前立腺がん|対象疾患・症状|泌尿器科

前立腺とは

  • 前立腺のしくみ

  • 前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱の下にあり、尿道を取り囲んでいます。また、一部が直腸に接しているため、直腸の壁越しに指で触れることができます。大きさはちょうど栗の実くらいで、形も栗によく似ています。肥大していない前立腺の重さは16∼20 gです。

    前立腺の主な働き
    前立腺液を分泌し、精液の一部となり、精子を保護したり、精子に栄養を与えるとともに、その運動機能を助ける役割を果たしています。

前立腺がんとは

前立腺がんは、前立腺肥大症とともに、中高年の男性において注意すべき前立腺の病気のひとつで、男性ホルモンが関与しており、加齢によるホルモンバランスの変化が影響しているものと考えられています。

前立腺がんは主に前立腺の外に広がって他の臓器に転移しますが、ほかの臓器のがんとは異なり、ゆっくりと進行するため、早期に発見できれば、ほかのがんに比べて治りやすいがんでありますが、初期には自覚症状がほとんどないため、発見が遅れることがあります。

進行すると最終的には骨やほかの臓器にまで転移することがあるため、尿が出にくい、排尿時の痛み、血尿や腰痛、歩行困難などをきたしますので、早期に発見し、適切な治療を行うことが大切です。

前立腺がんの検査

前立腺がんは前立腺で特異的につくられる前立腺特異抗原 (PSA) の血液中の値を測ることで見つけることができます。健康診断などで50歳以上の男性は1年に1度PSAを測ることをお奨めします。また、親、兄弟に前立腺がんの方がおられる場合には40歳からの測定をお奨めします。PSAは感度の最も優れた腫瘍マーカーです。

スクリーニング検査:PSA値測定

PSA検査は、血液検査で、前立腺がんの診断に役立ち、治療経過観察中の再燃・再発を見つける有効な検査でもあります。前立腺がんの腫瘍マーカー(がんの発現に関連を持つと考えられている生体内のタンパク質)としても重要な働きをします。通常、PSAの正常値は4ng/mlで、正常値を超えている場合は、次の検査に進みます。

直腸診・超音波検査・MRI

直腸診・・・肛門から指を入れ前立腺の大きさや硬さ、 前立腺表面の凸凹、触れると痛みがあるかなどをを触診します。
超音波検査・・・直腸より超音波プローブを挿入し、前立腺の大きさ、形を見ます。
MRI・・・前立腺がんの有無、進行度合いを確認します。
これらの検査で前立腺がんの可能性がある場合、前立腺生検検査を行います。

  • 直腸診直腸診

  • 超音波(エコー)検査超音波(エコー)検査

前立腺生検検査

局所麻酔で行える検査で麻酔をかけた後、 肛門から超音波プローブを挿入し、前立腺を観察しながら生検針を刺して前立腺組織を約12か所を採取します。採取した細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を調べます。

前立腺がんの確定診断になる検査で、上記の検査等で、前立腺がんが疑われれば行います。当科では、基本的に一泊入院して実施しています。