2025/4/18掲載
薬の名前にはアルファベットがついているものがあります。
例えば、プレガバリンOD錠、ミラペックス®LA錠、リンデロン®VG軟膏、アザルフィジン®EN錠等です。
これらは薬の製剤工夫や有効成分等を表すサインとしてアルファベットがついています。
今回はこのアルファベットの意味について、いくつかの分類に分けてお話させていただこうと思います。
水無しで飲める薬
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プレガバリンOD錠やアリセプト®D錠に含まれる”OD”や”D”は、“Orally Disintegrating(口腔内崩壊)”という意味を表しています。
これらの薬は「口腔内崩壊錠」と呼ばれ、水無しで飲むことができるため、錠剤を飲むことが難しい患者さんでも飲みやすいというメリットがあります。
一方で、唾液だけで溶けるため湿度に弱いといった弱点もあります。また、”OD”や”D”だけでなく同じ製剤工夫がされている薬があります。例えば、ゾーミッグ®RM錠は“Rapid Melt(速溶)”を表していますが、水無しで飲むことができる錠剤です。
徐々に放出する薬
ムコソルバン®L錠やミラペックス®LA錠などの”L”や”LA”は“Long Acting(長時間作用)”、パルモディア®XR錠の”XR”は“eXtended Release(持続的な放出)”、ニフェジピンCR錠の”CR”は“Controlled Release(調節された放出)”を表しています。
これらの薬は体の中で徐々に有効成分が吸収されるため、少ない服用回数で長時間作用が持続するというメリットがあります。
一方で、特殊な加工が施されているため、錠剤を割ったり砕いてはいけないという弱点があります。
有効成分に由来があるもの
リンデロン®V軟膏とリンデロン®VG軟膏は一文字しか違いませんが、有効成分が異なります。それぞれ、”betamethasone Valerate(ベタメタゾン:ステロイドと呼ばれる抗炎症薬の一種)”と”Gentamicin(ゲンタマイシン:抗菌薬の一種)”という意味を表します。リンデロン®V軟膏は抗炎症薬のみの製剤であるため、出血がある創部には適しませんが、リンデロン®VG軟膏は抗菌薬が含まれているため、出血を認める創部に対しても有効です。
有効成分の量が異なるもの
カデチア®配合錠には、カデチア®HD配合錠、カデチア®LD配合錠の2種類があります。
”HD”は”High Dose(高用量)”、”LD”は”Low Dose(低用量)”をそれぞれ表し、薬の含まれている量が異なるため、それぞれ効果が異なります。
同じアルファベットでも意味が異なる薬
アザルフィジン®EN錠とアミノレバン®EN配合散には同じ”EN”がついていますが、意味が異なります。アザルフィジン®EN錠は”Enteric(腸溶性)”を表しており、胃ではなく、腸で溶けて体に吸収されます。
一方で、アミノレバン®EN配合散は”Enteral Nutrition(経腸栄養)”を表しており、体に必要な栄養素を補給するための薬という意味を表しています。
最後に
ここでお示ししたものはほんの一部ですが、他にもアルファベットがついた薬はたくさんあります。みなさんの使っている薬にはアルファベットがついていますか?
興味のある方は薬のこのようなところに目をつけて調べてみると、思いがけない発見があるかもしれません。
【参考文献】
各薬剤のインタビューフォーム
- 薬剤科のご紹介
- コラム「後発医薬品(ジェネリック医薬品)の活用推進」
- コラム「医薬品副作用被害救済制度について 」