2019年6月掲載

食中毒について

感染管理認定看護師 砂辺 彩

梅雨から夏にかけて食中毒に注意

  • 食中毒について
  • 食中毒の主な原因である細菌は、気候が暖かく、湿気が多くなる梅雨から9月頃までは高温多湿な状態が続き増殖が活発になります。とりわけ、食肉に付着しやすい「腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)」「カンピロバクター」、食肉のほか卵にも付着する「サルモネラ」による食中毒の発生件数が目立ちます。

食中毒というと、飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生しています。普段、当たり前にしていることが、思わぬ食中毒を引き起こすことがあるのです。

知っておきたい食中毒予防の3原則

  • 食中毒について
  • 食中毒は家庭で発生することも珍しくありません。特に肉や魚には、食中毒の原因となる菌やウイルスがいることを前提として考え、その取り扱いに気を付けましょう。厚生労働省では、「食中毒菌を『つけない』『増やさない』『やっつける』」を食中毒予防の3原則として掲げています。

『つけない』・・・洗う、分ける

食中毒の原因菌やウイルスを食べ物につけないよう、こまめに手を洗いましょう。包丁やまな板など、肉や魚などを扱った調理器具は使用するごとに洗剤で洗い、できるだけ殺菌するようにします。また、肉や魚の汁が他の食品に付着しないよう、保存や調理時に注意が必要です。


『増やさない』・・・低温で保存する

細菌の多くは10℃以下で増殖のペースがゆっくりとなり、マイナス15℃以下で増殖が停止します。肉や魚、野菜などの生鮮食品は購入後、すみやかに冷蔵庫に入れてください。また、冷蔵庫内の温度上昇を防ぐため、冷蔵庫のドアを頻繁に開けることや食品の詰め込み過ぎは避けましょう。


『やっつける』・・・加熱・殺菌処理

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅するので、しっかり加熱して食べましょう。また、肉や魚、卵などを扱った調理器具は洗って熱湯をかけるか台所用殺菌剤を使って殺菌しましょう。


家庭でできる食中毒対策・お弁当対策

  • ・清潔な容器を使う。パッキンは汚れやすいため、容器からはずして洗う
  • ・おにぎりは素手で握らずにラップを使用
  • ・おかずの残りを利用するときは、しっかり再加熱する
  • ・梅干や酢など抗菌効果のある食材を活用する
  • ・水分が多いと細菌が増殖しやすいため、水気をよく切る
  • ・ごはんやおかずは、よく冷ましてから別々に詰める
  • ・長時間持ち歩く時は保冷剤を活用する
  • ・車の中や日の当たる場所ではクーラーボックスに入れる

この他にも、厚生労働省では6つのポイントに分けて推奨しています

6つのポイント

こんな症状が出たら早めに受診をしましょう

多くの食中毒症状は、細菌・ウイルスが体内に入った1~2日後に起こりますが、細菌の種類によって食後30分程度で起こったり、逆に1週間ほどたってから起こる場合もあります。嘔吐や下痢など、食中毒と思われる症状が見られたら早めに受診しましょう。

【引用・参考文献】
全国健康保険協会 協会けんぽ ホームページ / 厚生労働省 ホームページ