内視鏡治療|治療方法|消化器内科(内視鏡内科・肝臓内科)
内視鏡治療とは
私どもは、患者さんの症状につきまして、心身両面からのケアに心掛けています。
体の中に口や肛門からレンズのついた管を差し入れて、病気の診断・治療を行うことです。 内視鏡治療の中でも1990年代半ばに胃がんの治療のために開発された技術をESD(Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)といい、早期の胃がんの治療可能な範囲を格段に広げた施術方法です。
新百合ヶ丘総合病院では、 早期胃がん、胃腺腫、早期食道がん、早期大腸がん、大腸腺腫に ESDを活用しています。
ESD(Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)とは
1990年代半ばより先進的施設において、比較的大きな胃の腫瘍を一括切除するための内視鏡手技として胃のESDが開発されました。
ESDでは従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)では切除できなかった大きな病変であっても一括切除が可能で、一括切除することによって局所再発を防ぐだけではなく、正確な病理組織診断が可能となり、治癒判定や追加治療の必要性の判断が容易となりました。
胃ESDは2006年4月に保険収載され、胃ESDの技術は食道や大腸にも応用され食道ESD、大腸ESDとして現在行われています。
一方でESDはEMRに比べて技術的に難易度が高いこともあり、出血や穿孔等の合併症の頻度が高く十分な訓練と経験を持った医師が治療することが望まれます。
当院では先進施設でESD実績のある専門医が治療を行っています。
当院で施行されているESD
早期胃がん・胃腺腫に対する胃ESD
早期食道がんに対する食道ESD
早期大腸がん・大腸腺腫に対する大腸ESD
早期胃がんにESDが適応される範囲
ESD治療の適応範囲は、リンパ節転移のない早期胃がんであることが前提となります。
※リンパ節移転の可能性があっても、ESD治療が行える場合もあります。
絶対適応病変
- 20mm以下・粘膜内癌・分化型・潰瘍なし
- 20mm以上・粘膜内癌・分化型・潰瘍なし
- 30mm以下・粘膜内癌・分化型・潰瘍あり
- 20mm以下・粘膜内癌・未分化型・潰瘍なし
適応拡大病変
- 絶対適応病変に対する初回治療としてESD/EMRを行い、組織学的に分化型癌で水平断端陽性/不明瞭となった後に、肉眼的粘膜内癌で局所再発した病変
相対適応病変
- その他の病変の標準治療は外科的胃切除術ですが、年齢や併存症などからこれが難しい早期胃がんの場合は、内視鏡的切除が選択される場合があり得ます
早期胃がん・胃腺腫におけるESDの治療方法
手術は鎮静剤や鎮痛剤を投与した上で、通常の内視鏡検査と同様に内視鏡室で行います。 本手術では電気メス(高周波ナイフ)を用いて病変を周囲粘膜ごと切除してきます。
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病変の範囲を内視鏡で観察した後、病変周囲に印(マーキング)をつけ切除すべき範囲を決めます。
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病変および周囲の粘膜下層に専用の液体を注入して病変を十分に浮かせます。
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病変および周囲の粘膜下層に専用の液体を注入して病変を十分に浮かせます。
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粘膜下層の繊維や血管を直視下に確認しながら少しずつ剥離し、最終的には病変を周囲粘膜ごと一括切除します。
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切除後に血管の凝固処置を行い、検体を回収して終了となります。
胃ESD治療の偶発症
ESDに特徴的な偶発症としては、術後出血と穿孔があります。
術後出血(約4%)
基本的には内視鏡的処置で対処可能である場合がほとんどですが、まれに輸血を要することがあります。また、血管塞栓術や緊急手術が必要となったという報告もあります。
穿孔(約2%)
手術中に腸管壁に穴が開いてしまうことがあります。多くは内視鏡的に穿孔部位を閉鎖し保存的加療で軽快しますが、穿孔の程度や腹膜炎症状の増悪によっては緊急手術が必要となる場合もあります。
胃ESD治療の流れ
外来受診の予約
ESD治療をご希望の際は、まず外来診療を受診してください。
当院では、初診でも予約が取れます。お待たせしないためにも、予約されることをお勧めします。
外来診療予約 TEL 0800-800-6456 (月曜日~土曜日9:00~17:00)
入院期間
入院予定期間は、治療前日の入院で退院まで7日間程度となります。 また、術後問題なければ治療翌日より食事開始となります。
退院後指導
退院後、1週間程度は禁酒、消化の良いものを栄養士の指導のもと摂取して頂きます。 また、激しい運動も避けて頂きますが、それ以外に関しては入院前と同様の生活を送ることが可能です。
外来通院
退院3-4週後の外来で、主治医より切除した病変の病理検査結果の説明を受けて頂きます。 その際に追加治療の有無や以後の内視鏡検査間隔等も合わせて説明致します。
食道・大腸ESDについて
当院ではESDの熟練した専門医によって食道ESD・大腸ESDに関しても積極的に治療を行っています。
入院予定期間は、治療前日の入院で退院まで食道ESDで7日間程度、大腸ESDで5日間程度となります。
※胃ESDのみならず、食道・大腸に対する内視鏡治療に関しても、ご不明な点があれば気軽にご相談ください。