2022年2月号(2022年2月28日掲載)

転倒のヒヤリ・ハット

リハビリテーション科 理学療法士 井上 美里

ヒヤリ・ハットとは?

  • 転倒のヒヤリ・ハット
  • コロナ禍でのおうち時間に加えて、冬の寒さも本格的になってきました。おうち時間を過ごす中で、みなさんは自宅内でケガには至らなかったものの、躓いたりして『ヒヤッ!』としたり『ハッ!』としたことはありますでしょうか。

    大事には至らなかったものの、「危なかった~」と感じた事象は、「ヒヤリ・ハット」と呼ばれています。

今回は高齢者が自宅で経験することの多いヒヤリ・ハットの中でも「転倒」についてお話させていただきます。

ヒヤリ・ハット経験者はどれくらいいるの?

  • ヒヤリ・ハットや危害経験データ
  • 東京都が「シニア世代の身の回り」をテーマにヒヤリ・ハット体験を調査したところ、全体の66.3%の人が過去5年間に日常生活でヒヤリ・ハットや危害の経験があると回答されました。

    危害の実例として、転倒、火の消し忘れや引火による火災、熱中症や脱水の経験が多くなっています。

ヒヤリ・ハット経験は自宅のどの場所で?

「長年住み慣れた家だから大丈夫」と思っていても、自宅内には転倒に繋がる危険な場所が多くあります。実際に転倒の発症事例が多い場所としては、1番目にリビング・居間、2番目に玄関・階段・廊下となっています。

リビング・居間では敷居やコンセントへの引っ掛かり床やフローリングで滑ってしまうといった危険があります。特に冬場になると、こたつに躓く事例も増加するようです。

玄関・階段・廊下では段差の踏み外し、敷居に引っ掛かることで転倒。また、玄関の上がり框の段差を登り切れずに転倒してしまう事例も多くなっています。

どちらの場所も、危険があるはずもないという「油断」と、小さな段差などでも転倒してしまう足腰の「筋力低下」、この2つの要因が合わさって転倒に繋がりかねないヒヤリ・ハット経験を生んでしまうと言われています。

ヒヤリ・ハットの対策

  • ヒヤリ・ハットの対策
  • これまでお話したように、自宅内には転倒に繋がる危険がたくさんあります。 対策として、フローリングに滑り止めマットを敷く階段や段差には小さなスロープを設けて段差を解消したり、手すりや支えになる物を近くに設置するなどの工夫をすると転倒を防ぎやすくなります。

また、足に合っていなかったり底が滑りやすいスリッパは転倒に繋がりますので、かかとのある部屋履きの靴や滑り止めが付いたスリッパを選ぶことも転倒軽減になります。

筋力の衰えも大きく関係しています。寒くなり外出頻度が減り、運動機会も少なくなってしまった方も多いと思います。気づかないうちに体力が落ちているかもしれません。散歩や体操など、無理のない範囲で、日常的に運動を行うことで転倒予防に繋がりますので是非行ってみてください。

今のうちから出来る対策でヒヤリ・ハットを防ぎ、大きな事故・ケガに繋がらないようにしていきましょう。

【参考文献】東京くらしWEB

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