当科の手術|呼吸器外科
手術について
呼吸器外科の小田誠医師は金沢大学付属病院での20年以上にわたる経験、ハイデルベルク大学Thoraxklinik Heidelberg(ドイツ)での1年3ヶ月間の臨床留学を中心にアメリカでのロボット手術短期留学、ニューハート・ワタナベ国際病院呼吸器外科立ち上げなど、肺がんを中心に、呼吸器外科疾患全般(気胸、膿胸、縦隔腫瘍、手掌多汗症など)を対象に6000名以上(肺癌3000名以上)の呼吸器外科患者さんの診断から治療まで携わってきました。
当院においても世界最高の医療を患者さんに提供することをこころがけております。 ロボット(ダヴィンチXi)や胸腔鏡を用いた体に優しい低侵襲手術から進行肺癌に対する拡大手術まで、患者さんの病気の状態に応じた治療を患者さんと一緒に悩み、相談しながら行っています。
ロボット(ダヴィンチXi)や胸腔鏡を用いた体に優しい低侵襲手術
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肺の手術では肋骨の間から胸の中に入る必要があり、そのため胸を大きく開く開胸手術では肋骨を切断したり、胸腔鏡下手術でも肋骨の間にポートと呼ばれる円筒を留置することが必要です。
これにより肋間神経が障害されますので、胸部の手術は一番痛い手術に分類されております。
現在当科での肺切除術のアプローチ方法の基本方針は以下の通りです。
肺葉切除 → 2019年4月~ロボット手術
肺区域切除 → 2020年4月~ロボット手術
肺部分切除術 → 単孔式手術または肋骨弓下経横隔膜手術
さらなる低侵襲化をめざした胸腔鏡手術およびロボット手術
ダヴィンチxiを用いたロボット手術
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ダヴィンチxiを用いたロボット手術風景 当院では、肺がん(肺葉切除、区域切除)、縦隔腫瘍、重症筋無力症に対してロボット手術が保険適用となっております。
※ロボット肺がん肺葉切除術(2020年4月までの67例)では、術後在院日数は平均1.9泊(1泊~5泊)、入院~退院までの全在院日数は平均2.6泊(1泊~5泊)でした。最近の20例のうち15例が手術翌日に自宅退院されました。
ロボット手術 ダヴィンチとは
ダビンチ・ロボットトレーニング
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ダビンチ・ロボットトレーニング with 手羽先
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ダビンチ・ロボット & 絹豆腐
単孔式手術
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複数の肋間にポートを留置することによる複数レベルの肋間神経損傷に基づく疼痛を避けるため、1つの肋間にだけポートあるいは切開創をおいた単孔式胸腔鏡下手術
助骨弓下経横隔膜手術
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肋間操作による肋間神経障害に起因する疼痛を最小限に抑えるために、肋間には最小径のポートを設けた経横隔膜下プローチを開発して、100人以上の患者さんに施行してきました。
この方法では、肺の一部を切除する肺部分切除では3mmの創を2カ所肋間にあける手術、区域切除や肺葉切除では5mmの創を3カ所肋間にあける手術を行っております。肋間以外にもう一つ1.5㎝程度の創を肋骨のないところにあけます。
入院について
入院期間短縮の利点として、肺炎併発、心肺機能低下を防ぎ、さらに長期入院によるストレスを緩和することができます。高齢者においては廃用症候群(筋力低下/認知機能低下など)の予防にもなり、早期社会復帰につながります。
経済効果においては、1日入院日数が減ると、肺がん手術だけで年間総医療費が10億円以上減らせます。
当科の手術(肺葉切除のみ)では、平均入院日数は3.47日と、全国平均に比べて早期の退院が可能となっております。
手術翌日退院への取り組み
術前 | 患者さんへ:早期退院の意義の説明 呼吸リハビリの開始 |
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入院 | 術前日or当日(コロナ蔓延下にて当面前日入院です) |
術中 | (硬膜外麻酔、動脈ライン、尿カテ(おしっこの管)、フィブリン製剤)はなし |
術後 | 一般病棟へ戻り、2時間以内の歩行/飲食開始、点滴終了 胸腔ドレーン早期抜去 |
退院 | 原則手術翌日 |
よくある質問
- Q1.手術の何日前に入院となりますか?
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手術前日または当日(手術が2件目の場合)です。現在コロナ蔓延下であり、手術前日に入院して頂いております。(Covid抗原検査と胸部CTスキャンで肺炎の有無を確認のため)
1日入院すると、とくにご高齢の方では4日分命を縮めるとも言われています。手術前も手術後も入院期間を短くすることが、術後合併症軽減にもなり、筋力も落とさず術後の早期回復にもつながります。
- Q2.日曜日、祝日でも入院できますか?
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もちろんできます。365日、曜日を問わず、手術前日または当日に入院して頂きます。
- Q3.いつ退院できますか?
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原則として、手術翌日に退院です。手術術式は問わす、例えば肺癌に対する肺葉切除、区域切除、部分切除すべての患者さんで、原則として手術翌日が退院予定日となります。
もちろん、手術後の状態によっては入院期間が延長する場合もあります。退院後は通常の生活に戻って下さい。退院した後も家で寝込んでいることが一番よくありません。とにかくよく動く(歩く)ことが大切です。
- Q4.おしっこの管は手術の時にいれますか?
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通常は入れません。これまで迷信的に施行されてきた患者さんの不利益になる医療行為はできるだけ避ける様にしております。長時間の手術が予想される場合などにはおしっこの管を留置することもありますが非常に稀です。
他にも硬膜外麻酔の管(背中の痛み止めの管)、動脈ライン(動脈に入れて血圧をはかる管)も原則として使用しません。血液由来製剤であるフィブリン糊(肺からの空気漏れを止めたりするもの)もほとんど使用しません。
- Q5.胸腔ドレーン(胸の中に入れる管。肺から漏れた空気や血液を体外に出します)はいつまで入ってますか?
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肺部分切除や縦郭腫瘍の患者さんでは胸腔ドレーンを入れないで病室に戻ってくることが多いです。
肺葉切除や肺区域切除の患者さんは原則として胸腔ドレーンを留置して病室に戻ります。この場合でも多くの患者さんでは手術当日夕方または手術翌日の朝にドレーンが抜けます。
- Q6.手術後は集中治療室や麻酔後回復室(術後回復室、リカバリー室)に入りますか?
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入りません。手術後は原則として手術前に大部屋のいらっしゃった方は大部屋に、個室にいらっしゃった方は個室に、手術前に居らっしゃった病室のベットに戻ります。
- Q7.手術後はいつから歩いたりご飯を食べたりできますか?
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手術後2時間前後で歩行と飲食(好きなもの)を開始します。最初は医師、看護師、リハビリ科スタッフと一緒に歩いて飲水できることを確認しますのでご安心下さい。
歩行と飲食開始が確認できれば、静脈の点滴の管も抜きます。その後はできるだけベットで横にならないで、座ったり歩いてたりして下さい。肺癌で肺葉切除した方ももちろん同様です。
術後早期の歩行開始、飲食開始と点滴を最小限にすることが術後の合併症を軽減すると報告されております。
- Q8.シャワーや入浴はいつからできますか?
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胸腔ドレーンが抜けた翌日からシャワー浴、翌々日から入浴していただいています。多くの方は手術翌日からシャワー浴開始です。
創部もガーゼなどは当てずに水や石鹸で濡らして構いませんし、濡らした方が創もきれいになります。