治験では平均で10~20%を超える減量効果が得られています。ただし、2024年から始まったばかりの治療であるので、有効性・副作用や薬物投与を終了した後の体重の推移については今後の報告を待つ必要があります。

診療日

【予約制】

  1. 月曜日、火曜日、木曜日 9:00~10:00
  2. 水曜日 9:00~10:00、14:00~15:00

外来予約については「ご来院の方へ」をご覧ください。