腎臓がん(腎細胞がん)|対象疾患・症状|泌尿器科

腎臓とは

腎臓は、背骨の両側のちょうど腰の高さのところに左右1つずつあるソラマメのような形をした臓器です。腎臓は血液を濾過して老廃物や塩分を尿として体の外へ追い出してくれます。また、体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。腎臓の働きが悪くなると尿が出なくなり、老廃物や毒素が体に蓄積し尿毒症になることがあります。

  • 腎のイラスト

  • 腎臓の主な働き
    1. 血液中にたまった老廃物を尿として外に出す
    2. 余分な水分を排出して、水分のバランスを整える
    3. からだに必要な電解質を調節する
    4. 血圧を調整したり赤血球を増やすホルモンを産生する
    5. ビタミンDの働きを活発にして骨を健康に保つ

腎臓がん(腎細胞がん、腎がん)とは

腎臓がんは、腎臓にある尿細管という細い管の部分に、糸球体という細い血管でつくられた尿のもとから水分やさまざまな物質を再吸収したり老廃物を排泄したりして尿をつくりますが、この尿細管の中の細胞に発生したがんのことです。

腎細胞がん(以降、腎臓がん)は毎年人口の10万人あたり15人程度発症し、男女比は2:1で男性にやや多く発症します。発症年齢としては60~70歳が最も多いが若年層にもみられることがあります。遺伝子の変化によりがん化すると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。発がんの危険因子として、タバコがあり喫煙者の方は1.4~2倍腎臓がんになりやすいと言われています。

腎臓がんの原因と症状

腎臓がんにかかる割合(罹患率)は50歳代後半以降に増加し始める傾向にあります。男性に多いがんで、発生の危険因子として肥満、高血圧、喫煙などが明らかになっています。また、透析を受けている方では、腎臓がんの罹患率が高いと考えられています。

最近では、健康診断等での超音波検査やCT検査で偶然に発見されることが多く、無症状で見つかる例が増えています。症状があるものでは、血尿、側腹部痛み、腹部腫瘍で発見されることもあります。他にも、発熱、食欲低下、体重減少といった全身症状もみられることがあります。

腎臓がんの検査と診断

画像による検査が最も有用で、超音波検査やCT検査が用いられます。CT検査で診断が難しい場合は、MRI検査を行う事があります。骨の転移の有無を調べるのに骨シンチグラフィーが行われます。画像検査での診断が難しい場合は、針を刺して組織を採取することもあります。

超音波(エコー)検査

腎臓がんの診断は、まず腹部の超音波(エコー)検査によるスクリーニングを行うのが一般的です。超音波を使って腎臓の様子をみることで、がんと血管の位置がよくわかり、偶然発見された腎臓がんの多くが、超音波検査によるものです。腎嚢胞や、良性腫瘍である腎血管筋脂肪腫との鑑別診断にも有用です。

腹部CT、MRI検査

CTは、X線で体の内部を描き出しますので、腹部の断層画像が得られ、静脈ががんでふさがっているか、リンパ節転移がないかなどもCTで腎臓がんの確定診断がほぼできます。 腎臓がんには特にダイナミックCTが有用で、造影剤を静脈から急速に注入することで短時間にたくさんの画像を得てがんの血行状態などを見る撮影法で、がんの発見・鑑別に大きな力を発揮します。 CTで腎臓がんが確定できなかったり、ほかの病気との区別が困難なときにはMRIを行うことがあります。 また、腎静脈や下大静脈ががんでふさがっていることが疑われた場合は、補助的にMRIを施行してその範囲を確認します。MRIは磁気を使って体の内部を描き出します。 造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがありますので、アレルギーの経験のある方は医師に申し出てください。

胸部X線撮影/肺CT、骨シンチグラフィー

胸部X線写真や肺CTによって肺への転移がないかどうかを、またアイソトープを用いた骨シンチグラフィーで骨転移の有無を確認することがあります。