栄養管理科コラム

「プリン体って何?」

栄養管理科 管理栄養士 保川 恵里

2022/12/6掲載

  • プリン体って何?
  • 最近はプリン体ゼロと表記されたビールなどもありますね。尿酸値が高い方はプリン体を控えるようにと気を付けている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    今回はプリン体について・高尿酸血症の食事療法について説明します。

プリン体とは

プリン体とは、細胞の核に存在する核酸の主成分であるアデニングアニンなどとして存在します。

あらゆる生物の細胞内に存在するため、ほとんどの食品に含まれています。
体内には食べ物から取り込まれるプリン体のほかにも、新陳代謝によって古い核酸が分解、エネルギー代謝によってプリン体が生成されています。ヒトの体内で重要な役割を担いますが、多すぎると分解されて最終的に尿酸に代謝されます。

尿酸が多くなりすぎると血液の中に尿酸がたまって高尿酸血症をおこします。 尿酸値が7.0ml/dLを超えた高尿酸血症が続くと、結晶化した尿酸塩が関節に沈着し、急性関節炎を引き起こします。これを痛風といいます。ほかに腎臓や尿路に沈着して腎臓障害尿酸結石を起こすこともあります。

では、尿酸値が高い方はプリン体だけを気をつけていれば良いのでしょうか。 それは違います。
高尿酸血症の方の栄養相談をする時以下の①~⑤を確認しています。

① 適正な摂取エネルギーであるか

ご自身でのチェック方法としてはBMI(体重kg÷身長m÷身長m)が25以上の場合は食事量が多いことが考えられます。まずは食事量を見直すことから始めましょう。

② 食事バランスは良好か

バランスの良い食事とは毎食、主食(ご飯、パン、麺など)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜、海藻、きのこ類)を揃えて食べられていることが基本となります。

最近、主食を減らし、また主食を抜き、主菜を多く摂っている方もいらっしゃいます。主菜を多く摂りすぎればプリン体も多く摂ることにも繋がります。 たんぱく質の適量については先月の栄養管理科コラム「たんぱく質について」をご確認下さい。

③プリン体を多く含むものを頻回に食べていないか

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)では1日のプリン体の目安摂取量は400㎎とされています。プリン体を多く含むものを好んで頻繁に食べていないか確認しましょう。

食品のプリン体含有量(100gあたり)

極めて多い
(300㎎~)
鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)など
多い
(200~300㎎)
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ・サンマ)など
中程度
(100~200㎎)
肉(豚、牛、羊)類の多くの部位や魚類、ほうれん草(芽)、ブロッコリースプラウト
少ない
(50~100㎎)
肉類の一部(豚・牛・羊)、魚類の一部、加工肉類、ほうれん草(葉)、カリフラワー
極めて少ない
(~50㎎)
野菜類全般、米などの穀類(鶏・うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など

④アルコールの摂取量は多くないか

「ビールにはプリン体が多いので、別のお酒にしました」という方もいますが、プリン体の含有量にかかわらずアルコール自体が尿酸値を上昇させる働きがあります。アルコールは適量を守り、休肝日も作りましょう。

アルコールの適量

ビール 中ビン1本(500ml)
日本酒 1合(180ml)
ウィスキー・ブランデー ダブル(60ml)
焼酎(35度) 70ml
焼酎(25度) 110ml
ワイン 2杯弱(200ml)

⑤水分はしっかりとれているか

尿酸のほとんどは尿から排泄されるため、飲水量多くすることで尿酸の排泄を助けます。

秋、冬になると夏に比べ水分摂取量が少なくなる傾向があります。ジュースやアルコールではなく、水かお茶などの無糖飲料でこまめに摂取するように心がけましょう。

尿酸値が高いという方は、ご自身の体格を把握し、上記の①~⑤について確認してみてください。
※医師から食事制限・飲水制限のある方は医師の指示に従ってください

【参考文献】
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)/厚生労働省 21世紀における国民健康づくり運動<健康日本21>