精神科(心療内科)

当科の特徴(概要)

当科は主に、入院患者さんの精神面のケアおよび、精神障害をお持ちの患者さんが安心してご入院し、身体的な治療を受けられるようサポートを行っています。

(1)一般の方:
入院治療中に、新たに発症した精神障害(治療可能なものがほとんどです)に対応します。

(2)双極性障害・うつ病・パニック障害などの精神障害をお持ちの方:
身体の状況や、その治療のため、それまで服用していた薬を継続することが出来なくなるような場合、注射薬などへの切り替えを行うなど、内服薬を一時的に調整しながら病状の安定化を図り、再発を防止します。また、身体が回復した後は、精神的な治療薬の再開を無理なく行えるようサポートします。

対象疾患・症状

主に不眠症、うつ病、不安障害、心身症など
入院を必要としない患者さん(当院に精神科入院施設はございません。)
※病状により担当医が、入院を要すると判断した際には他院をご紹介します。
せん妄抑うつ緩和ケア

診療のご案内

精神科(心療内科)外来

当院は予約制で診療を行っています。
※初診の方はご家族の付き添いが必要です。

●対象疾患:主に不眠症、うつ病、不安障害、心身症など
●入院を必要としない患者さん(当院に精神科入院施設はございません。)
※病状により担当医が、入院を要すると判断した際には他院をご紹介します。
●対応不可能症例:
・入院治療を要する総合失調症、双極性障害、重度うつ病
・自傷他害の恐れ、自殺念慮のある方
・発達障害等の検査・診察希望の方
・摂食障害の方

主な治療法

せん妄

心臓や肺の病気、骨折やがんをはじめ様々な病気でご入院中に、

●突然、話が通じなくなり落ち着きがなくなる(錯乱)
●ないものが見える(幻覚)
●場所と時間の感覚がなくなる(見当識障害)
●忘れっぽくなる(健忘、記銘力障害)
●集中力がなくなる(注意障害)
●ぼんやりとして元気がなくなる(低活動性せん妄)
●不安や心配ごとが増えて落ち着かないなどの症状が現れることがある

これらを総称して「せん妄」といいます。
特に高齢者で多くみられますが、病気によっては年齢・性別を問わず、誰でも起こることがあります。
原因としては、脱水、電解質異常、呼吸不全、脳の病気などの身体の病気、治療に使用する薬剤、手術後やICUなど入院環境、認知症など基礎的な脳の機能低下などが関係していると言われています。せん妄はご本人にも大変な苦痛がある症状であるとともに、それを目の当たりにされるご家族にとっても、認知症になってしまったのではないかと大変ご心配されることでしょう。
せん妄は身体が正常に回復とともに自然と改善することが多いのですが、一方でせん妄のために安全な身体的治療をすることが出来なくなってしまうなどして、身体の回復が遅れることがあることもわかっています。
せん妄は適切な環境の調整や薬物療法を行うことで、改善を早めることが出来ることがあります。

抑うつ

ご入院中の患者さんは病気の不安、家族の不安、経済的不安、将来の不安など様々な心配と不安と戦っています。そういったなかで、

●気分の落ち込み
●悪い考えしか思い浮かばなくなる(抑うつ気分、微小妄想)
●本来興味があった活動や物事に関心がなくなる(興味・関心の喪失)
●何かをする気も起きない(意欲低下・施行静止)
●食欲がなくなる、なかなか寝付けない(入眠困難)
●寝てもすぐ目が覚めてしまう(中途覚醒)
●本来の起床時刻よりも数時間早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)

などの症状が現れた状態を、抑うつ状態と言います。

ストレスとなった出来事から3ヶ月以内に発症する軽度の抑うつ状態で、環境が良くなり、心配事が解消されるとともに改善するものを適応障害といい、何をやっても改善せず、2週間を超えてもなお、重度の抑うつ状態が一日中続くものをうつ病と言います。
抑うつの症状を評価するとともに、適切な治療方針を患者さんにお伝えし実行していきます。

緩和ケア

当科は当院緩和ケアチームの一員として、がん患者さんの精神的な苦痛の緩和を担当しています。
緩和ケア内科についてはこちらから

よくある質問

Q1.入院した母が夜間に、「(亡くなった)父が来ている」とか、「火事だ」と落ち着かなかったそうです。家族が面会に行きましたが、母は「ここは会社よね」と的外れな話をするばかりで、まったく話が通じません。せん妄と言われましたが、認知症になってしまったのでしょうか。

認知症に伴ってせん妄が出現することもありますが、もともとしっかりした人が、入院中に突然せん妄になった場合の多くは、治療により回復し、せん妄の原因となる身体の病気が改善するとともに元に戻ります。
身体の病気のコントロールが難しい場合は、薬物療法で睡眠や不安な気持ちをコントロールしていきます。


Q2.精神科の薬を飲むと、人格が変わってしまうのではないかと不安です。

精神科の薬の多くは、脳の中にある神経伝達物質に働きかけることで、効果が表れます。 これらの薬剤は、短いもので数時間、長いものでも数日で、分解、排せつにより身体から排出されるため、薬が人格そのものを変えるということはありません。

ただし、精神科の薬を飲むことで、神経質であった人が、少しおおらかになったり、緊張しやすい人がリラックスできたりすることがあるかもしれません。また、うつ病や統合失調症、双極性障害においては、症状がなくなってからも同じ薬を飲み続けることで再発を防ぐことができると知られています。
また、薬が強く効きすぎると眠気、ふらつきなどが出ることがありますので、担当医と薬の量の調整や変更についてご相談ください。


Q3.カウンセリングはやっていますか?

当院では臨床心理士による専門的カウンセリング等は行っておりません。
医師による問診と、薬物療法が中心となります。
診察時間はおよそ
初診 30分
再診 10分程度です。


Q4.費用はどのくらいかかりますか?

うつ病や、統合失調症、双極性障害など慢性の精神疾患では「自立支援医療制度」を申請することにより、通常の保険医療の3割負担額よりも、少ない自己負担額で医療を受けることが可能です。詳しくは、お住まいの市区町村へお問合せください。


Q5.精神科医は患者の心を見透かしてしまうのですか?

いいえ、精神科医は治療に必要な質問をしながら、患者さんの話に耳を傾けることで、患者さんの困っている問題点にアプローチします。ですから、知られたくないことは話さなければ担当医にはわかりません。 話したくないことを無理に話す必要はありませんが、問題点に向き合う決心が出来たら、担当医の質問に答えてみてください。


Q6.精神科に通っていますが、主治医は「どうすればいいか」を教えてくれません。どうしてでしょうか?

患者さんが一人で解決できないこと、困っていることの答えを一緒に探すのが精神科です。精神科医との対話の中で、患者さん自身が「どうすればいいか」ということに正しく気付いていくことが治療になります。精神科を受診したとしても、すぐに問題を解決する方法教えてもらえるわけではありませんが、じっくりと問題に取り組んでいくことで、どんな難解な問題もいつか解決する日がくると思います。

精神科リエゾンチームによる研究

無床総合病院における自殺企図患者へのケアの取り組みについて