看護師コラム
RSウイルス感染症について
感染管理認定看護師 砂辺 彩
掲載日:2024年9月25日
RSウイルス感染症とは?
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RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。
9月頃から流行し、初春まで続くとされてきましたが、近年では夏季より流行が始まるようになってきています。非常に感染力が強く、幼稚園や保育園などの施設内感染に注意が必要です。また、慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者において急性の重症肺炎を起こす原因となることが知られおり、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります。
症状は?
発熱、鼻汁などの軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。RSウイルスの初回感染時には、より重症化しやすいといわれています。特に生後6ヶ月以内にRSウイルスに感染した場合には、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。
通常RSウイルスに感染してから2~8日、典型的には4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で自然軽快しますが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る、呼吸困難となるなどの症状が出現し、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。
感染経路
- 飛沫感染(咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによって感染)
- 接触感染(ウイルスへの接触により、鼻や口などの粘膜や傷口などを通して感染)
治療とケア
特別な治療法はなく、症状に応じた治療になります。機嫌がよく、辛そうでなければ、慌てずに様子をみたり、かかりつけ医にご相談ください。ただし、呼吸が速くて息が苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりと活気がなくなってきたら、すぐに医療機関の受診が必要です。
予防するには?
流水とせっけんによる手洗い(特にトイレやおむつ交換後、食事前)をしっかり行いましょう。また、60歳以上を対象としたワクチン及び生まれてくる子の予防を目的に妊婦に接種するワクチンがあります。(自己負担)※
さらに以下の対象者については、RSウイルス感染による呼吸器感染症の重症化を抑えるお薬があります。RSウイルス感染症が流行する秋から春にかけて、月1回の筋肉内注射を継続して行います。(保険適応)
- 在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
- 在胎期間29~35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
- 過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
- 4カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
- 24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児
- 24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児
※注射の開始時期や投与回数は、生まれ月や疾患により異なりますので、かかりつけの医師にご確認ください。
※当院では妊婦に対するワクチン接種は行っておりません。
登園・登校について
学校保健安全法では、RSウイルスの出席停止を定めていません。登園・登校については本人の状態や周囲の流行状況などを考慮して判断されます。学校医やかかりつけ医にご相談ください。
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・厚生労働省 ホームページ
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