ドクターコラム

パーキンソン病の基礎知識と治療

脳神経内科 部長  眞木 二葉

掲載日:2023年12月28日

パーキンソン病とは

パーキンソン病は65歳以上の約100人に1人が発症する病気です。

名前だけはなんとなく聞いたことがある方も多いと思います。今回は、パーキンソン病の基礎知識と治療についてご紹介いたします。

  • パーキンソン病
  • パーキンソン病は振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛、姿勢保持障害(転びやすいこと)が主な症状として現れます。中脳の黒質という場所の神経細胞が減少してドパミンという神経伝達物資が減ることで症状が起こります。現在はドパミン神経細胞の中にアルファ-シヌクレインというタンパク質がたまることで、ドパミン神経細胞が壊れて減少すると考えられています。しかし、何故その蛋白質がたまるようになるのかは分かっていません。

パーキンソン病の症状

振戦(ふるえ)

静かに座っている時や歩いているときなど力を入れていない時に手や足にふるえが起こります。動かすとふるえは小さくなります。

筋強剛

自分で感じることは少ないですが、診察時に手や足を動かすと感じる抵抗(硬さ)を指しています。

動作緩慢

着替えや歩くのが遅くなったり、お財布の中の小銭をとるのが難しいなど細かい動作がしにくくなったりします。

姿勢保持障害

バランスが悪くなり転びやすくなることです。姿勢保持障害は病気が始まって数年してから起こります。最初から起こることは無く、発症早期に姿勢保持障害が起こるときには、他の神経の病気を考えた方がいいとされています。

非運動症状

運動症状の他にも色々な症状があります。便秘やトイレが近い(頻尿)、発汗、匂いがわかりにくくなる、 起立性低血圧 (立ちくらみ)、気分が晴れない、意欲が低下するなどの症状も起こることがあります。

パーキンソン病の診断方法

  • パーキンソン病の頭部MRIは異常ありませんパーキンソン病の頭部MRIは正常です
  • 頭部MRIは異常ありません。神経診察と薬に対する効果で診断します。補助診断として、MIBG心筋シンチグラフィーやDATスキャンなどを用います。

デバイス補助療法(DAT)DATスキャン(左正常、右パーキンソン病)

パーキンソン病の治療方法

薬物療法

基本は薬物療法です。神経の伝達物資であるドパミンが減少するため、少なくなったドパミンを補います(L-dopa)。ドパミン受容体刺激薬はドパミン神経細胞を介さずに、直接ドパミン受容体に作用し、少なくなったドパミンを補う作用があります。ドパミン神経以外の受容体にも作用して症状改善をはかる薬が多くあります。体内でL-dopaが分解されることを防ぎ、効率よく脳の神経にドーパミンを補充するための薬剤も使用されます。

デバイス補助療法(DAT)

  • DBS 脳の手術をすることもありますDBS 脳の手術をすることもあります
  • 内服治療以外の治療方法です。手術療法として脳深部刺激療法(DBS:deep brain stimulation)があります。DBSは脳深部に電極を留置し、前胸部に植え込んだ刺激装置で高頻度刺激する治療法です。手術は現在の病状や予想される結果を主治医と十分相談してから受けることが大切です。

    また、MRガイド下集束超音波治療(FUS)やL-ドパ・カルビドパ配合経腸用液(LCIG)療法、持続皮下注療法などの治療も行われます。LCIGでは、ゲル状にしたL-ドパを胃ろうから小腸まで挿入したチューブを通してポンプで持続的に投与することで薬の効果を維持します。

リハビリや心構えについて

散歩やストレッチなど、毎日少しずつでも運動を続けることは重要です。また、気持ちを前向きに明るく保つことも重要です。多くの治療薬が使用できるようになり、パーキンソン病の方の平均寿命は全体の平均とほとんど変わらないと考えられています。主治医の先生と二人三脚で治療を行いつつ、明るく楽しい生活をしていくことが重要です。