リハビリテーション科コラム

体力・気力の低下 諦めるにはまだ早いかも!?

リハビリテーション科 理学療法士 深野 巧幹

2023/1/18掲載

高齢社会世界ランキング1位の日本。「人生100年時代」、「健康寿命」など長寿と関係するような言葉を生活の中で聞くことが多くなってきたと感じます。その中でも「フレイル」という言葉を皆さんご存じですか?

歳を重ねれば、生物として避けられない体力・気力の低下が出現します。この状況を以前は「虚弱」と表現していましたが、2019年に日本老年医学会が英語で「虚弱」を表す「フレイル」 を用いることに決定をしました。

フレイル

フレイルとは

自立した生活ができなくなるまでの期間を「健康寿命」と言い、「フレイル」はささいなストレス・疾患がきっかけになり要介護状態に至る可能性が高い状態を言います。このことからフレイルは健康寿命が終わりに近づいていることを示しておりますが、適切な心掛けをしていくことで、自立した状態を維持することができると言われています。

フレイルの診断基準

表 改訂J-CHS基準 (2020年)参考①

項目 評価基準
体重減少 6ヵ月で、2kg以上の(意図しない)体重減少
筋力低下 握力:男性<28kg、女性<18kg
疲労感 (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度 通常歩行速度<1.0m/秒
身体活動 ①軽い運動・体操をしていますか?
②定期的な運動・スポーツをしていますか?
上記2つのいずれも「週に1回もしていないと」回答

<判定方法>
・健常高齢者:いずれも該当しない
・プレフレイル(フレイル予備軍):上記の項目の1つ、2つに該当する
・フレイル:上記項目の3つ以上に該当する

フレイルの予防

歳を重ねるとともに、身体機能は徐々に低下がみられますが、見た目による変化などは気づきにくいものになっています。身体機能・脳の機能低下は「歳をとったからしょうがない」と思いがちではありますが、寿命などの老化に影響を与える4分の3は生活習慣が関わるとも最近では言われてきています。

今一度自身の生活習慣がみだれていないか、食生活や、定期的な運動(散歩・体操・筋トレ)が保てているか、社会活動に参加しているかどうか、お時間がある時にでも検討してみてはいかがでしょうか。

【参考・引用文献】
①Shosuke Satake and Hidenori Arai. The revised Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria (revised J-CHS criteria). Geriatr Gerontol Int . 20(10):992-993. 2020.
②健康長寿教室テキスト第2版
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