胃疾患|対象疾患|消化器内科(内視鏡内科・肝臓内科)

対象疾患

胃疾患(胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん)

胃疾患について

胃とは

食道を通ってきた水分や食べ物を蓄える袋状の臓器です。胃酸やペプシンという消化酵素を分泌し、食物を消化する働きがあります。飲み込まれてきた病原体を胃酸によって殺菌する働きもあります。

胃の病気

1 胃炎(慢性胃炎、萎縮性胃炎)

胃炎とは胃の内側の粘膜が炎症を起こした状態のことを言います。胃炎と一口に言っても、表層性胃炎やびらん性胃炎、 萎縮性胃炎など様々な種類の胃炎があります。その中では、萎縮性胃炎なのか、そうではないのか、が最も重要です。人間ドックの結果を見て、 慢性胃炎や表層性胃炎とだけ書かれているものに関しては、症状がなければ特に気にする必要はありません。

しかし、萎縮性胃炎と書かれていた場合は、ピロリ菌にかかっている(あるいは、昔かかっていた)可能性があります。ここでは萎縮性胃炎を中心に紹介したいと思います。

萎縮性胃炎とは、小さいころから何年もかけて胃が荒らされ続けて胃の皮が薄くなってしまうことを言います。胃カメラを見るだけで、その薄くなっている様子が観察できますので、ピロリ菌がいる(あるいは、いたことがある)というのが分かります。

胃炎に関するよくある質問

2 胃潰瘍

胃の病気と聞くと誰もが思い浮かべる病気だと思いますが、具体的には胃の内側の粘膜がある程度深いところまで剥がれた状態のことをいいます。胃潰瘍になる原因は、ピロリ菌によるものと痛み止め(NSAIDsと言われる鎮痛薬)の内服によるものがほとんどですが、 場合によっては胃癌でも胃潰瘍を伴うことがあります。ストレスで起きるイメージがあるかもしれませんが、現在では胃潰瘍の患者さんのほとんどは、ピロリ菌か鎮痛薬が背景にあることがわかっています。

胃潰瘍に関するよくある質問

3 胃ポリープ

胃内視鏡検診の結果に胃ポリープとだけ書かれた際は、ほとんどが胃底腺ポリープを指しています。胃底腺ポリープとは、 「胃が元気な証拠のポリープ」です。

ポリープと聞くと、ほとんどの方は「えっ、取らなくていいの?」 と思われるかもしれませんが、大丈夫です、このポリープは取らないで結構です。

確かに大腸のポリープはいずれ癌に育つ可能性がある、 癌の「芽」であることが多いのですが、 胃底腺ポリープは癌に育つことはまずありません。むしろ胃底腺ポリープはピロリ菌に感染していない場合に多くみられます。

もう一つ、胃の中には過形成性ポリープと呼ばれるタイプのものもあります。こちらもほとんど癌になることはありませんが、ピロリ菌による萎縮性胃炎に合併することがあります。ごく稀に癌化することがありますので、年1度定期的に胃カメラを受けていただくことをお勧めします。

4 胃がん

胃がんとは、胃の表面の上皮の細胞が悪性化する病気です。悪性化とは無秩序に細胞が増殖しながら周囲に侵食していく (浸潤する) 能力と、血管やリンパ管に入り込んで、他の臓器に転移するという能力を身につけてしまうことを言います。がんの進行度を表すいわゆるステージは、癌細胞が表面からどれだけ深くまで浸潤しているか、あるいはリンパ節や他の内臓にどれだけ転移しているかによって決まります。

胃がんの原因のほとんどはピロリ菌の感染によるものです。胃癌を起こすピロリ菌は東アジア地域に多く、ある意味、日本人の風土病のようなものです。特に早期の胃癌に関しては、条件が合えば日本で開発され、お腹を切らないですむ胃カメラでの手術 (内視鏡的粘膜下層剥離術:ESDといいます) が可能です。当院はこの内視鏡治療に力を入れており、近年症例数も増えています。詳細につきましてはこちらのページをご覧下さい。

ここでは特に早期の胃がんに関して説明させていただきますが、進行胃癌があったといわれた方に関しては、 ステージにより手術や抗癌剤での治療などの様々な治療法がありますので、ご自身の担当の先生に詳しくお聞き下さい。

胃がんに関するよくある質問