心不全|治療方法|循環器内科

心不全とは

心不全とは、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める状態」です。

現在日本人の死因の第1位はがんですが、心臓病は第2位となっています。年齢別にみると、75歳以上(後期高齢者)では心臓病の占める割合が徐々に増え、90歳以上(超高齢者)になると、死因の第1位が心臓病になっています。今後、2035年にかけて高齢者人口は増え続ける予測となっており、心臓病の患者数も増加の一歩を辿ります。

  • 生命を維持するためには、身体の要所に酸素と栄養が絶えず供給されている必要があります。そのために心臓がポンプとして働き、全身に血液を循環させています。しかし、心臓が悪くなると、全身に血液を循環させる働きが弱くなってしまうため、息切れやむくみ、疲れやすさなどの症状が出てきます。そのような状態が心不全になります。心不全は高齢者ほど多くなるため、心不全の症状を「年のせいだろう」と思ってそのまま放置してしまう方もいらっしゃいます。そのような心不全初期の状態を「隠れ心不全」と呼ぶこともあります。当院は、心不全治療のみならず、隠れ心不全の早期発見にも力を入れています。

心不全には2つの特徴があります。ひとつは、心不全が良くなったり悪くなったり、ということを繰り返しながら徐々に進行していくことです。心不全の方は、ある期間はほとんど症状を感じることなく過ごすことが出来ます。しかしながら、何らかのきっかけ(心臓病の悪化、肺炎などの感染症、薬の飲み忘れ、不規則な生活、管理不十分な食生活など)により、再び悪くなってしまい、治療の強化を余儀なくされます。つまり、心不全は少しずつ進行しながらも、その中で良い時と悪い時を交互に繰り返すのです。もうひとつの特徴は、心不全は予防が出来るということです。心不全の原因は、日常生活の中に隠れていることが多いと言われています。管理不十分な食生活、喫煙、過労が心臓に負担をかけ続けます。心不全に対する正しい知識を持って、普段の生活からきちんと心がけていれば、心不全の悪化を避けることが出来るのです。

心不全をきたす心臓の病気

主要な心臓の病気として虚血性心疾患、不整脈、弁膜症、心筋症があります。

① 虚血性心疾患

心臓を栄養する血管(冠動脈)において、血液の流れが低下もしくは途絶する病気です。原因の大半は動脈硬化です。心筋梗塞や狭心症という病気が含まれます。虚血性心疾患により生ずる心不全を、「虚血性心不全」と呼びます。心臓カテーテル治療、心臓外科手術などに加えて、薬物療法で治療します。

② 不整脈

不整脈は心不全の原因となることがあります。不整脈があると、脈が極端に速くなったり(頻脈性不整脈)、逆に遅くなったり(徐脈性不整脈)します。なかには、脈が不規則であったり、途中で脈が跳んだりということを自覚される方もいます。頻脈性不整脈には心房細動、心房粗動、上室性頻拍、心室頻拍などがあり、薬物療法(抗不整脈薬)や心臓カテーテル治療(カテーテルアブレーション)で治療することが出来ます。加えて、致死性不整脈と呼ばれる心室頻拍や心室細動という不整脈に対しては、植え込み型電気的除細動器(ICD)を体内に移植することがあります。徐脈性不整脈には、洞不全症候群や房室ブロックがあり、ペースメーカーを体内に植え込む治療を必要とする方がいます。

③ 弁膜症

心臓の中には、血液の逆流を防ぐための弁が存在します。その弁に不具合があると、心臓にとっては大きな負担となります。心臓の弁の病気を総じて弁膜症と呼びます。通常は、心臓外科手術で、壊れた弁を修復したり、人工弁に交換したりしています。最近では、一部の弁膜症は心臓カテーテル治療でも治療可能となっています。

④ 心筋症

心臓の筋肉(心筋)自体に変性が生じてしまう病気の総称です。多いものとしては、慢性的な高血圧の末に生じる「高血圧性心筋症」や、虚血性心疾患が原因となる「虚血性心筋症」があります。また、心筋が異常に分厚くなってしまう「肥大型心筋症」や、心筋が伸びきってしまい動きが悪くなる「拡張型心筋症」などは、厚生労働省により「特定疾患」として難病に指定されています。また、先天性や遺伝性の心筋症などや、周産期の女性に発症する「産褥心筋症」もまれではありません。抗がん剤使用に合併する「がん治療関連心筋障害」も近年注目されています。

心臓リハビリテーション

心臓病の医学的評価に基づいて行われる運動療法を心臓リハビリテーションと言います。心臓リハビリテーションは、単なる運動機能維持を目的としたプログラムではなく、心不全ないしは心臓病の進展予防に効果があることが証明されています。心不全の予後と運動機能は関連しており、当院でも心不全治療の一環として、心臓リハビリテーションへの参加を推奨しています。

外来心臓リハビリテーションのご案内

毎週火・水・木曜日の14~16時に予約枠を設けています。ご興味がある方は、循環器外来またはリハビリテーション科にお問い合わせください。

当院における心不全チーム

2017年度より、包括的な心不全管理を目的として、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーが中心となり、心不全多職種介入チーム(通称、心不全チーム)を発足しました。職種間で連携を取りながら、入院中から退院後の生活まで含めた心不全管理支援を目指しています。

心不全と栄養

心不全が増悪する原因の一つは食事面にあると言われています。塩分の過剰摂取は心臓に負担をかけてしまい、心不全を進行させてしまいます。加えて、心不全が進行すると、心臓悪液質という状態になります。悪液質とは、栄養の吸収・貯蓄・利用が障害されるために、筋力低下および体重減少を来す病態です。心不全に限った病態ではなく、がん、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病の患者さんでもみられます。そのような状態では、心不全治療や運動療法の効果も減弱してしまいます。心不全を予防する取り組みは、食事も非常に大切です。食事内容は、体格、日常生活での活動度、心臓病の種類や重症度だけでなく、生活環境にも配慮して個々に決定する必要があります。詳しくは「管理栄養士による心不全栄養指導」をご予約ください。