薬剤科コラム

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の活用推進

薬剤科 永井 俊輝

2025/1/7掲載

病院や薬局でお薬をもらう際に「ジェネリック」という言葉を耳にする機会も多くなったと思います。ジェネリック医薬品に対してどのような印象をお持ちでしょうか?

ジェネリック医薬品と聞くと効き目や副作用に不安がある、使い慣れたものがいい、品質・効果に関して良い情報を聞かない等の理由で敬遠する方もいるかもしれません。

しかしジェネリック医薬品とは電化製品の廉価版のように一部の機能(費用)を削って安価に製造している訳ではありません。

そもそもジェネリック医薬品とは

  • ジェネリック薬品イメージ
  • 医薬品には、一般の薬局・薬店で販売されている「一般用医薬品」と、医療機関で診察を受けたときにお医者さんから処方される「医療用医薬品」があります。さらに、「医療用医薬品」は、先発医薬品と後発医薬品とに分かれていて、後発医薬品はジェネリック医薬品とも呼ばれています。

先発医薬品(新薬)の開発には長い期間と数百億円もの投資が必要で、医薬品メーカーによって独占的に製造・販売できる特許期間等があります。しかし、その特許期間等が終わると、有効成分や製法等は国民共有の財産となり、他の医薬品メーカーでもジェネリック医薬品として製造・販売することができるようになります。ジェネリック医薬品の開発には先発医薬品ほどコストがかからないため結果として薬の値段も先発医薬品と比べて5割程度、中にはそれ以上安く設定されています。

先発医薬品(新薬)安全面においても医薬品メーカーによって様々な試験が行われており、それによって先発医薬品と効き目や安全性が同等であることが証明されたものだけが、厚生労働大臣によって承認されています。

医療費削減にも貢献

日本では高齢化社会が進み、令和3年度の国民医療費は45兆円を超え毎年増加の一途をたどっています。そのうち薬剤費は22%程度を占めています。そのため国はジェネリック医薬品の使用促進を進めてきました。

さらに令和6年10月からは医療機関の処方に従い薬局で薬を購入する際、ジェネリック医薬品のある先発医薬品を患者が希望した場合に、料金が加算される仕組みが始まりました。

ジェネリック医薬品の発売から5年たつなど一定の基準を満たす先発医薬品では、ジェネリック医薬品との差額の4分の1が保険適用されなくなり、「特別の料金」として支払いが増えるケースもあります。
(※資料(厚生労働省 令和3(2021)年度 国民医療費の概況)

薬を長期間服用する場合には、ジェネリック医薬品を使用することで薬代の大幅な削減につながります。さらに、自己負担分を除いた薬代は、私たちの保険料と税金で運営されている公的な医療保険から支払われているため、薬代の削減によって医療保険の支払い額も抑えることで、それに投入される保険料や税金の負担減にもなります。

ジェネリック医薬品をもらうには

病院や薬局で医師・薬剤師にそのことを伝えてください。医師に直接言いにくければ、診察券あるいは保険証(マイナンバーカード)に「ジェネリック医薬品希望シール」を貼付したり、または「ジェネリック医薬品希望カード」を受付に提示したりする方法もあります。

中には先発医薬品の特許がまだ切れておらずジェネリック医薬品がない場合や、処方箋の「変更不可」欄に「✓」または「×」の記入が有り、保険医署名欄に医師の署名がある場合は、ジェネリック医薬品に変更できないこともあるためご了承ください。

【参考文献】
厚生労働省 令和3(2021)年度 国民医療費の概況