ボツリヌス神経治療外来

ボツリヌス神経治療外来とは

ボツリヌス治療とは、ボツリヌス菌が作り出す天然のタンパク質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。一般的にボツリヌス菌は、食中毒の原因になる菌として知られていますが、ボツリヌストキシンには、神経から筋肉への指令をブロックして、麻痺を起こさずに筋肉の緊張を和らげる作用があります。安全性も確立されており、ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。

当院では、片側の顔面がピクピク動く(痙攣)、まぶたが痙攣し、開けにくい、首がねじれ・傾く、振るえる、手足が勝手につっぱり、曲がってしまう、などの病気(片側顔面痙攣、眼瞼痙攣、痙性斜頸、痙縮などで、本人の意思とは関係なく筋肉の痙攣や過剰な緊張によりピクツキや異常な姿勢を示すもの)に対し、ボツリヌストキシンの局所注射により治療いたします。ボツリヌス治療の効果持続期間は3~5カ月間ですので、患者さんは定期的に治療を受ける必要があります。痙攣を止めても、極力麻痺を起こさせないようにするなど、治療に対する反応をみながら治療を進めます。微調整が大切であり、薬の量や濃度の加減、注射する部位、左右のバランスなどを考慮して治療を行います。特に痙性斜頸では、筋緊張の客観的な評価は視診、触診のみでは困難である為、針筋電図検査により原因筋の的確な同定と薬剤の注射量の適切な配分を行っています。

対象疾患・症状

不随意運動、特にボツリヌス治療による痙性斜頸、片側顔面痙攣、眼瞼痙攣、痙縮の治療

片側顔面痙攣

片側の顔面がピクピクと痙攣する不随意運動(自分の意思とは 関係なくからだの一部や全体に現れる異常な動き)

眼瞼痙攣

両方のまぶたがピクツキ(痙攣)・開けにくくなる局所性のジストニア(筋肉の過剰な緊張による異常な姿勢や動きを呈する不随意運動)の一種

痙性斜頸

首の筋肉が異常に緊張して、ねじれ・傾く、振るえる局所性ジストニアの一種

痙縮

手足の筋肉が緊張しすぎて、勝手につっぱり、曲がってしまう状態

治療成績

痙性斜頸の患者さん約1,200名において、約9割で改善~治癒がみられ、また、片側顔面痙攣の患者さん約900名に対してほぼ全例で、眼瞼痙攣の患者さん約500例に対して約9割で、それぞれ良好な治療成績を得ております。

治療方針

個々の患者さんの症状を正確に把握し、それぞれに応じたテイラーメイドのボツリヌス治療を目差しております。

診療日表

  1. 木曜日 9:00~12:00、14:00~17:00

諸事情により変更・休診になることがございます。
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外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456

医師紹介

  • 大澤 美貴雄(おおさわ みきお)
    脳神経内科

専門分野・得意な領域 脳神経内科
専門医
指導医
医学博士
日本神経学会指導医・専門医
日本内科学会指導医・認定内科医
日本ボツリヌス治療学会認定施注医
主な経歴
1974年 4月 東京女子医科大学総合内科入局
1983年12月 英国ロンドンThe National Hospital, Queen Squareの
Dr. A.M.Hallidayの研究室に留学、誘発電位を研究
1985年12月 東京女子医科大学脳神経センター神経内科に帰局
2009年 8月 同准教授
2013年 5月 日本神経学会ジストニア診療ガイドライン作成委員会委員
2014年 3月 東京女子医科大学脳神経センター神経内科定年退職
2014年 4月 新百合ヶ丘総合病院 神経内科 ボツリヌス神経治療外来に転職
東京クリニックボツリヌス神経治療外来に転職
2015年10月 日本ボツリヌス治療学会 第2回学術大会 大会長
2019年 9月 日本ボツリヌス治療学会監事