腎臓がん(腎細胞がん)|主な治療法|泌尿器科

腎臓がん(腎細胞がん)の病期分類

腎臓がん(腎細胞がん)の進展度

T1a 腎細胞がんの直径が4cm以下で腎臓にとどまっている
T1b 腎細胞がんの直径が4∼7cmで腎臓にとどまっている
T2a 腎細胞がんの直径が7∼10cmで腎臓にとどまっている
T2b 腎細胞がんの直径が10cmを超えるが腎臓にとどまっている
T3a 腎細胞がんが腎静脈または周囲の脂肪組織まで及んでいるが、ゲロタ筋膜を越えない
T3b 腎細胞がんが横隔膜より下の大静脈内に広がっている
T3c 腎細胞がんが横隔膜の上の大静脈に広がる、または大静脈壁まで及んでいる
T4 腎細胞がんがゲロタ筋膜を越えて広がる、または同じ側の副腎まで及んでいる
CTとMRIで撮影した頚椎の写真

※ゲロタ筋膜:腎臓をおおっている一番外側の膜
日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編
「泌尿器科・病理・放射線科 腎癌取扱い規約 2011年4月(第4版)」(金原出版)より作成

腎臓がん(腎細胞がん)の病期分類

  リンパ節 ・ 転移
リンパ節や別の臓器に転移を認めない 別の臓器に転移は認めないが、所属リンパ節に1個転移がある 別の臓器に転移があるか、所属リンパ節に2個以上転移がある
大きさ
広がり
(T因子)
T1
T2
T3
T4

日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編 「泌尿器科・病理・放射線科 腎癌取扱い規約 2011年4月(第4版)」(金原出版)より作成

臨床病期別の治療法

腎臓がん(腎細胞がん)の治療法

手術(外科治療)

がんの進行度にもよりますが、外科手術が治療の主体となります。転移のない症例では手術により根治を期待できます。手術方法としては、腫瘍の大きさや、場所にもよりますが、腎臓の部分切除と腎臓摘出があります。当科では開復による手術が一般的ですが、内視鏡を使用し、より負担の少ない手術方法もあります。

腹腔鏡下手術

適応は早期がんですが、お腹に小さな穴を開けて、先端にライトとカメラの付いた内視鏡(腹腔鏡)を入れて手術する方法です。出血が少なく、おなかを大きく切らないので傷が目立たず、早く退院できるなどのメリットがあります。治療成績も従来の開腹手術と差がないといわれています。ただし患者さんの状態や病状によってはこの手術ができない場合もありますので、腹腔鏡下手術を希望する場合には、担当医とよく相談してください。

サイトカイン療法

腎がんには抗がん剤の効果はほとんど期待できませんが、サイトカイン療法によってがんの縮小や生存期間の延長が10∼15%程度で見込めます。特に、がんの転移がある場合などには、免疫力を高めるサイトカイン療法を行うのが一般的です。 インターフェロンやインターロイキン2という薬を使いますが、サイトカイン療法の副作用としては、個人差がありますが、インフルエンザに似た発熱、関節の痛みなどが起こることもあります。 なお、転移が少なく、がんの大きさや数が変わらない場合は、経過観察あるいはサイトカイン療法を行った後に手術によって転移がんを摘出することもあります。

分子標的治療

転移のある腎がんでは、可能な限り腫瘍の減量目的に外科手術を考慮し、転移巣に対しては、現在は分子標的薬を主体とする薬物療法が一般的となっています。分子標的薬というのは、特定のタイプのがんの増殖などにかかわっている物質をピンポイントに攻撃する新しいタイプの抗がん剤です。このような薬剤によって、がんが大きくなるのを抑えて、生存期間を延ばせる効果があります。

放射線治療

放射線治療とは、X線を照射してがんを小さくする治療ですが、腎がんにはあまり効果がありません。骨に転移したがんによる痛みなどの症状を緩和したり、脳に転移したがんをコントロールすることを目的に行うこともあります。腎がんでは、一般的に体の外から放射線を照射して治療にあたります。

術後の再発症例に対しても、転移のある症例と同様な考えで治療していきます。 手術後は再発や腎機能等の評価を継続していくため、定期的に外来通院する必要があります。進行度や状態によって、期間や頻度は異なりますが、採血や画像の検査を行っていく必要があります。