ドクターコラム

脳卒中のカテーテル治療をご存じですか?

脳神経外科 (脳血管内治療部門)部長 藤本 道生

掲載日:2022年5月19日

みなさんは「脳卒中」と聞くと、どのような病気を想像されますか?

手足が不自由になったり、言葉が上手く話せなくなったり・・・・そのようなイメージを抱かれる方も多いと思います。実際に、脳卒中は“寝たきりになる病気” として最多であり、多くの方が不自由な生活を余儀なくされてしまいます。そのような病気を少しでもよくするために様々な治療が行われています。そのなかで今回は脳卒中のカテーテル治療をご紹介いたします。

脳卒中とは

脳卒中とは、“卒然として中る(あたる)“からきた言葉であり、”突然おこる” という意味があります。したがって「脳卒中」は脳の血管に問題がおきることで突然に生じる病気を意味し、現在では脳血管障害と言われます。

具体的には①脳梗塞、②くも膜下出血、③脳出血があり、それらをまとめて脳卒中といいます。

脳卒中のカテーテル治療とは

① 脳梗塞

脳の血管が詰まってしまい、脳に血流がいかなくなると、脳が障害を受けて脳梗塞に陥ります。

脳の太い血管が閉塞してしまうと、広範囲に脳が障害を受けてしまい、運動麻痺や言語障害だけでなく、意識障害や寝たきりになってしまうことがあります。

  • 脳卒中のカテーテル治療
  • このような場合には脳のカテーテル治療(ステントという細い筒状の金属で血栓を絡め取る)が行われ、発症から短時間で治療が行えれば劇的に症状が改善する患者様もいらっしゃいます。

    もちろん全ての脳梗塞が治せる訳ではなく、適応は限られていますが、脳梗塞のカテーテル治療は飛躍的な進歩を遂げており、更に良い治療が生まれることが期待されています。

  • 脳のカテーテル治療脳のカテーテル治療①
  • 脳のカテーテル治療脳のカテーテル治療②

②くも膜下出血

脳の血管にできた瘤(動脈瘤)が破れて出血した状態を 「くも膜下出血」といいます。容易に再出血をおこして致命的になることがあるため、緊急手術で出血を止める必要があります。

脳動脈瘤に対するカテーテル治療では、脳動脈瘤の中にコイルと言われるプラチナ製の糸状の金属を留置することで出血を防ぎます。この治療は日進月歩で進化・改善されており、以前では治療困難であったような大型の脳動脈瘤の治療もできるようになってきています。

開頭する必要がないため、“切らない手術”などと言われることもあり、身体への侵襲をより小さくすることが可能です。

  • 脳動脈瘤に対するカテーテル治療脳動脈瘤に対するカテーテル治療①
  • 脳動脈瘤に対するカテーテル治療脳動脈瘤に対するカテーテル治療②

いずれの病気も、かからないことが一番大切なことです。生活習慣病に気をつけて生活することが大切であり、また脳ドックなども病気の早期発見に有効です。