看護師コラム
ヘルパンギーナについて
感染管理認定看護師 砂辺 彩
掲載日:2024年8月3日
ヘルパンギーナとはどんな病気?
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38~40℃の高熱、喉の奥に水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎の一種です。コクサッキーウイルスA群などエンテロウイルス属に含まれるウイルスが原因で、乳幼児を中心に毎年夏の季節に流行する、いわゆる「夏風邪」の代表的疾患です。一度かかったからといって二度とかからないわけではなく、繰り返し罹患する可能性があります。
症状は?
ウイルスに感染してから2~4日後、突然の高熱(38~40℃)、続いてのどの痛みが現れます。のどには、1~2mmの水疱性の発疹がみられるようになります。水疱がやぶれた部分は潰瘍になり、飲食の際に痛みます。熱は2~4日程度で下がり、その後のどの発疹・痛みがなくなります。通常は1週間以内に治ります。 稀ですが、髄膜炎や心筋炎といった重篤な疾患に移行することがあります。
感染経路
- 飛沫感染(咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことによって感染)
- 接触感染(破けた水疱の中や便に排泄されたウイルスが、手を介して口や鼻、目の粘膜から感染する場合)
- 経口感染(接触感染同様)
治療とケア
特別な治療法はなく、症状に応じた治療になります。水を飲むだけでも激しくのどが痛むので、水や食事を拒否する上に、発熱もあいまって、非常に脱水になりやすい状態です。呼吸が速くて息が苦しそう、水分が取れずにおしっこがでないぐったりと活気がなくなってきたら、すぐに医療機関の受診が必要です。
食事が食べられそうな場合は、おかゆや、柔らかく茹でたうどん、雑炊など、刺激が少なく飲み込みやすいもを食べましょう。
予防するには?
ヘルパンギーナのワクチンはありません。原因となるウイルスはノンエンベロープウイルスのため、アルコールが効きにくいと言われているため、流水とせっけんによる手洗い(特にトイレやおむつ交換後、食事前)をしっかり行いましょう。また、タオルの共用はやめましょう。
症状がなくてもウイルスは出ています
便中へのウイルスの排泄は、症状が消失しても2~4週間にわたり排泄されます。また、感染しても発病しないままウイルスを排泄していることがありますので、日頃からしっかりと手洗いをすることが大切です。
登園・登校について
学校保健安全法では、ヘルパンギーナの出席停止を定めていません。症状が治まった後も2~4週間はウイルスが便から排泄されるため、周囲への感染の可能性がありますが、登園・登校については本人の状態や周囲の流行状況などを考慮して判断されます。学校医やかかりつけ医にご相談ください。