睡眠法について|精神科(心療内科)

すぐに役立つ睡眠法

  • 睡眠の役割

  • 睡眠が心と体の健康に大切なことは理解しているのに、たいていの人は良い睡眠を取ろうという努力をしていないようです。疲れたら自然に眠くなると思い込んでいて、食事や運動のように積極的に工夫したりお金をかけて努力する人はほとんどいません。

    実際には睡眠は疲労の回復ばかりでなく、体の組織の修復やストレス予防、学習能力の強化などにとても役立っています。眠れない状態が少しでも続くと、体がだるく感じたり、頭が回らなくなるのは誰もが経験しているはずです。高血圧や糖尿病は不眠の人に多いというはっきりしたデータもあります。

それでも睡眠のことは、おろそかにされがちです。いくら重要性を強調してもかなり努力しないとやれないことは実行しようとしません。

そこでこの機会に誰もができる良い睡眠がとれる方法を10ケ条にまとめて紹介することにしましょう。食事の回数や夕食の時間などはちょっと努力が必要ですが、ぜひ習慣にしてください。

熟眠メソッド 10ヶ条

通勤の時にはたっぷりと朝日を浴びて、しっかりと目を覚まし、日中はたくさんおしゃべりをして、頭を使ってください。寝室の温度や湿度、寝具など部屋の環境にも気を使ってみましょう。

夜になったらやむを得ず眠るというのは間違いです。毎日の生活習慣を、良い睡眠がとれるように楽しみに整えて下さい。日々の生活が今までよりもずっと充実したものになるはずです。

コーヒーの香りの効用

日本人はコーヒーが好きで、消費量はアメリカとドイツに続いて世界第3位となっています。ただ、飲み方については、最近はスターバックス的とでもいうか、喫茶店がブレンドしたものをいきなり飲んでしまっていることが多いです。コーヒーの効果は、飲用すればカフェインによる覚醒作用が左側的であり、気分がすっきりして疲労感が軽減します。それと同時にリラックス効果もあり、単に目が覚めるばかりでなく、独特のゆったり感も得ることが出来ます。

コーヒーの香りによるアルファ波の相違

このコーヒー特有のリラックス感は、その香りによるところが大きいと考えて、ある実験を以前行ってみました。詳細は省くが、ガテマラ、ハワイコナ、モカ、マンデリン、ブルーマウンテン、ブラジルという代表的な6種の豆を選び、その香りを嗅いだ時の脳波を測定解析しました。すると、対照とした蒸留水と比較すると、ガテマラでは明らかに脳波のアルファ波成分が増加していました。ブルーマウンテンでもそのような傾向がみられました。一方、マンデリンではアルファ波は減少しています。(図参照)

アルファ波は、脳が円滑に機能し、心理的にはリラックスしている状態の時に多く出現します。したがって、この結果は、ガテマラの香りには脳の活動を穏やかにし、気分を癒す働きがあることを示しています。

コーヒーは、飲んでしまう前に、まず、香りを満喫しそれから味わうと良いです。そうすれば、コーヒーを嗜む楽しみが倍加するに違いありません。

アロマの香りの効用

香りは脳の働きを活性化したり穏やかにする働きがあります。反対に、脳の働きを低下させてしまうこともあります。脳波を分析したり、脳の血流量を測定するとそのことがよくわかります。

香りは脳の働きを活性化したり穏やかにする働きがあります。反対に、脳の働きを低下させてしまうこともあります。脳波を分析したり、脳の血流量を測定するとそのことがよくわかります。

コーヒーの香りによるアルファ波の相違

例えば、アロマテラピーで使うエッセンシャルオイルの効果を脳波で測定すると、図1に示すような結果が見られます。三者を比較すると、赤色で表現したアルファ波がラベンダーの香りでは顕著に増えています。これはラベンダーの香りによって脳の働きが円滑になり、穏やかな気持ちすなわちリラクセーションがもたらされることを示しています。

コーヒーの香りによるアルファ波の相違

レモンの香りには、蒸留水と比べて赤色の範囲の差がないように(図2)、ラベンダーのような作用はありません。次に脳の活性度を表すP300という脳波を測定してみると、レモンでは赤色で示したP300が他のものより大きくなっています。このことからレモンには脳の活動を活発にする作用があることがわかります。

このように脳波を利用するとエッセンシャルオイルの作用の違いをはっきりとみることが出きます。

コーヒーの香りによるアルファ波の相違

一方、悪臭の場合はどうでしょうか。悪臭の代表であるタバコの臭いを普段タバコを吸わない人に嗅いでもらいました。すると、時間が経つにつれてアルファ波が少なくなり、30分もタバコの臭いの中にいるとアルファ波は極端に減少してしまいます(図3)。 最近、副流煙のことが話題になっていますが、やはりタバコの臭いは脳の機能を円滑にさせなくしてしまうのです。

コーヒーの香りによるアルファ波の相違

もう一つ、香水の例をお示しします。(図4)これは、ヴァーベナという香りですが、この香水をつけていると、話し相手の脳とくに前頭葉の機能が活性化されます。それは、このように光トポグラフィという装置で脳の血流量を測定するとよくわかります。

前頭葉はプランを立ててそれを適切に実行する指令を出す部位ですが、ヴァーベナによってその部位が活発に働くようになれば、会話がはかどりコミュニケーションがスムーズにいくようになります。

香りは第三の感覚と言われ、視覚や聴覚ほど大切さが認識されていません。 実は、香りは脳に直接働きかけ、その働きを変化させる重要な感覚です。 香りを上手に使って脳の働きを円滑にしたり活性化する工夫をすれば、毎日の生活がより豊かになることでしょう。