更新日:2024年9月2日
食中毒について
感染管理認定看護師 砂辺 彩
どうして食中毒になるの?
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細菌による食中毒が多くなるのは気温が高く、細菌が育ちやすい6月から9月ごろです(ウイルスによる食中毒は冬に流行します)。食中毒を起こす細菌は、土の中や水、ヒトや動物の皮膚や腸の中にも存在していて、特別な菌というわけではありません。そのため、食品を作る途中で菌が付いてしまったり、家庭で料理したものを、暖かい部屋に長い時間置いたままにしておくと、細菌が増えてしまいます。
食中毒予防の3原則 食中毒菌を「つけない、増やさない、やっつける」
食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。
食中毒を防ぐためには、細菌の場合は、
- 細菌を食べ物に「つけない」
- 食べ物に付着した細菌を「増やさない」
- 食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」
という3つのことが原則となります。
家庭でできる食中毒対策
買い物のポイント
- 商品管理のよいお店で買いましょう
- 冷蔵や冷凍が必要な食品は最後に購入しましょう
- 期限を確認しましょう
- 買い物の後は寄り道せず帰りましょう
冷蔵庫の使い方のポイント
- 庫内容積の7割を目安に詰めすぎないように注意しましょう
- 冷凍後一度解凍したものの再凍結はやめましょう
- 冷凍しても細菌は死にません
※食品を冷凍しても細菌は休眠状態になるだけで、室温に戻すと増えはじめます。
(例外:アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍することによって死滅します。)
調理のポイント
- 調理の前には手を洗いましょう
- 火を通す食品は十分に加熱しましょう
※特に厚みのあるハンバーグや冷凍したものは、中心まで十分に火がと通っていることを確認しましょう。 - まな板や包丁を使い分けましょう
お弁当作成時のポイント
- ご飯やおかずは、よく冷ましてから別々に詰めましょう
- 長時間持ち歩く時は保冷剤を使用しましょう
- 車の中や日の当たる場所ではクーラーボックスに入れて保管しましょう
後片付けのポイント
- 時間が経過した食品や少しでもおかしいと感じた食品は、思い切って捨てましょう。
※食中毒菌が食品中で増えていても、味、色、臭いなど変わりません - 器具類は洗浄、消毒をしっかりやりましょう
テイクアウトやデリバリーサービス利用時のポイント
- ”半熟”卵や、”レア”なお肉のテイクアウト・デリバリー利用は控えましょう
- 食品を購入したらすぐに帰宅し、長時間持ち歩かないようにしましょう
- 持ち帰ったら長時間常温で放置せず、すぐに食べましょう。すぐに食べない場合は、冷蔵庫で保存しましょう
- 再加熱するときは中心までしっかり加熱しましょう
- 食べる前にはしっかり手洗いをしましょう
医療機関を受診する目安は?
食中毒の一般的な症状として、吐き気、おう吐、腹痛、下痢が挙げられ、発熱を伴う場合もあります。
近年食中毒発生件数が多いノロウイルスの潜伏期間は24時間~48時間ですが、カンピロバクターでは2~7日です。また、細菌が増殖する際に産生する毒素(黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンによる食中毒)による食中毒の場合には、摂取してからすぐに嘔吐などを発症する可能性があります。なお、摂取した食品の量や体調などによって、同じ原因菌やウイルスでも潜伏期間が異なることがあります。
下記の症状がある場合には医療機関を受診することをおすすめします。
- 吐き気や嘔吐がひどくて水が飲めないとき
- 便に血液が混ざるとき
- 吐血があるとき
- 長期間症状が続くとき
上記はあくまでも目安となります。妊婦や子供、高齢者は軽症でも早めの受診が必要となります。また基礎疾患がある場合にも重症化しやすいことが考えられるため、早めに受診することをおすすめします。