PET-CT 検査に関するよくある質問

PET-CT検査に関するよくある質問

Q1:PET検査およびPET/CT検査とは?

PET(ペット、ポジトロン断層撮影法)検査とは、ポジトロン(陽電子)という放射線を出す物質(放射性同位元素)注}を含んだくすり(放射性薬剤)を注射し、そこから出る放射線をPET装置で検出することによって、くすりの体内分布を画像化して病気を診断する検査法で、生体機能の「はたらき」を画像化します。
一方、X線CT(X線断層撮影法)は、体の外からX線をあてて通り抜けたX線を測定し、X線の影、すなわち 臓器の「かたち」を画像化する検査です。PET/CT装置はPETとX線CTを連結した装置で、くすりの投与後に、PET画像とX線CT画像を撮影します。PETで「はたらき」を、X線CTで「かたち」を画像化し、両者を組み合わせた情報が得られます。

注}PET検査に使用する放射性薬剤をくすりと表記しますが、必ずしも薬事法上の医薬品を意味するものではありません。

Q2:ポジトロンとは?

ポジトロンとは、陽電子といって正(プラス)の電荷をもった電子のことです。通常、「電子」は負(マイナス)の電荷をもっていますが、ポジトロンはそれとは反対の電荷をもっているわけです。そこで、正の電荷をもつポジトロンと負の電荷をもつ普通の電子は、互いに引き寄せあう性質があるために、ポジトロンはすぐに電子と結合します。この結合の瞬間に、ポジトロンも電子も消滅してしまいますが、この時、2本の放射線を正反対の方向へ放出します。この放射線を「PET装置」で検出することによって、ポジトロンを出す放射性同位元素の体内分布の様子を画像にするのです。

Q3:PET検査で使う放射性同位元素はどのようなものがありますか?

表-1のように、PET検査で使う放射性同位元素は、炭素、酸素、窒素といった身体を構成している元素です。われわれの体に関係するさまざまな物質に放射性同位元素をつけることができます。PET検査で最もよく使われる18F-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)というくすりは、ブドウ糖に似た物質に放射性の18F(フッ素)をつけたもので、注射すると、ブドウ糖をよく使う、がん、脳、心筋などに集まります。一方、どんな放射性同位元素も放射線を出し自然に放射能が減っていきます。放射能が半分になる時間を半減期といいます。PET検査で使うY放射性同位元素は半減期が短いためすぐに減ってしまうので、病院内にサイクロトロという機械を設置して院内で製造されます。
例外的に、 18F-FDGだけは比較的半減期が長く製薬会社から放射性医薬品として発売もされているので、PET施設は院内で製造しないで購入して使用することもできます。

表-1 PET検査で使う放射性同位元素
名称 半減期
11C(炭素) 20分
13N(窒素) 10分
15O(酸素) 2分
18F(フッ素) 110分
Q4:PETに用いられるくすりにはどのようなものがありますか?

人体に必要とされる酸素、水、糖、アミノ酸、脂肪酸、核酸の原料、神経伝達物質などに、ポジトロン核種を標識した化合物が、PET検査に用いられるくすりです。検査の目的に適したくすりを、静脈注射や呼吸により体内に取り込むことによって、脳、心臓、がんなどに集積した部分から出る放射線をPET装置で検出することで診断します。

※ポジトロンという放射線を出す放射性同位元素をポジトロン核種と呼んでいます。「標識」とは、目印になるポジトロン核種を合物の一部に組み込んだり、置き換えたりすることです。標識された化合物からは放射線がでますので、これをPET装置で検出することが出来るのです。

表-2 PET検査に用いられる代表的なくすり
くすり 剤形 検査目的
18F・フルオロデオキシグルコース(18F-FDG) 注射剤 がん検査、脳機能検査、心筋機能検査
15O酸素ガス 吸入剤 脳酸素消費量の検査
15O酸素ガス 吸入剤 脳酸素消費量の検査
15O一酸化炭素ガス 吸入剤 脳血液量の検査
15O二酸化炭素ガス 吸入剤 脳血液量の検査
15O水 注射剤 脳、心筋血流量の検査
11C-メチオニン 注射剤 がん検査
11C酢酸 注射剤 心筋機能検査
11C-コリン 注射剤 がん検査
13N-アンモニア 注射剤 心筋血流量の検査

Q5:PET検査に用いられるくすりはどのようにしてつくられるのですか?

PET検査用のくすりは、それを標識しているポジトロン核種の半減期(寿命)がきわめて短いので、病院内にある専用の施設でつくられます。ただし、18Fの半減期は約2時間であることから、18F-FDGは病院内でつくられる以外に製薬会社から供給されています。いずれの場合においても、サイクロトロンと呼ばれる装置でポジトロン核種を製造し、できたポジトロン核種の種々の方法でくすりの元となる化合物に標識して、目的の「くすり」をつくります。そして、純度や安全性などの品質を試験し、合格したくすりをPET検査に用いるのです。

Q6:PET検査は健康保険で受診できるのですか?

公的健康保険が適用されるPET検査は、下記のとおりです。

病  名 剤形検査目的
1.てんかん 難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。
2.心疾患 虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断(他の検査で判断のつかない場合に限る)
または、心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者に使用する。
3.悪性腫瘍
(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む)
他の検査、画像診断により病気診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用する。

※詳細については、検査の担当者へお尋ね下さい。


Q7:がんのPET検査では何がわかるのですか?

がん細胞は、増殖するために正常細胞よりたくさんのブドウ糖(グルコース)を必要とします。このためグルコースの代謝を診断するくすり18F-FDGを静脈注射するとがんの病巣にたくさん集まります。集まったところから出る放射線をPET装置で体の外から検出することにより、がんの病巣を画像で診断することができます。
がんのPET検査は、病巣が悪性か良性かの診断、転移がないかどうか、治療後の再発がないかどうか、病巣が治療に反応しているかどうかを調べることができ、治療法や治療範囲を決めるのに大変役立ちます。特に予想外の病巣が見つかることで、治療方法・治療範囲を正しく決めることができます。

Q8:PET検査前の注意事項は?

PET検査当日は朝から食事をしてはいけません。お菓子や甘い飲み物もとらないでください。
水や緑茶など砂糖の入らない飲み物は十分とってください。 18F-FDGを注射する前後は、十分に水分をとって、余分な18F-FDGを尿に排泄しやすくします。撮影前には排尿していただきます。筋肉を使うと18F-FDGが筋肉に集まってしまうので、18F-FDGを注射した後は安静にして、撮影まで約1時間待機します。
胃や大腸のバリウム透視は、PET検査の障害になるため、PET検査前2~3日は避けてください。なお、PET検査を受けられる方は、医師の指示にしたがってください。

Q9:PET検査でわからないがんは?

PET検査ですべてのがんがわかるわけではありません。早期胃癌はPET検査では診断できないので内視鏡(胃カメラ)検査をする必要があります。
前立腺癌・腎癌・膀胱癌は、もともと 18F-FDGが集まりにくく、また腎から尿に排泄される18F-FDGと区別が難しく、PET検査で診断は困難です。肝臓癌も18F-FDGが集まりにくく、PET検査で診断が難しいことがあります。
健康保険適用の対象となっているがんでも、1cm以下の小さな病巣では検出が難しいことがあります。

Q10:PET検査はがんの早期発見に役立つのですか?

大変役に立ちます。しかしすべてのがんがPET検査のみで早期発見できるわけではありません。PET検査でみつかるがんもあれば、見つけにくいがんもあります(「Q9:PET検査ではわからないがんは?」参照)。またPET検査は全身の広い範囲を、1回の楽な検査で、しかも多くの種類のがんを検査できることが最大の特徴です。特定の種類のがんだけを早期に発見するのであれば、超音波検査やX線CT、内視鏡などの検査法の方が優れている場合があるので、PET検査とその他の検査法を組み合わせることが重要です。

Q11:PET検査は腫瘍の良性か悪性かの診断に役立つのですか?

悪性の腫瘍では18F-FDGの取り込みが強く、良性の腫瘍では取り込みが弱いことが多いので、ある程度診断に役立ちます。しかし腫瘍の大きさや性質の違いなどのさまざまな要因から、すべての腫瘍で悪性か良性かがきちんと診断できるわけではありません。
特に炎症は18F-FDGの取り込みが強いので、しばしば悪性腫瘍とまぎらわしいことがあります。

Q12:PET検査の被ばくはどのくらいあるのですか?

PET検査では、放射線を出すポジトロン核種で標識したくすりを静脈から注射、あるいは呼吸によって吸入しますので、わずかですが放射線をあびます(=被ばく)。 たとえば、18F-FDGというくすりを注射してPET検査を一回受けると、およそ3.5mSv(ミリシーベルト)になります。これは、人が地球上で普通に暮らしていて、大地や宇宙からの放射線、体内にある放射性元素などによって被ばくする平均的な線量である2.4mSv※の約1.5倍の量です。
また最近のX線CTを組み込んだPET/CT検査では、X線CTによる被ばく(数mSv~十数mSv)が加わります。

2.4mSv※:国連科学委員会の報告書による世界平均の被ばく量です。

Q13:PET検査による被ばくではどのような影響があるのですか?

PET検査の3.5mSv(PET/CTの場合数mSv~十数mSv)という線量では、急性の放射線障害が起きる可能性はいっさいありません。また、将来のがんの発生などを心配されているとしても、この程度の線量ではその可能性はほとんどないと言えます。
国際放射線防護委員会によれば、1mSvの被ばくによって20,000人に1人の人が将来 がんで死亡する可能性があるとされています。これはどんなに少ない放射線でもがんが発生する可能性あるという仮説に基づいて推定された確立ですが、実際にはこの線量で発がんが確認された例はありません。また、特定の人がそうなるという意味でもありません。結論としてPET(PET/CT)検査で受ける程度の被ばくではほとんど心配ないということになります。

※一般には、放射線被ばくはできるだけ少なくするのが原則的な考え方です。しかし医療の場合には、診療の結果、患者さんが受ける利益(検査によって病気の正確な診断や最適な治療法を選択できるなどの利益)が、放射線の被ばくによる害を上回ると医師が判断した場合には、特定の被ばく線量の限度を設けなくてよいことになっています。