栄養管理科コラム

「たんぱく質について」

栄養管理科 管理栄養士 望月 環子

2022/10/31掲載

「たんぱく質」と聞いてマイナスのイメージを持つ方は少ないと思います。体を作るのに必要な栄養素、筋肉を増やしてくれる栄養素、高齢者こそ摂取すべき栄養素・・・などなど、皆さん様々なイメージをお持ちだと思います。

今日はそんな「たんぱく質」についてお話したいと思います。

たんぱく質とは

  • たんぱく質について
  • アミノ酸が多数結合した高分子化合物のことで、炭素・水素・酸素のほか、窒素やイオウを含むのが特徴です。自然界には数百のアミノ酸が存在していますが、たんぱく質の構成成分となるのはわずか20種類だけです。

    この20種類のアミノ酸のうち9種類のアミノ酸は体内で必要量を合成することができません。これを必須アミノ酸といい、食事から摂取する必要があります。この必須アミノ酸が1つでも不足しているとたんぱく質としての栄養的価値が下がります。

必須アミノ酸

ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン

たんぱく質は、筋肉や臓器など体を構成する最も重要な成分で、酵素・ホルモン・免疫抗体などの原料にもなります。また、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品に多く含まれています。

ここまでのお話で、「たんぱく質は体に必要な栄養素」であることは理解して頂けたと思います。では、たんぱく質は沢山食べた方が良いのでしょうか・・・?

答えはNoです!!

たんぱく質は沢山食べたら食べた分だけ、体を構成するための材料に使われるわけではありません。実は過剰な分は尿へ排泄されてしまうのです。たんぱく質の過剰摂取は腎臓に負担をかけてしまい腎機能障害につながる恐れがあります。

その人にあった適量での摂取が推奨されています。
たんぱく質の推奨量は65歳以上の男性なら60g・女性なら50gと設定されています。(日本人の食事摂取基準2020年版より)
※医師より食事制限の指示がある場合は、その指示に従ってください。

たんぱく質60gの1日の目安量

たんぱく質60gの1日の目安量引用:ヘルシーネットワークより

たんぱく質は1食でまとめて摂取するのではなく、3食の食事に分散させて摂取しましょう。また、特定の食材に偏らないよう1日の中で、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品をまんべんなくとるようにすると、アミノ酸バランスも整います。

プロテインは摂取した方が良いの?

最近流行しているプロテインですが、たんぱく質を多く含んでおり、その手軽さが人気の理由かと思います。基本的には、プロテインは不要です。先ほども述べましたが、たんぱく質の過剰摂取は腎臓に負担をかけるリスクがあります。

プロテインから摂取する分のたんぱく質を食事で減らす必要も出てきますので、安易に流行っているからといって摂取しない方が良いと考えます。自分の体のこと、食事摂取状況などを客観的に見て必要なものを選択できる力をつけていきましょう。

さいごに

皆さん、たんぱく質について知ることができたでしょうか?

  1. たんぱく質は適量摂取が大切。過剰摂取は腎臓に負担をかけます
  2. たんぱく質はまとめて摂取するのではなく、3食の食事で分配して摂取しましょう
  3. 特定の食品に偏らないよう、1日の中で、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品をまんべんなく摂取しましょう

この3つのポイントをぜひ覚えておいてください!

【参考文献】
・栄養の基本がわかる図解事典・日本人の食事摂取基準2020年版・ヘルシーネットワーク