対象疾患|消化器内科(内視鏡内科・肝臓内科)

対象疾患

  1. 食道疾患(逆流性食道炎、食道がん)
  2. 胃疾患(胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん)
  3. 腸疾患(大腸炎、炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がん)
  4. 肝疾患(ウイルス性肝炎、肝硬変、脂肪性肝疾患、自己免疫性肝疾患、アルコール性肝疾患、薬物性肝疾患、肝臓がん)
  5. 胆道疾患(胆石、総胆管結石、胆のう炎、胆管炎、各種胆道系腫よう疾患『ポリープ、がん等』)
  6. 膵疾患(急性膵炎、慢性膵炎、各腫よう疾患『充実性腫よう、膿胞性腫よう』)

当院における消化器内視鏡検査数はこちら

食道疾患について

食道とは

食道は、咽頭と呼ばれる「のど」と「胃」を結ぶ管状の臓器で、口から入った飲み物や食べ物を胃まで運ぶ役割があります。食道全体の長さは約25 cmで、喉に近いほうから頚部食道、胸部食道、腹部食道の3つの部分に分けられます。

食道の病気

1 胃食道逆流症(逆流性食道炎)

胃食道逆流症(GERD)は胃酸が十二指腸の方に流れずに食道の方に流れてしまう病気です。過度の飲酒・肥満・食道裂孔ヘルニア・胃切除後・薬剤による影響などが原因となることがありますが、いずれも胃酸を含む胃内容物が食道へ逆流することで発症します。

自覚症状は胸焼け・胸の痛み・飲み込みづらさ・咳など多岐にわたるため、個々の患者さんにあった治療選択が必要です。症状や身体診察に加えて、内視鏡検査(胃カメラ)を用いて診断します。症状の強さや内視鏡所見の程度により、薬物(制酸剤・胃粘膜保護剤など)を用いて治療することが基本になります。

胃食道逆流症について治療を希望される方は、当院消化器内科にご相談ください。

2 食道がん

食道がんは、初期には自覚症状がないことがほとんどです。早期発見の機会としては、検診や人間ドックの際の、内視鏡検査(胃カメラ)や上部消化管造影検査(バリウム食道透視検査)があります。

がんが進行するにつれて、飲食時の胸の違和感、飲食物がつかえる感じ、体重減少、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が出ます。これらの症状は肺や心臓、のどなどの病気でもみられますが、食道も検査することが大切です。

食道がんの発生する主な要因は、喫煙と飲酒です。特に日本人に多い扁平上皮がんは、喫煙と飲酒との強い関連があります。熱いものを飲んだり食べたりすることが、食道がんができる危険性を高めるという報告もあります。

食道がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には当院消化器内科まで、早期に受診、相談することをお勧めします。当科では適応病変であれば、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)での治療を行っています。

胃疾患について

胃とは

食道を通ってきた水分や食べ物を蓄える袋状の臓器です。胃酸やペプシンという消化酵素を分泌し、食物を消化する働きがあります。飲み込まれてきた病原体を胃酸によって殺菌する働きもあります。

胃の病気

1 胃炎(慢性胃炎、萎縮性胃炎)

胃炎とは胃の内側の粘膜が炎症を起こした状態のことを言います。胃炎と一口に言っても、表層性胃炎やびらん性胃炎、 萎縮性胃炎など様々な種類の胃炎があります。その中では、萎縮性胃炎なのか、そうではないのか、が最も重要です。人間ドックの結果を見て、 慢性胃炎や表層性胃炎とだけ書かれているものに関しては、症状がなければ特に気にする必要はありません。

しかし、萎縮性胃炎と書かれていた場合は、ピロリ菌にかかっている(あるいは、昔かかっていた)可能性があります。ここでは萎縮性胃炎を中心に紹介したいと思います。

萎縮性胃炎とは、小さいころから何年もかけて胃が荒らされ続けて胃の皮が薄くなってしまうことを言います。胃カメラを見るだけで、その薄くなっている様子が観察できますので、ピロリ菌がいる(あるいは、いたことがある)というのが分かります。

胃炎に関するよくある質問

2 胃潰瘍

胃の病気と聞くと誰もが思い浮かべる病気だと思いますが、具体的には胃の内側の粘膜がある程度深いところまで剥がれた状態のことをいいます。胃潰瘍になる原因は、ピロリ菌によるものと痛み止め(NSAIDsと言われる鎮痛薬)の内服によるものがほとんどですが、 場合によっては胃癌でも胃潰瘍を伴うことがあります。ストレスで起きるイメージがあるかもしれませんが、現在では胃潰瘍の患者さんのほとんどは、ピロリ菌か鎮痛薬が背景にあることがわかっています。

胃潰瘍に関するよくある質問

3 胃ポリープ

胃内視鏡検診の結果に胃ポリープとだけ書かれた際は、ほとんどが胃底腺ポリープを指しています。胃底腺ポリープとは、 「胃が元気な証拠のポリープ」です。

ポリープと聞くと、ほとんどの方は「えっ、取らなくていいの?」 と思われるかもしれませんが、大丈夫です、このポリープは取らないで結構です。

確かに大腸のポリープはいずれ癌に育つ可能性がある、 癌の「芽」であることが多いのですが、 胃底腺ポリープは癌に育つことはまずありません。むしろ胃底腺ポリープはピロリ菌に感染していない場合に多くみられます。

もう一つ、胃の中には過形成性ポリープと呼ばれるタイプのものもあります。こちらもほとんど癌になることはありませんが、ピロリ菌による萎縮性胃炎に合併することがあります。ごく稀に癌化することがありますので、年1度定期的に胃カメラを受けていただくことをお勧めします。

4 胃がん

胃がんとは、胃の表面の上皮の細胞が悪性化する病気です。悪性化とは無秩序に細胞が増殖しながら周囲に侵食していく (浸潤する) 能力と、血管やリンパ管に入り込んで、他の臓器に転移するという能力を身につけてしまうことを言います。がんの進行度を表すいわゆるステージは、癌細胞が表面からどれだけ深くまで浸潤しているか、あるいはリンパ節や他の内臓にどれだけ転移しているかによって決まります。

胃がんの原因のほとんどはピロリ菌の感染によるものです。胃癌を起こすピロリ菌は東アジア地域に多く、ある意味、日本人の風土病のようなものです。特に早期の胃癌に関しては、条件が合えば日本で開発され、お腹を切らないですむ胃カメラでの手術 (内視鏡的粘膜下層剥離術:ESDといいます) が可能です。当院はこの内視鏡治療に力を入れており、近年症例数も増えています。詳細につきましてはこちらのページをご覧下さい。

ここでは特に早期の胃がんに関して説明させていただきますが、進行胃癌があったといわれた方に関しては、 ステージにより手術や抗癌剤での治療などの様々な治療法がありますので、ご自身の担当の先生に詳しくお聞き下さい。

胃がんに関するよくある質問

腸疾患(小腸・大腸)について

腸とは

口から入った水や食べ物は、食道、胃を通過した後、腸に流れ込みます。腸は、大きく分けると6-7mの小腸と1-1.5mの大腸に分類されます。さらに小腸は、口に近い方から、十二指腸、空腸、回腸に、大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分けられます。小腸は栄養分と水分を吸収し、大腸は水分を吸収します。栄養と水分が吸収された食物の残りは、便として肛門から排泄されます。

腸の中には、約1000種類、100兆個の細菌が存在していると言われ、善玉菌と悪玉菌のバランスの乱れにより、さまざまな病気が引き起こされることが報告されています。

腸の病気

1 大腸炎

大腸炎の中には感染性腸炎、虚血性腸炎、炎症性腸疾患などさまざまな病気が含まれます(炎症性腸疾患に関しましては次の項をご確認ください)。大腸炎で最も思い浮かべやすいのは嘔吐や下痢が頻回に出て腹痛があると言った症状でしょう。

特に上記の症状を認めた上に血便が出るような場合には注意が必要です。血便が出るような感染性腸炎は重症化することがあるため、入院での加療が必要になることがあります。感染性腸炎の治療は絶食、点滴加療を基本とし、重症な場合には抗生剤での加療が必要になります。

また、腸を栄養する血管の一部が詰まって、腸粘膜の血流障害を来すと虚血性腸炎を引き起こします。虚血性腸炎の典型的な経過は、便秘をしていた方が、急に左側のお腹が痛くなって、下痢をし、血便が出るというものです。虚血性腸炎は見た目の出血量が多く感じますが、腸の安静を行い、点滴加療でよくなることが多い疾患です。

ただし、血便が出る疾患の中には命に関わるようなご病気もございますので、血便が出た際には外来でご相談ください。

2 炎症性腸疾患

炎症性腸疾患には潰瘍性大腸炎やクローン病が含まれます。

炎症性腸疾患は免疫の病気であり(自己免疫疾患)、本来はご自身の体を守ってくれる免疫細胞が間違って、ご自身の腸を攻撃してしまうような病気です。症状としては血便や下痢、腹痛があり、その症状が数週間から数ヶ月及ぶ場合には外来を受診して下さい。免疫が関与する病気ですので、その治療も専門性が高く、多岐に渡ります。

当院には炎症性腸疾患の専門医がおりますので、上記のような症状に当てはまる場合には、ぜひご相談ください。

3 大腸ポリープ

大腸ポリープには大きく分けて、がんに変わる可能性があるタイプの大腸ポリープとがんに変わらないタイプの大腸ポリープがあります。がんに変わる可能性があるタイプの大腸ポリープを我々は大腸腺腫と呼び、この腺腫は内視鏡的切除の適応があります。内視鏡的切除に関しましてはCFP・CSP(コールドポリペクトミー)、Polypectomy、EMR、ESDと言われる様々な手技があり、その腫瘍にあった治療法を選択し行っていきます。内視鏡治療の詳細に関しましては内視鏡治療の項をご参照ください。

大腸ポリープは基本的には自覚症状がなく、内視鏡をして偶然見つかるという方が大半です。

4 大腸がん

大腸がんはその名の通り大腸に発生するがんで、上記の大腸ポリープから変わる大腸がんと正常粘膜から直接発生する大腸がんの二通りがあります。

大腸がんは早期の段階では症状が出現することはほとんどなく、症状が出現した時にはかなり進行していることが多いとされております。大腸がんの早期発見には便潜血の検査が用いられています。便潜血の検査では大腸がんである方を見つけ出す割合(感度)は30.0~92.9%と報告されており、日本での検診を毎年受診することで大腸がんを60%減らせる可能性があると報告されております。便潜血の検査で陽性になった際には大腸内視鏡検査を受けていただくことをお勧めします。

また、血便、便が細くなることや急な便秘は進行大腸がんの症状とされています。そのような症状が出てきた場合には早めに外来受診をご検討ください。

大腸がんの治療法は、病気の進行度によって異なります。早期大腸がんの中で大腸壁の浅い部分にのみ腫瘍細胞がある場合には内視鏡的に治療をすることが可能です。こちらは大腸ポリープの時と同様、内視鏡治療の項をご参照ください。

進行大腸がんはステージにより治療法が変わってきますが、外科的治療、化学療法(抗がん剤治療)などが選択されます。


肝疾患について

主な症状

肝臓に障害がみられてもすぐに症状が出ないことが多く、そのため肝臓は「沈黙の臓器」といわれています。
障害が高度になると
・目や体が黄色くなる(黄疸)
・手のひらが赤くなる(手掌紅斑)
・体の表面の細い血管が浮き出てくる(血管腫)
・出血しやすくなる(出血傾向)
・口臭がある
・おなかがふくれてくる(腹水)
・すぐ眠ってしまう(肝性脳症)
などの症状がみられることがあります。進行すると食道の静脈が太くなり(食道静脈瘤)、出血して吐血をきたすこともあります。

主な原因

ウイルスによる肝炎とウイルス以外が原因で起こる肝障害とに分けられます。
ウイルス以外が原因で起こる肝障害には、脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、薬物性肝障害、自己免疫性肝疾患、先天性肝疾患などがあります。

ウイルス性肝炎

感染しているウイルスにより、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎と名付けられています。 D型肝炎は日本ではあまり見られません。 A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎は、いずれも急性肝炎で発症することがあります。 A型肝炎とE型肝炎は、主に食物を介して感染し、ときに集団での感染が見られます。

肝炎が重症化すると肝臓の機能が低下し、肝不全に陥り、出血傾向、肝性脳症、腹水などが出現することがあります。 この状態を 劇症肝炎といい、患者さんの生命が危険な状態に陥るため集中的な治療が必要になります。 内科的な治療では約40%、肝移植では約70-80%が救命できるといわれています。

B型肝炎、C型肝炎は慢性化することがあり、適切な経過観察や治療が必要です。 これらの肝炎は、患者さんの血液や体液が、傷口や粘膜に接触することで感染します。感染源が特定されないこともあります。

B型肝炎は、新生児期や幼少期に感染すると高率に慢性化します。

近年、成人での感染でも慢性化する例が増加しています。ウイルスの増殖を抑制する薬( 核酸アナログ製剤、インターフェロン)が開発されており、適切に使用することで、肝炎の進行を抑えることが可能になってきました。

C型肝炎は、急性肝炎で発症した際に無治療で放置すると、70%が慢性肝炎になります。 適切に治療を受けると90%は慢性化を阻止できます。

C型肝炎が慢性化した場合には、 内服薬での治療により、大きな副作用なしに約95%程度の方はウイルスを排除できるようになりました。治療を行うかどうかについては、検討が必要ですので、担当医にご相談ください。慢性肝炎が進行すると肝硬変に至り、さらに肝臓がんを合併することがあります。

ウイルス A型肝炎 B型肝炎 C型肝炎 E型肝炎
潜伏期間 2-6週 2-6ヶ月 2週-6ヶ月 2-5週
慢性化 なし あり あり なし
劇症化 0.1 % 1-2 % 0.1 % 2-5 %
予防ワクチン あり あり なし なし
集団感染 あり なし なし あり
感染経路 食物から 感染 血液、体液から感染 血液、体液から感染 食物から 感染

脂肪性肝疾患

脂肪性肝疾患と診断するには、ほかに肝障害の原因となる病気がないかを精査し、画像上肝臓に脂肪の沈着があるかどうかをみることが重要です。脂肪性肝疾患の中には、 単純性脂肪肝と、進行して肝硬変に移行する可能性がある脂肪性肝炎とがあります。

肝硬変に至ると肝臓がんを合併する可能性があります。 脂肪性肝炎は肝生検を行い診断します。治療で重要なのは、まず食事療法と運動療法で体重を減らしていただくことです。薬物での治療効果は限られています。

自己免疫性肝疾患

免疫とは、本来は外界の細菌、ウイルスやその他の微生物から体を守るために備えられている人体の機構です。リンパ球やマクロファージといった免疫細胞が微生物の体内への侵入を感知し、感染に対して人体を守る働きを示します。しかし、さまざまな要因によりその機構が異常反応を起こすことにより、免疫細胞が自分自身の肝臓を攻撃してしまうことがあり、そのような病態を自己免疫性肝疾患と呼んでいます。

自己免疫性肝疾患には、 原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎があります。いずれも難治性ですが、早く病気を見つけることにより、病気の進行を遅らせることができる場合があります。

アルコール性肝疾患

アルコールの過剰摂取により、肝臓は障害を受けます。進行度や病態により、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝線維症、アルコール性肝硬変に分類されます。肝臓を守るためには、とにかく禁酒をお守りいただかなければなりません。禁酒をお守りいただかなければ、病気の進行を食い止められません。

薬物性肝疾患

どのような種類の薬や健康食品でも肝障害を起こす可能性があります。薬は必要なものを最小限飲んでいただくことをお勧めします。

薬物性肝障害が疑われた場合は、対象となる薬物をすぐに中止することが何より重要です。

その他の肝疾患

肝臓に銅がたまるウイルソン病、鉄がたまるヘモクロマトーシス、特殊な蛋白質がたまるアミロイドーシスなどがあります。

胆道感染などにより肝臓に膿がたまる 肝膿瘍という病気もあります。健康診断の超音波検査でしばしば見つかる肝嚢胞や肝血管腫も定期的な検査をお勧めします。

肝硬変

肝疾患が進行すると肝臓に線維化が起こり、肝臓が次第に硬くなっていきます。さらに進むと 肝硬変に至ります。肝硬変は各種肝疾患の終末像と言えます。

肝硬変の原因は、ウイルス性(75%)、アルコール性(10%)が多く、そのほか脂肪性肝炎、自己免疫性などが挙げられます。肝硬変が進むと肝臓が機能しなくなり、肝不全という状態になります。その際には、黄疸、浮腫、腹水、肝性脳症、出血傾向などの症状が現れますが、肝硬変の初期にはこれといった症状がみられないこともあります。

まず肝障害の原因への対策が重要で、ウイルス性の場合には可能であれば抗ウイルス療法、困難であれば肝庇護療法を行い、アルコール性の場合は禁酒が必要です。腹水、脳症や合併しやすい 食道静脈瘤(食道表面の血管のこぶ)に対する対策も必要です。

肝がん

他の臓器からの転移を除けば、肝臓がんの中で一番多いのは肝細胞がんです。肝細胞がんは、その80~90%がウイルス性肝炎の方です。その他、アルコール性肝疾患、脂肪性肝疾患などが基礎疾患としてみられることが多く、肝障害がない方にいきなり肝細胞がんが出現することは稀です。

治療法としては、外科的切除、ラジオ波焼灼療法、経カテーテル的肝動脈塞栓術、肝動注化学療法、分子標的薬治療などが挙げられます。腫瘍の大きさや個数、肝機能の状態、全身状態により治療法を選択します。

胆道疾患(胆嚢・胆管)について

胆嚢・胆管とは

胆道は、肝臓でつくられる胆汁を小腸に送る働きをしており、胆管・胆嚢・十二指腸乳頭という3つの部分に分けられます。どこかで胆汁の流れが妨げられ、胆汁の鬱滞が続くと黄疸がみられるようになります。

胆道(胆嚢・胆管)は腹部の上奥側にあります。結石や炎症のように強い症状を急に引き起こす事もありますが、症状が出にくい腫瘍の場合には、病状がすすんだ状態で発見される傾向があり、その診断・治療には高い技術を要します。

当院では、無症状でも人間ドックで異常を指摘された患者さんや突然の腹痛で救急搬送された患者さんまで毎日多数の患者さんの診療を行っています。患者さんの病状に応じて、緊急検査や処置も積極的に行い、必要時には消化器外科とも連携をとり、患者さんにとって最善の加療を行うように心掛けています。

また、胆膵領域の第一人者である、埼玉医科大学国際医療センター消化器内視鏡科良沢昭銘教授、帝京大学溝口病院消化器内科准教授土井晋平准教授が毎月、当院で検査・治療を行なっています。

胆道(胆嚢・胆管)の病気胆道(胆嚢・胆管)の病気の種類

胆道(胆嚢・胆管)の病気

どこかで胆汁の流れが妨げられると痛みや炎症を引き起こし、胆汁の鬱滞が続くと黄疸がみられるようになります。

1 胆道結石(胆石、総胆管結石)、胆嚢炎、胆管炎

胆嚢や胆管には結石ができることが知られています。多くは胆嚢内にできますが、総胆管や肝内胆管にできる事もあります。胆嚢に結石があっても無症状である事も多く、症状が出るのは約20%といわれています。無症状であっても年1~2回の腹部超音波検査での経過観察が望ましいですが、積極的な治療の対象にはなりません。胆嚢結石が胆嚢と総胆管の交通を妨害し胆汁が流れなくなると、右季肋部痛を引き起こします。胆嚢内に細菌が感染すると急性胆嚢炎となり、高熱・右季肋部痛が持続する事も多く、早期の治療が必要になります。

急性胆嚢炎では、絶食・抗生剤投与により改善しない場合には、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)や内視鏡的胆囊ドレナージ(ERGBD)、場合により緊急手術を行う事もあります。

胆管に結石が存在する総胆管結石は無症状のこともありますが、多くの場合が腹痛や黄疸などの症状を伴います。感染を起こすと急性胆管炎となり、発熱も伴います。細菌が血液の中に侵入する敗血症という状態になりやすく、悪化すると意識障害やショックを伴うことがあります。そのため、すみやかに内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行い、胆管ドレナージや胆管結石除去を行う必要があります。

2 胆嚢腫瘍(胆嚢ポリープ、胆嚢がん)、胆管癌

胆嚢の内側に隆起した病変を胆嚢ポリープと言います。腹部超音波検査で見つかることが多く良性のものが大半を占めますが、中には悪性のもの(=胆嚢がん)が存在しており、定期的に経過観察していきます。特に大きさが1cm以上ある場合、経時的に増大する場合には注意が必要で、造影CTや超音波内視鏡内視鏡検査(EUS)などでより詳細な検査を行い、胆嚢摘出術を行うことがあります。

膵疾患について

膵臓とは

膵臓は胃の背側にある20cmほどの横長の臓器で、膵頭部・体部・尾部の3つの部分に分けられます。膵臓には何らかの原因で炎症が起きることがあり、膵炎と呼ばれます。また、良性・悪性の腫瘍ができることもあります。

膵臓の働きは、大きく分けて2つの働きがあります。

1 消化液の分泌:外分泌機能

食べ物を消化する膵液を作り、十二指腸に送り出す働きがあります。

2 血糖の調節:内分泌機能

インスリンやグルカゴンなどの血糖を調節するホルモンを分泌します。

膵臓の検査

採血、腹部超音波検査、CT、MRI、内視鏡検査を用いた、内視鏡的逆行性胆道膵菅造影(ERCP)、超音波内視鏡(EUS)などがあります。当院では、いずれの検査も施行可能です。はじめは、負担の少ない検査(採血、超音波、CT、MRI)を行い、精密検査や治療のために内視鏡を用いたERCPやEUSを行います。また、膵臓は体の奥の方にある臓器であるため、一つの検査では判断しにくいことが珍しくなく、複数の検査を組み合わせて、診断に役立てています。

膵臓の病気

1 膵炎

何らかの原因で膵臓に炎症が生じることを膵炎といいます。上腹部 (正中から左側が多い) や背中の痛みや吐気がみられ、発熱や黄疸を伴う事もあります。急激におきた場合には急性膵炎と呼ばれます。膵臓に繰り返し炎症がおきると、膵臓が徐々に小さくなり線維化や石灰化を起こすことも知られており、慢性膵炎と呼ばれます。

1)急性膵炎

比較的、突然の発症で、お腹の上の方に強い痛みを感じます。吐き気や嘔吐、発熱を伴うことも多いです。
原因は、アルコールが40%ほどと言われていますが、アルコールが膵炎を起こす仕組みはまだわかっていません。他には、胆石や高中性脂肪血症、薬剤性、膵管癒合不全などの先天的な形態異常などが報告されていますが、原因不明(特発性)の場合も散見されます。

急性膵炎になると、膵液に含まれる消化酵素により膵臓が自己消化されてしまい、感染などを合併することが多くのケースで認められます。食事をとると悪化するため、入院での治療が必要な病気です。多くの場合、点滴加療により改善が期待できますが、重症化が予想される場合には、膵酵素阻害薬(タンパク分解酵素阻害薬)、抗生剤などで治療を行い、厳重な管理が必要です。膵炎改善した場合でも、膵臓壊死や膵仮性嚢胞に感染を伴う際には、長期間に及ぶ治療を要する事もあります。

膵炎の怖いところは、治療を開始しても、悪化することがある点です。悪化して重症急性膵炎となった場合、呼吸の悪化や腎機能障害なども起こして多臓器不全となり、生命に関わる事態となることがあります。
胆石が原因の場合は、内視鏡による胆石治療(ERCP)も並行して行っていきます。

2)慢性膵炎

膵臓に長期間に炎症が起き、膵臓が徐々に硬くなり(繊維化)、膵臓に石(膵石)が出来る病気です。繰り返した炎症によって生じた膵管の狭窄や膵石が膵液の流出を阻害し、疼痛や炎症の原因になります。膵臓の働きが低下し、消化機能が低下し、糖尿病を発症することがあります。

原因の約7割は長期かつ大量のアルコール摂取によるものと言われていますが、原因不明のこともあります。腹痛や背部痛、倦怠感を自覚されることが知られています。

アルコールが原因である場合には禁酒をし、痛みに対しては鎮痛薬や蛋白分解酵素阻害薬も使用します。膵管狭窄や膵石が問題となる際には、内視鏡を用いてステント留置などの治療を行うことがあります。
膵がんを合併する頻度も高いと報告されています。

3)自己免疫性膵炎

自分自身の免疫の働きの異常により膵臓に炎症が起きて膵臓が腫れる病気です。

はっきりとした原因はまだ解明されていません。症状としては、膵がソーセージのように腫れることによって、膵臓の中を通る膵管が細くなり、胆汁の流れる道である総胆管を圧迫して起こる黄疸症状が最も多い症状だと言われています。倦怠感や腹痛や糖尿病の急激な悪化なども症状として知られています。

診断には、血液検査、CT、MRI検査をまず行いますが、診断を確定させるために、 内視鏡を用いたERCPやEUSが必要になります。これらの検査で、黄疸の改善を図り、膵臓の細胞診、組織検査を行います。

血液検査では、ガンマグロブリンやIgG、IgG4の値が高くなります。IgG4関連疾患(硬化性胆管炎、硬化性唾液腺炎、後腹膜線維症、腎症など)を合併することが時々あります。

治療は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)の投与を行いますが、治療初期は入院で行うことが多いです。時に、膵臓がんとの鑑別を要することもあり、注意が必要な病気です。

2 膵臓がん

膵がんは、多くが膵臓内部の膵管(膵液の流れる管)に発生します。一般に膵がんといえばこの膵管にできたがん(膵管がん)を指します。厚生労働省の平成25年度人口動態統計では、わが国の膵がん死亡数は、3万人を超え、悪性新生物による死亡順位も肝がんを抜き、肺がん、胃がん、結腸がんに次いで第4位になっています。

原因は未だ解明されていませんが、喫煙や膵がんの家族歴、慢性膵炎、膵嚢胞性病変:膵管内乳頭粘液産生腫瘍(IPMN)、大量飲酒などがリスク因子として知られています。

初期症状はほとんどないことが多く、発見が難しい病気の一つです。進行するとみぞおちのあたりや背部痛がみられるようになりますが、がんのできる場所によって症状は異なり、十二指腸近くの膵頭部にがんができた場合は黄疸として発症することがあります。また、急な糖尿病の発症や、治療中の糖尿病の悪化、検診での腫瘍マーカーの上昇をきっかけに発見されることもあります。

膵癌が疑われる場合には、血液検査、超音波検査、造影CTやMRIなどで精密検査を行います。さらに必要な場合には、内視鏡検査(ERCPやEUS)による組織の採取など、より詳しい検査を行う事もあります。

治療は、手術可能な場合は、外科手術でがんを切除しますが、早期発見が難しく切除できる患者さんは30%程度となっています。

診断時に他臓器に転移がある場合や周囲の脈管・臓器に浸潤して手術が困難なときには抗がん剤治療が行われます。また、手術可能な患者さんにも、腫瘍が縮小することを期待して手術前に行ったり、術後の再発予防目的に行ったりしています。

膵腫瘍により黄疸が出現した場合(閉塞性黄疸)には、胆汁の流出路を確保するためにERCPによるステント留置など、黄疸を改善させる治療を行います。

膵臓にできる固形の腫瘍の多くは膵臓がんですが、ほかに膵神経内分泌腫瘍(p-NET)といわれる腫瘍が見つかることがあります。p-NETが疑われる場合や癌の確定診断をつける際には、超音波内視鏡下吸引細胞診 (EUS-FNA)を行い病理診断します。

3 膵嚢胞性病変

嚢胞(のうほう)とは、水分や粘液など液体を含んだ袋状のもので、膵臓の内部や周りにできたものを膵嚢胞と言います。近年、検診などで、症状がない状態で発見される事が多くなっています。全人口の2〜3%に合併するという報告もあります。

特に注意が必要なものは、腫瘍性膵嚢胞といって、がん化のリスクを伴うものです。膵管内乳頭粘液腫瘍 (IPMN) が圧倒的に多く見られます。ほかに、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)などが知られています。

典型的な膵がんとは異なり、良性から悪性までさまざまであり、まずは正確な診断が必要になります。MRCPや造影CT、超音波内視鏡検査 (EUS)、ERCPなどそれぞれに適した検査を行います。

・膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)
膵管上皮に粘液を産生する腫瘍ができ、粘液が溜まることで膵管が袋状に拡張する病気です。腫瘍ができた病変の部位により、主膵管型、分枝型、混合型に分けられます。明確な原因は不明ですが、慢性膵炎、アルコール、肥満、喫煙などがリスクとして知られています。

良性から悪性まで様々な段階があり、良性から悪性へ長い年月の間にゆっくりと進行していくと言われています。このため、発見時の精密検査や定期的な検査が重要です。一般に、主膵管型は、癌を合併する可能性が高く、主膵管の太さが10ミリ以上の場合、高リスクとして手術が勧められます。

その他のタイプでも、嚢胞内に隆起が見えたり、嚢胞が急に大きくなったりする場合は、注意が必要です。

分枝型や混合型は、嚢胞の大きさや嚢胞内部のポリープ様結節の有無、主膵管の太さ、黄疸の有無などにより評価を行い、定期的に経過観察をしていく必要がありますが、悪性が疑われる場合には手術を検討します。またIPMNは分枝型であっても嚢胞以外の場所に癌が発生する事も知られており、定期検査がとても重要です。

当院で施行可能な胆膵疾患の検査・治療方法

  1. 血液検査
  2. 腹部超音波検査
  3. 単純・造影CT
  4. MRI (MRCP)
  5. 超音波内視鏡検査 (EUS)、超音波内視鏡下吸引細胞診 (EUS-FNA)
  6. 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
  7. 陽電子放出断層撮影 (PET)