掲載日:2023年4月4日
歯の病気といえば?
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みなさん「歯の病気」といわれて思いつくのは何ですか?「むし歯」や「歯周病」ではないでしょうか。
しかし、歯が原因でできる病気はむし歯や歯周病だけではありません。痛みや顔の痺れ(知覚麻痺)などの症状があらわれて気づくこともありますが、レントゲンを撮影して初めて病気が発覚することが多くあります。
それは、顎の骨の中にできる病気です。
歯が原因でできる病気(歯原性)は大きく嚢胞、腫瘍に分類されます。
嚢胞は、袋の中に液体や気体が含まれている病変のことです。また腫瘍は無限に増殖する能力をもつ=再発することがある病変のことです。
2022年歯原性嚢胞、歯原性腫瘍の症例数ランキング
当科の2022年の歯原性嚢胞、歯原性腫瘍の症例数は、
- 1位 歯根嚢胞(しこんのうほう)
- 2位 含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)
- 3位 エナメル上皮腫(じょうひしゅ)
- 4位 歯原性角化嚢胞(しげんせいかっかのうほう)
- 5位 歯牙腫(しがしゅ)
以上の結果でした。
1位 歯根嚢胞
むし歯が進行すると歯の神経に感染が起こり、根の先端に炎症が波及します。それが慢性化すると歯の根の先に袋ができます。
2位 含歯性嚢胞
骨の中に埋まった歯の頭の周囲にできます。無症状に経過し、レントゲン撮影で偶然発見されることが多くみられます。
3位 エナメル上皮腫
感染がなければ痛みはなく、顎骨が腫れることや歯が移動して歯並びが悪くなることで気づきます。大きくなると顔面が非対称となります。
4位 歯原性角化嚢胞
以前は、再発が多いため腫瘍に分類されていましたが、2017年から名称が変更され嚢胞に分類されました。歯を構成する細胞が嚢胞化して起こります。
5位 歯牙腫
永久歯が生えてこない、顎の骨が腫れているといった症状でレントゲンを撮影した際に偶然発見されることが多いです。歯が塊状になったものや、小さな歯の集合体として認められます。
治療法について
治療法は、病気の状態によって日帰り手術でできるものや、全身麻酔を使用して入院下で行う手術など様々で、病変を摘出することが基本です。それと共に、原因の歯を抜いたり、歯の根を一部切除します。
また、病気の周囲の顎の骨を削ったり、切除することもあります。症例によって適応、不適応がありますのでこれが全てではありません。担当医にご相談ください。
さいごに
歯が原因でできる病気をいくつかあげました。むし歯や、歯周病だけでなく様々な病気が顎の骨の中にできます。
症状が出現する前に、また病変が小さなうちに治療するためには、かかりつけ歯科での定期的なメンテナンスが重要です。
ぜひ、かかりつけ歯科を持ちましょう!
そして、今回お話しした病気が疑われましたら口腔外科にご相談ください。
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