腸疾患|対象疾患|消化器内科(内視鏡内科・肝臓内科)

対象疾患

腸疾患(大腸炎、炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がん)

腸疾患(小腸・大腸)について

腸とは

口から入った水や食べ物は、食道、胃を通過した後、腸に流れ込みます。腸は、大きく分けると6-7mの小腸と1-1.5mの大腸に分類されます。さらに小腸は、口に近い方から、十二指腸、空腸、回腸に、大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分けられます。小腸は栄養分と水分を吸収し、大腸は水分を吸収します。栄養と水分が吸収された食物の残りは、便として肛門から排泄されます。

腸の中には、約1000種類、100兆個の細菌が存在していると言われ、善玉菌と悪玉菌のバランスの乱れにより、さまざまな病気が引き起こされることが報告されています。

腸の病気

1 大腸炎

大腸炎の中には感染性腸炎、虚血性腸炎、炎症性腸疾患などさまざまな病気が含まれます(炎症性腸疾患に関しましては次の項をご確認ください)。大腸炎で最も思い浮かべやすいのは嘔吐や下痢が頻回に出て腹痛があると言った症状でしょう。

特に上記の症状を認めた上に血便が出るような場合には注意が必要です。血便が出るような感染性腸炎は重症化することがあるため、入院での加療が必要になることがあります。感染性腸炎の治療は絶食、点滴加療を基本とし、重症な場合には抗生剤での加療が必要になります。

また、腸を栄養する血管の一部が詰まって、腸粘膜の血流障害を来すと虚血性腸炎を引き起こします。虚血性腸炎の典型的な経過は、便秘をしていた方が、急に左側のお腹が痛くなって、下痢をし、血便が出るというものです。虚血性腸炎は見た目の出血量が多く感じますが、腸の安静を行い、点滴加療でよくなることが多い疾患です。

ただし、血便が出る疾患の中には命に関わるようなご病気もございますので、血便が出た際には外来でご相談ください。

2 炎症性腸疾患

炎症性腸疾患には潰瘍性大腸炎やクローン病が含まれます。

炎症性腸疾患は免疫の病気であり(自己免疫疾患)、本来はご自身の体を守ってくれる免疫細胞が間違って、ご自身の腸を攻撃してしまうような病気です。症状としては血便や下痢、腹痛があり、その症状が数週間から数ヶ月及ぶ場合には外来を受診して下さい。免疫が関与する病気ですので、その治療も専門性が高く、多岐に渡ります。

当院には炎症性腸疾患の専門医がおりますので、上記のような症状に当てはまる場合には、ぜひご相談ください。

3 大腸ポリープ

大腸ポリープには大きく分けて、がんに変わる可能性があるタイプの大腸ポリープとがんに変わらないタイプの大腸ポリープがあります。がんに変わる可能性があるタイプの大腸ポリープを我々は大腸腺腫と呼び、この腺腫は内視鏡的切除の適応があります。内視鏡的切除に関しましてはCFP・CSP(コールドポリペクトミー)、Polypectomy、EMR、ESDと言われる様々な手技があり、その腫瘍にあった治療法を選択し行っていきます。内視鏡治療の詳細に関しましては内視鏡治療の項をご参照ください。

大腸ポリープは基本的には自覚症状がなく、内視鏡をして偶然見つかるという方が大半です。

4 大腸がん

大腸がんはその名の通り大腸に発生するがんで、上記の大腸ポリープから変わる大腸がんと正常粘膜から直接発生する大腸がんの二通りがあります。

大腸がんは早期の段階では症状が出現することはほとんどなく、症状が出現した時にはかなり進行していることが多いとされております。大腸がんの早期発見には便潜血の検査が用いられています。便潜血の検査では大腸がんである方を見つけ出す割合(感度)は30.0~92.9%と報告されており、日本での検診を毎年受診することで大腸がんを60%減らせる可能性があると報告されております。便潜血の検査で陽性になった際には大腸内視鏡検査を受けていただくことをお勧めします。

また、血便、便が細くなることや急な便秘は進行大腸がんの症状とされています。そのような症状が出てきた場合には早めに外来受診をご検討ください。

大腸がんの治療法は、病気の進行度によって異なります。早期大腸がんの中で大腸壁の浅い部分にのみ腫瘍細胞がある場合には内視鏡的に治療をすることが可能です。こちらは大腸ポリープの時と同様、内視鏡治療の項をご参照ください。

進行大腸がんはステージにより治療法が変わってきますが、外科的治療、化学療法(抗がん剤治療)などが選択されます。