ドクターコラム

こんな症状がでたら糖尿病かもしれません

糖尿病内科

掲載日:2022年8月10日(2024年3月14日更新)

糖尿病を早期発見するために

糖尿病は、なるべく早期に発見し治療を開始することで合併症を予防することが大切な病気です。しかし、困ったことに、糖尿病は初期症状がほとんどありません。

糖尿病を早期発見するには、健診などで定期的に検査を受けてチェックすることが重要ですが、次に述べるような症状が出現した場合にはかなり血糖値が高くなっていることが考えられますので、すぐに医療機関を受診しましょう。

【目次】

糖尿病の自覚症状①のどが渇く、尿が多くなる

  • >糖尿病の自覚症状①のどが渇く、尿が多くなる
  • のどがやたら渇き、飲み物をたくさん飲むようになります。そして、たくさん尿がでます。これは、血糖値が高くなると尿に出てくるブドウ糖が増え、それとともに尿がたくさん出ることで、脱水症状を起こすからです。

糖尿病の自覚症状②だるさ、疲れやすさ

  • >糖尿病の自覚症状②だるさ、疲れやすさ
  • 何もしていないのに疲れたり、だるくて動けなくなったりします。これは、インスリンの作用不足によってブドウ糖をうまく使えなくなり、体がエネルギー不足に陥るためです。

糖尿病の自覚症状③食べているのに体重が減る

  • >糖尿病の自覚症状③食べているのに体重が減る
  • たくさん食べているのに、体重が減っていくのも糖尿病の症状の一つです。糖尿病は太るとなりやすい、というイメージがあるかと思いますが、重症の糖尿病では体重が減ります。インスリン不足によるエネルギー不足を補うために、筋肉や脂肪が使われてしまうからです。

糖尿病の合併症による症状

血糖値が高い状態が続くと、徐々に糖尿病の合併症が進行していきます。合併症により、次のような症状がおこります。

合併症による症状① 目がかすむ、視野がかける、視力が落ちる

糖尿病網膜症の症状で視力に異常がでることがあります。ひどい場合には失明することもあります。

合併症による症状② 手足のしびれ、痛み

糖尿病神経障害の症状です。手足の先がビリビリ、じんじんとしびれたり、痛みが出たりすることがあります。感覚が鈍くなって、足の裏に皮が一枚張っているように感じたり、痛みを感じにくくなることもあります。

合併症による症状③ 立ちくらみ

自律神経の障害により、立ちくらみをおこしやすくなります。便秘・下痢、汗をやたらかくようになるのも自律神経障害の症状です。

合併症による症状④ 足のむくみ

糖尿病性腎症が進行すると、腎不全になり、手足や顔がむくむ症状が出ます。

合併症による症状⑤ 傷が治りにくい、感染症にかかりやすい

血糖が高い状態では体の抵抗力が低下するため、傷が治りにくかったり、感染しやすくなったりします。

神経障害による痛みの感じにくさも重なると、傷があっても気がつきにくくなってしまい、ひどい場合には、足の水虫が悪化して、足壊疽を起こすこともあります。

夏に特に要注意!合併症「ペットボトル症候群」について

  • ペットボトル症候群
  • 暑い日が続くと、熱中症の予防のために水分補給が大切になります。しかし、血糖値が高い方が誤った水分補給をしてしまうと、「ペットボトル症候群」を起こしてしまうことがあります。

    「ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトアシドーシス)」は、飲料に含まれる糖分により血糖値が急激に上昇してしまう状態です。糖分を摂取すると、体の中ではインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げる働きをします。

しかし、飲料によって糖分をいっぺんにたくさんとってしまうと、インスリンが足りなくなってしまい、血糖値が下がらなくなります。血糖値が高いと、尿がたくさん出て脱水になり、のどが渇きます。すると、さらに糖分入りの飲料を摂取してしまい、ますます高血糖になり、脱水がどんどん進行します。前に述べた高血糖の症状(のどの渇き、多尿、だるい、体重が減る)などに加えて、ひどい場合には、昏睡状態に陥ることもあります。

ペットボトル症候群は糖尿病や血糖値が高めの方が起こしやすい病気です。血糖値が高い方は、水分補給の際には、水やお茶など糖分のないものを摂取するようにしましょう。また、糖尿病は自覚症状が出にくい病気ですので、ご自身の血糖値が高めであることを知らない方も多くいらっしゃいます。知らないうちにペットボトル症候群になってしまわないよう、健診などで早めに糖尿病の検査を受けましょう。

当院で行っている「糖尿病教育入院」について

当院では、患者さんやご家族の方が糖尿病を正しく理解して頂ける事を目的とした「糖尿病教育入院」を行っております。病気の正確な知識、食事、運動療法を身につけ、糖尿病と上手に付き合っていけるよう、当院糖尿病チーム(医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士・管理栄養士)が患者さんの療育をサポートします。詳しくは糖尿病・内分泌代謝内科の「糖尿病教育入院」をご覧ください。