掲載日:2026-3-26
貧血とは?
血液検査でのヘモグロビン濃度(血色素量)が男性13 g/dl未満、女性12 g/dl未満、高齢者11 g/dl未満に減少することを貧血といいます。立ちくらみや顔色が悪いことを貧血と表現することがありますが、これは本当の貧血ではなく、貧血は採血を行ってわかるものです。
-
-
血液は、白血球・赤血球・血小板・血漿(液体)で構成されています。赤血球の中にはヘモグロビン(血色素)と呼ばれる赤いタンパク質が存在し、これに酸素が結合することにより各臓器に酸素が運ばれます。ヘモグロビンが減少すると全身が酸素不足となり、倦怠感や立ちくらみ、頭痛、そして心臓や肺がより多くの酸素を送りこもうと無理をするために生じる動悸、息切れなどの自覚症状がでることがあります。ゆっくり貧血が進んだ場合は症状がないこともあります。
貧血には原因があります
貧血とは単にヘモグロビンが少ないという状態を示しているだけなので、その原因や原因となる病気を診断し、その病気の治療が必要になります。
血液検査による赤血球の大きさ(MCV: mean corpuscular volume, 平均赤血球容積)から貧血を分類すると、その原因をつきとめやすくなります。その分類を以下に示します。
貧血の赤血球の大きさによる分類
- MCVが低い:小球性貧血
- MCVが正常:正球性貧血
- MCVが高い:大球性貧血
この分類に基づきそれぞれの原因、その原因となる病気、治療についてご紹介します。
1. 小球性貧血
小球性貧血の主な原因は、鉄欠乏性貧血、感染症や膠原病などの慢性疾患による二次性貧血、鉄芽球性貧血、サラセミアがあります。フェリチン、血清鉄などの検査を追加し、診断します。
鉄欠乏性貧血は貧血の中で最も頻度が高く、鉄剤の投与(内服、点滴)とともに鉄が欠乏する原因になる病気を診断し、その病気の治療を行います。
若い女性と高齢者では、その原因になる病気は大きく異なっています(※表1、表2)。
その原因を診断するためには婦人科での検査や、内視鏡検査などが必要になり、その診断に応じた治療を行います。
| 鉄の喪失 | 過多月経・子宮筋腫・子宮内膜症・胃・十二指腸潰瘍・献血・スポーツ貧血 |
|---|---|
| 鉄の摂取低下 | 偏食・過度のダイエット・慢性萎縮性胃炎 |
| 鉄の需要増大 | 思春期の成長・妊娠・授乳 |
| 鉄の喪失 | 胃がん・大腸がん・子宮がん・胃・十二指腸潰瘍 抗凝固薬・消炎鎮痛薬の使用による消化管出血 |
|---|---|
| 鉄の摂取低下 | 偏食・慢性萎縮性胃炎・胃切除後 |
2. 正球性貧血
正球性貧血の主な原因は溶血性貧血です。溶血性貧血は赤血球が壊れることによりおこります。
その原因は、激しいスポーツによる足の裏の血管の圧迫により壊れるもの、心臓の人工弁により機械的に壊れるもの、免疫の異常により赤血球を壊す自己抗体によるもの、赤血球自体に壊れやすい問題があるものがあります。
間接ビリルビン・LD (乳酸脱水素酵素)の上昇やハプトグロビンの低下などの採血結果で診断し、さらにこれらの原因について検査を進めます。免疫の異常による場合はステロイドや免疫抑制剤等での治療が行われます。
また稀なものに赤芽球癆(せきがきゅうろう)があります。赤血球が作られなくなる病気で、その原因は薬剤性、パルボウイルスB19感染、胸腺腫、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍、自己免疫疾患などがあります。ステロイドや免疫抑制剤、原因に対する治療が行われます。
貧血に加えて白血球の数の異常、血小板の数の異常のいずれか、あるいは両方を認める場合は再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、急性・慢性白血病、骨髄増殖性腫瘍などの血液の病気の可能性があります。
さいごに
当院では、貧血を指摘された場合、貧血の分類、およびその原因の検査を行い、速やかに診断を確定し、それに対する最適な治療をおすすめしています。
また、血液の病気が疑われる場合も同様に速やかに診断を確定し、現時点での最適な治療(標準治療といいます)を中心に治療をおすすめしています。どうぞお気軽にご相談ください。
「むかしの頭で診ていませんか?血液診療をスッキリまとめました」
神田善伸編 2017年 南江堂