広報紙 vol.64しんゆりニュースレター

2023/7/1掲載

放射線診断科特集

放射線診断科特集|広報紙

最適な画像診断技術を提供していきます

  • 新百合ヶ丘総合病院
    放射線診断科 部長
    しみず やすひろ
    清水 康弘 医師
  • 【プロフィール】
    1995年日本医科大学医学部卒業。日本医科大学付属病院放射線科入局。2006年日本医科大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士取得。07年日本医科大学武蔵小杉病院放射線科勤務。16年4月より現職。
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医/日本核医学会専門医・指導者/PET核医学会認定医/検診マンモグラフィ読影認定医/日本医師会認定産業医/医学博士
  • 放射線診断科は単純X線写真やCT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)、超音波検査(エコー)、核医学検査(SPECT、PET/CT)などの画像診断や、画像を用いた治療(IVR:インターベンショナルラジオロジー)などを行う診療科です。

    当院では2023年4月現在、CT3台、MRI4台(3.0T:2台、1.5T:2台)、SPECT1台、PET/CT2台、血管造影装置3台など、多くの医療機器が稼働しております。2022年度の検査数は、CT:35,485件、MRI:15,778件、SPECT:1,048件、PET/CT:3,640件、IVR:1,483件、MMG(マンモグラフィー):4,505件など、コロナ禍においても一定の件数を施行しています。

    放射線診断医はこれらの先端的な画像診断機器を駆使し、撮像された画像に対しレポートを作成し(読影)、どのような病態が考えられるかを各診療科の医師に報告します。こうして得られた“画像”診断は、患者さんの“臨床”診断の場で極めて重要な役割を果たし、治療方針の決定や変更などに役立てられます。

  • 画像診断のスペシャリストである「放射線診断専門医」となるには、医師となり初期研修2年を含む7年間の画像診断・治療の修練を重ね、放射線診断専門医試験に合格しなければなりません。ただし臨床の現場ではここからがスタートといっても過言ではありません。その後も日進月歩の画像診断法・診断技術を習得するため、学会や研究会、他診療科とのカンファレンスなどに積極的に参加し、直接お会いする機会は少ないものの、患者さんに最新かつ最適な手法をご提供できるよう努めております。2023年4月より当院の放射線診断科常勤医師は総勢10名(うち前述の放射線診断専門医8名)となり、各種検査・診断・治療法の専門家を擁しています。

    現代の医療では、侵襲が低く、かつ得られる情報・利益が多い画像診断・治療は、臨床の現場においてもなくてはならないものとなっています。「地域医療支援病院」として、地域の皆様や当院の登録医、近隣のクリニックの先生方のお役に立ちたいと考えております。そのためにも、最新の画像診断技術を使いこなせる放射線科医として、日々研鑽を重ねてまいります。

【目次】

放射線診断科には高度な画像診断機器が揃っており、これらの検査で得られた画像を放射線診断専門医が読影することによって、各診療科の担当医が病気の状態を把握するためのサポートをしています。

◆ CT(コンピュータ断層撮影)

CT検査はComputed Tomography: コンピュータ断層撮影といって、X線を用いて身体の「輪切り」の写真を撮る検査です。当院では年間約35,000件ほどのCT検査が行われています。人間ドックなどでも利用されており、多くの方にとって身近な検査になっているのではないでしょうか。

  • CT(コンピュータ断層撮影)
  • 検査は比較的短時間(検査時間は内容にもよりますが5分から20分程度です)で終わり、多くの情報が得られます。例えば脳、甲状腺、唾液腺、肺、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、腸管、子宮、前立腺、骨、血管などなど。再構成と呼ばれる画像処理を加えることで、色々な方向からの輪切りの写真や、血管や心臓、骨などの3D画像も作ることができます。これらの画像を見て、形や色(CTでは吸収値といいます)の違いから、病気を見つけ、どのような病気か推定することができます。必要に応じてヨード造影剤という薬剤を静脈注射して検査をすることがあり、より詳細な診断ができるようになります。

X線を使いますので多少の被曝は生じますが、必要最小限で綺麗な画像が撮れるよう被曝低減に十分配慮しています。撮影された画像には放射線診断専門医が画像診断レポートを作成し、主治医の先生に報告しています。(放射線診断科 医長 橘和聡文)

◆ MRI(磁気共鳴画像)

  • MRI(磁気共鳴画像)
  • 大きなトンネル型の装置に強力な磁場を発生させて、ある周波数の電波を照射すると、体の中の水素原子が移動します。一定時間経ってから照射を止めると、体内の水や脂肪など、電波によって移動していた組織が元の位置に戻ろうとします。この時の、細胞組織の動きを画像として取得し、その画像から異常を発見するのがMRI検査です。「電波」を使った撮影法であり、放射線による被曝がないため、小さなお子様や安定期以降の妊婦さんでも検査を受けることができます。本態性振戦に対する集束超音波治療 (FUS) というMRIを使用した治療も、2019年6月より保険適用となりました。結果については全ての検査について放射線診断科の画像診断専門医が診断レポートを作成、主治医に報告してダブルチェックを行うことで、より正確な診断を行える体制を整えています。

◆ IVR(画像下治療)

  • ◆IVR(画像下治療)
  • IVRとは「Interventional Radiology」の略であり、日本では「画像下治療」といわれています。X線の透視やCT、超音波装置を用いて体の内部を見ながら、針や細い管(カテーテル)を標的病変へ導き、治療や検査を行う手技の総称になります。IVRは、多くの場合、局所麻酔で行うため、身体への負担が少なく治療後の回復が早く、手術では到達が困難な身体の奥深い領域へのアクセスが可能となる場合もあるなど、1980年代以降、広く普及してきた領域です。IVRは血管を穿刺し、血管内を経由し治療・診断を行う血管系IVRと、体表から直接穿刺を行う非血管系IVRに分類されています。

当院では、心臓・大血管、脳、消化器はそれぞれ専門領域の科が治療を行っています。放射線科の行うIVRは様々な疾患、部位に応用可能であることから、放射線科外来診療は設けておらず、各科のご依頼に応じて血管系IVR、非血管系IVRの手技、治療を行っています。(放射線診断科 医長 竹ノ下尚子)

◆ PET/CT検査は~「がん」を見つけられる検査です!~

PET(positron emission tomography)検査とは、ポジトロン(陽電子)という放射線を出す物質(放射性同位元素)を含んだ放射性薬剤を注射し、そこから出る放射線をPET装置で検出することによって、放射性薬剤の体内分布を画像化して病気を診断する検査法で、生体機能(はたらき)を画像化します。一方、X線CT(X線断層撮影法)は、体の外からX線をあてて通り抜けたX線を測定し、X線の影、すなわち 臓器の形態(かたち)を画像化する検査です。PET/CT装置はPETとX線CTの2つを連結した装置で、PETで「はたらき」を、X線CTで「かたち」を画像化し、両者を組み合わせた情報が得られます。また、一度に頭から骨盤までの全身の検査を行うことができます。

がん細胞は、正常な細胞よりも盛んに活動し、エネルギー源としてのブドウ糖をたくさん必要とします。この特性を利用し、ブドウ糖によく似た放射線薬剤(18F-FDG:フルオロデオキシグルコース)を静脈から注射すると、活動が盛んな病巣に集まってきます。これにより、主にがんなどの悪性腫瘍やその転移の有無の評価に有用で、その他てんかん、一部の心血管の疾患の診断に使用されています。

PET/CT検査~「がん」を見つけられる検査です!~

当院には現在PET/CT装置が2台あり、2022年度は総数3,640件の検査を行いました。これらは全て、日本核医学会専門医とPET核医学会認定医の2つの資格を持つ5人の放射線科診断医が診断を行っています。このうち、当院は地域医療支援病院として、地域連携室を介して神奈川県や東京都など近隣の施設からの検査依頼も受けており、2022年度は年間400人を超える紹介患者さんのPET/CT検査を行い、地域医療への貢献も行っています。

  • PET/CT検査
  • 総数の中には、人間ドックでPET/CT検査を使った検査も含まれており、年間2,000人近くの方が当院で検査を行っています。「PET/CTがんドック」では、全身のスクリーニングや病気の早期発見を行うことができ、近年では、N-NOSE(線虫がん検査)後の全身精査目的で受診される方も増えています。また、MRIや認知心理テストと組み合わせた「PET/CTがんドック+『脳年齢』脳ドックコース」では、上記に加えて、脳MRI画像を解析した結果を数値化した「海馬年齢」、PET/CT検査による「脳代謝」、そして最新の「脳機能」テストの結果を見ることで、脳の健康状態が包括的にわかり、好評を得ています。

この他にも、様々な薬剤を使った核医学検査を行っています。PET/CT検査や核医学検査にご興味のある方は、主治医の先生や予防医学センターまでお気軽にお声がけください。(放射線診断科 医長 藤井正美)

放射線診断科医師紹介

放射線診断科 医師紹介ページ

【常勤】

  1. 清水 康弘(放射線診断科部長)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医、日本核医学会専門医・指導者、PET核医学会認定医、検診マンモグラフィ読影認定医、日本医師会認定産業医
  2. 阿部 武彦(放射線診断科医長)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医、日本核医学会専門医・指導者、PET核医学会認定医、検診マンモグラフィ読影認定医
  3. 橘和 聡文(放射線診断科医長)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医、日本核医学会専門医、PET核医学会認定医、検診マンモグラフィ読影認定医
  4. 藤井 正美(放射線診断科医長)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医、日本核医学会専門医・指導者、PET核医学会認定医、検診マンモグラフィ読影認定医、産業医
  5. 桝野 龍平(放射線診断科医長)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医
  6. 竹ノ下 尚子(放射線診断科医長)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医、日本IVR学会IVR専門医、日本救急医学会救急科専門医
  7. 野崎 栄作(放射線診断科医長)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医
  8. 石滝 公一(放射線診断科医長)
    日本専門医機構認定放射線科専門医、日本核医学会専門医、PET核医学会認定医、検診マンモグラフィ読影認定医
  9. 細川 麻子(放射線診断科医員)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医
  10. 石川 喜一郎(放射線診断科医員)
    後期研修医

【非常勤】

  1. 山口 敏雄(放射線診断科 非常勤医師)
    日本医学放射線学会放射線診断専門医・指導医、日本IVR学会IVR専門医