消化器内科・内視鏡内科・肝臓内科

当科の特徴(概要)

私どもは、患者さんの症状につきまして、心身両面からのケアに心掛けています。

内科学、特に消化器病学の最新の知識、技術を身につけるよう常に心がけ、病気を全体的かつ専門的に捉え、高度な医療を施すよう努力致しております。
また、専門分野以外の疾患につきましては、的確な治療が行えるよう他科の先生と連携をとってまいります。

信頼される質の高い診療を心掛け、経験豊富な医師を中心に、看護師や薬剤師、臨床工学士、事務職員と協力してグループ診療による多角的できめ細かなチーム医療を推進してまいります。

対象疾患

食道疾患(逆流性食道炎、食道がん)
胃疾患(胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん)
腸疾患(大腸炎、炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がん)
肝疾患(ウイルス性肝炎、肝硬変、脂肪性肝疾患、自己免疫性肝疾患、アルコール性肝疾患、薬物性肝疾患、肝臓がん)
胆道疾患(胆石、総胆管結石、胆のう炎、胆管炎、各種胆道系腫よう疾患『ポリープ、がん等』) 膵疾患(急性膵炎、慢性膵炎、各腫よう疾患『充実性腫よう、膿胞性腫よう』)

肝疾患について

主な症状

肝臓に障害がみられてもすぐに症状が出ないことが多く、そのため肝臓は「沈黙の臓器」といわれています。
障害が高度になると
・目や体が黄色くなる( 黄疸)
・手のひらが赤くなる( 手掌紅斑)
・体の表面の細い血管が浮き出てくる( 血管腫)
・出血しやすくなる( 出血傾向)
・口臭がある
・おなかがふくれてくる( 腹水)
・すぐ眠ってしまう( 肝性脳症)
などの症状がみられることがあります。
進行すると食道の静脈が太くなり( 食道静脈瘤)、出血して吐血をきたすこともあります。

主な原因

ウイルスによる肝炎とウイルス以外が原因で起こる肝障害とに分けられます。
ウイルス以外が原因で起こる肝障害には、脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、薬物性肝障害、自己免疫性肝疾患、先天性肝疾患などがあります。

ウイルス性肝炎

感染しているウイルスにより、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎と名付けられています。 D型肝炎は日本ではあまり見られません。 A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎は、いずれも急性肝炎で発症することがあります。 A型肝炎とE型肝炎は、主に食物を介して感染し、ときに集団での感染が見られます。

肝炎が重症化すると肝臓の機能が低下し、肝不全に陥り、出血傾向、肝性脳症、腹水などが出現することがあります。 この状態を 劇症肝炎といい、患者さんの生命が危険な状態に陥るため集中的な治療が必要になります。 内科的な治療では約40%、肝移植では約70-80%が救命できるといわれています。

B型肝炎、C型肝炎は慢性化することがあり、適切な経過観察や治療が必要です。 これらの肝炎は、患者さんの血液や体液が、傷口や粘膜に接触することで感染します。感染源が特定されないこともあります。 B型肝炎は、新生児期や幼少期に感染すると高率に慢性化します。 近年、成人での感染でも慢性化する例が増加しています。 ウイルスの増殖を抑制する薬( 核酸アナログ製剤、インターフェロン)が開発されており、適切に使用することで、肝炎の進行を抑えることが可能になってきました。 C型肝炎は、急性肝炎で発症した際に無治療で放置すると、70%が慢性肝炎になります。 適切に治療を受けると90%は慢性化を阻止できます。

慢性化した場合には、 インターフェロン治療により、60%程度の方はウイルスを排除できるようになりましたが、治療には副作用がありますので、治療を行うかどうかについては十分な検討が必要です。 慢性肝炎が進行すると肝硬変に至り、さらに肝臓がんを合併することがあります。

ウイルス A型肝炎 B型肝炎 C型肝炎 E型肝炎
潜伏期間 2-6週 2-6ヶ月 2週-6ヶ月 2-5週
慢性化 なし あり あり なし
劇症化 0.1 % 1-2 % 0.1 % 2-5 %
予防ワクチン あり あり なし なし
集団感染 あり なし なし あり
感染経路 食物から 感染 血液、体液から感染 血液、体液から感染 食物から 感染

脂肪性肝疾患

脂肪性肝疾患と診断するには、ほかに肝障害の原因となる病気がないかを精査し、画像上肝臓に脂肪の沈着があるかどうかをみることが重要です。
脂肪性肝疾患の中には、 単純性脂肪肝と、進行して肝硬変に移行する可能性がある脂肪性肝炎とがあります。
肝硬変に至ると肝臓がんを合併する可能性があります。 脂肪性肝炎は肝生検を行い診断します。
治療で重要なのは、まず食事療法と運動療法です。薬物での治療効果は限られています。

自己免疫性肝疾患

免疫とは、本来は外界の細菌、ウイルスやその他の微生物から体を守るために備えられている人体の機構です。 リンパ球やマクロファージといった免疫細胞が微生物の体内への侵入を感知し、感染に対して人体を守る働きを示します。 しかし、さまざまな要因によりその機構が異常反応を起こすことにより、免疫細胞が自分自身の肝臓を攻撃してしまうことがあり、そのような病態を自己免疫性肝疾患と呼んでいます。
自己免疫性肝疾患には、 原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎があります。
いずれも難治性ですが、早く病気を見つけることにより、病気の進行を遅らせることができる場合があります。

アルコール性肝疾患

アルコールの過剰摂取により、肝臓は障害を受けます。進行度や病態により、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝線維症、アルコール性肝硬変に分類されます。
肝臓を守るためには、とにかく禁酒をお守りいただかなければなりません。禁酒をお守りいただかなければ、病気の進行を食い止められません。

薬物性肝疾患

どのような種類の薬や健康食品でも肝障害を起こす可能性があります。
薬は必要なものを最小限飲んでいただくことをお勧めします。

その他の肝疾患

肝臓に銅がたまるウイルソン病、鉄がたまるヘモクロマトーシス、特殊な蛋白質がたまるアミロイドーシスなどがあります。 胆道感染などにより肝臓に膿がたまる 肝膿瘍という病気もあります。
健康診断の超音波検査でしばしば見つかる 肝嚢胞や肝血管腫も定期的な検査をお勧めします。

肝硬変

肝疾患が進行すると肝臓に線維化が起こり、肝臓が次第に硬くなっていきます。
さらに進むと 肝硬変に至ります。肝硬変は各種肝疾患の終末像と言えます。
肝硬変の原因は、ウイルス性(80%)、アルコール性(10%)が多く、そのほか自己免疫性、脂肪性肝炎などが挙げられます。
肝硬変が進むと肝臓が機能しなくなり、 肝不全という状態になります。
その際には、黄疸、浮腫、腹水、肝性脳症、出血傾向などの症状が現れますが、肝硬変の初期にはこれといった症状がみられないこともあります。

まず肝障害の原因への対策が重要で、ウイルス性の場合には可能であれば抗ウイルス療法、困難であれば肝庇護療法を行い、アルコール性の場合は禁酒が必要です。
腹水、脳症や合併しやすい 食道静脈瘤(食道表面の血管のこぶ)に対する対策も必要です。

肝がん

他の臓器からの転移を除けば、肝臓がんの中で一番多いのは肝細胞がんです。
肝細胞がんは、その90%がウイルス性肝炎の方です。
その他、アルコール性肝疾患、脂肪性肝疾患などが基礎疾患としてみられることが多く、肝障害がない方にいきなり肝細胞がんが出現することは稀です。
治療法としては、外科的切除、ラジオ波焼灼療法、経カテーテル的肝動脈塞栓術、肝動注化学療法、分子標的薬治療などが挙げられます。 腫瘍の大きさや個数、肝機能の状態、全身状態により治療法を選択します。

検査内容

内視鏡検査

拡大内視鏡を導入し、診断の精度をあげた精密検査を実施しております。また、食道、胃、大腸のESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や咽喉頭ESDも行っております。

肝臓に関する検査

血液検査:肝臓に関して何を調べたいかにより以下の項目を検査します。

肝細胞が
どの程度壊れているか
AST (GOT), ALT (GPT)
肝細胞の働きが
どの程度障害されているか
プロトロンビン時間、血清ビリルビン、血清アルブミン、コレステロール
肝臓で作られる胆汁が
どの程度うっ滞しているか
ALP, γ-GTP, LAP
肝臓の病気が
どの程度進み線維化が起こっているか
血小板、ヒアルロン酸、IV型コラーゲン、P-III-P
ウイルス性肝炎に
かかっているかどうか
肝炎ウイルス関連抗原・抗体
自己免疫疾患の有無 γ-グロブリン、抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体
腫瘍マーカー AFP, PIVKA-II(上昇しているときには、必ずしもがんがあるわけではありません)
画像検査 血液検査ではとらえられない肝臓の形態変化や腫瘍の有無、腹水の有無などのチェックは、画像検査で行います。
脂肪肝などの軽度の肝障害では1年に一度、慢性肝炎では半年に一度、肝硬変では3ヵ月に一度の画像検査をお受けいただくようにしています。
腹部超音波
造影CT
造影MRI
当院ではいずれも最新鋭の機械を導入し、精査を行っております。

原因不明の肝障害や性質の分からない肝腫瘍に対しては、超音波検査下に体の表面から針を刺し(生検といいます)、組織を採取して診断をつけることもあります。