ドクターコラム
肩関節について
整形外科
掲載日:2018年8月
肩関節の役割
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肩関節は非常に複雑な動きをする関節です。肩関節は骨の構造だけではなくその周囲の関節包や腱板が支えることで安定性を保っています。そのため関節周囲の構造体の炎症や損傷が起こりやすく、それにより痛みや動きの制限がでやすい関節でもあります。
そのような症状がでる代表的な疾患として五十肩と腱板断裂について解説します。
五十肩について
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中年以降、加齢に伴い肩関節周囲組織の変性を基盤に、肩関節の周囲組織に炎症が起きることで肩関節の痛みや運動制限をきたす症候群と定義されています。
肩関節の周囲の腱板や靭帯・骨・軟骨などの老化によって、軽度な負荷でも炎症が起きることで関節の痛みがでたり、周囲組織の癒着で動きが悪くなります。
急性期(発症から約2週間程度の痛みの強い時期)
痛みが強くなるとともに動く範囲も狭くなり、徐々に肩の可動域が制限されます。この時期は無理な動きは避けるようにしましょう。
慢性期(3~6か月)
徐々に痛みが改善しますが、まだ可動域制限は残存し日常生活動作に支障をきたします。肩関節の可動域訓練を行い、肩関節の硬さを改善させましょう。
回復期(半年から1年)
可動域制限がまだ残るものの、痛みが少ないために大きな機能障害の自覚はなくなり徐々に可動域が自然回復します。
回復経過には個人差がありますが基本的に五十肩は自然治癒します。
腱板断裂について
肩を動かすために重要な筋肉である腱板が、日常生活動作などで徐々に損傷を受け、最終的に断裂することで起こります。腱板が断裂することによって、肩関節の正常な動きができなくなるため、炎症が起こりやすくなってしまいます。
外傷で断裂する場合もありますが、知らないうちに徐々に擦り切れて断裂している場合も多く、炎症が起きると五十肩に似た症状がでます。
繰り返す五十肩のような症状や、五十肩と言われていたのに一向に改善しないといった方は腱板断裂の疑いがあります。腱板断裂は自然治癒しませんので重度の痛みや機能障害がある場合には手術(腱板修復術)を検討する必要があります。
なかなか改善しない肩関節の痛みや運動制限でお悩みの方は整形外科を受診して一度詳しく調べることをお勧めします。