子宮体がん|産婦人科

子宮体がん(子宮内膜がん)とは

  • 人体骨図

  • 子宮体部の壁は、内側から、内膜、筋層、漿膜からできています。子宮体がんは内膜から発生するもので、子宮内膜がんとも呼ばれています。

子宮体がんの原因と症状

子宮体がんは、エストロゲンという女性ホルモンの刺激が長期間続くことが原因で発生する場合と、エストロゲンとは関係のない原因で発生する場合がありますが、約8割はエストロゲンの長期的な刺激と関連していると考えられています。エストロゲンが関係していると考えられる子宮体がんでは、肥満、閉経が遅い、出産経験がないなどの場合に発症リスクが高くなることが分っています。

  1. 高脂肪・高カロリーの食事をし、肥満体質の人
  2. 糖尿病・高血圧の人
  3. 妊娠・出産経験のない人・少ない人
  4. 若い頃月経がない、月経不順、ホルモン異常がある人
  5. 家族に子宮体がん・卵巣がん・乳がん・大腸がんの人がいる
  6. 乳がんのホルモン療法で使用するタモキシフェン、ホルモン補充療法で使用するエストロゲン製剤を使っている人

罹患状況は、40歳代から多くなり、50歳から60歳代の閉経前後で最も多くなっています。近年は食生活の欧米化などに伴い増加しているといわれています。

検査と診断

子宮体がんの検診は、子宮内膜を少しとり、細胞と組織に異常がないかを調べる病理検査・病理診断を行います。がんの拡張を調べる検査は、内診/直腸診・子宮鏡検査・超音波検査・CT検査/MRI検査等です。

細胞診

  • 人体骨図

  • 細いチューブのような器具で子宮内膜の細胞を少しとり、正常な細胞かどうかを顕微鏡で診断します。人によって違いますが、痛みを感じる場合があります。細胞診の結果は「陰性」「偽陰性」「陽性」の3段階で診断されますが、「クラス」で表すこともありますが、「病期(ステージ)」とは異なります。

組織診

細胞診で異常があった場合、細いスプーンやチューブのような器具で、疑わしい部分の内膜を削り取ったり吸い取ったりして、顕微鏡で観察します。内膜全部を採取する場合、全面掻把(そうは)といい、痛みを伴うので麻酔をかけます。

内診・直腸診

子宮や卵巣の状態を、腟から指を差し入れて調べます。直腸やその周囲に異常がないかを、肛門から指を差し入れて調べることもあります。

子宮鏡検査

  • 人体骨図

  • がんの位置や形状を直接確認するため、内視鏡を腟から子宮体部に入れて診ることがあります。病理診断と組合わせて行うことが多く、直径3mm程度の細かいカメラを用いるので、痛みはほとんど起こりません。

超音波(エコー)検査

体の表面にあてた器具から超音波を出し、臓器で反射した超音波の様子を画像にして観察する検査です。子宮体がんでは、超音波を出す器具を腟にいれ、体部内を観察する方法が用いられます。この検査によって腫瘍と周囲の臓器との位置関係を調べます。

CT・MRI・PET-CT検査

肺、肝臓など遠隔臓器への転移の有無、リンパ節転移の診断、周辺臓器への浸潤(がんが周囲に広がること)の程度の診断に威力を発揮します。造影剤を使用する場合、アレルギーが起きることがあります。

  • 3.0T(テスラ)MRI3.0T(テスラ)MRI

  • PET-CTPET-CT

子宮体がんのステージ

ステージの種類 内  容 深達度による分類
ステージⅠA がんが子宮体部にのみ認められるもの
(子宮頸部、その他にがんは認められない)子宮筋層の1/2未満のもの
ステージ1
ステージⅠB がんが子宮体部にのみ認められるもの
(子宮頸部、その他にがんは認められない)子宮筋層の1/2以上のもの
ステージ2
ステージⅡ がんが子宮体部を越えて子宮頸部に広がったもの
(がんは子宮の外に出ていない)
ステージ4
ステージⅢA がんが子宮の外の膜や骨盤の腹膜あるいは卵巣卵管に広がっているもの ステージ4
ステージⅢB 腟ならびに/あるいは子宮傍組織に広がったもの ステージ4
ステージⅢC1 骨盤リンパ節転移があるもの ステージ4
ステージⅢC2 骨盤リンパ節への転移の有無に関わらず、傍大動脈リンパ節転移があるもの ステージ4
ステージⅣA 膀胱ならびに/あるいは腸の粘膜までがんの浸潤を認めるもの ステージ3
ステージⅣB 腹腔内ならびに/あるいは鼠径部(そけいぶ:足のつけ根)のリンパ節転移を含む遠隔転移のあるもの ステージ4

子宮体がんの治療

病期による治療の選択

臨床病期

1.手術

がんの広がりを取り除くと同時に、病巣の広がりを正確に診断し、放射線治療や化学療法等を行うかどうかを判断します。手術には以下の方法があります。

子宮切除の方法

  1. 単純子宮全摘出術・・・子宮を切除する方法
  2. 単純子宮全摘出術+両側付属器(卵巣・卵管)切除術・・・子宮と卵巣・卵管を切除する方法
  3. 準広汎子宮全摘出術+卵巣・卵管切除術
    ・・・子宮と卵巣・卵管に加えて、子宮を支える組織の一部を切除する方法
  4. 広汎子宮全摘出術
    ・・・子宮の腟の一部、卵巣・卵管を含めて、骨盤壁近くから広い範囲で切除する方法。(リンパ節も同時に切除する)
  • ①単純子宮全摘出術

  • 腹部を開き、子宮を切除します。

  • ②単純子宮全摘出術+両側付属器(卵巣・卵管)切除術

  • 腹部を開き、子宮、卵巣、卵管を切除し、手術前の診断で、子宮内膜異型増殖症と判明している場合は、標準的にこの手術が行われます。手術前の診断でI期以上の場合には、これに加えて、骨盤内や腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行う場合があります。

  • 広汎子宮全摘出術

  • 子宮と卵巣・卵管に加えて、子宮を支える組織の一部およびリンパ節を切除します。

  • ④広汎子宮全摘出術

  • 子宮、卵管、卵巣、腟および子宮周囲の組織を含めた広い範囲を切除し、手術前の診断で、がんが子宮の頸部に及んでいる場合(II期およびIII期の一部)等に選択されることがあります。普通、広汎性子宮全摘出術は、骨盤内リンパ節郭清を行い、同時に、腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行う場合もあります。

後腹膜リンパ節郭清

  1. 骨盤リンパ節
  2. 骨盤リンパ節+傍大動脈リンパ節

2.化学療法

化学療法は、抗がん剤を用いて体内のがん細胞増殖の抑制を狙います。薬剤は、通常、点滴静注注射で投与をおこないますが、経口剤としての内服や筋肉注射で投与することもあります。 化学療法は術後の補助療法としてのほか、子宮体がんが子宮の外に拡がっている場合にも適応となります。

3.ホルモン療法

子宮体がんの治療法として、ホルモン剤(プロゲステロン剤)を使用した治療も行われています。子宮全摘術などの外科的治療後には使用されていませんが、異型内膜増殖症や、IA期の高分化型子宮体がんで、妊娠を強く希望される患者さんに対して、高容量黄体ホルモン療法が行われることがあります。再発率も高いため、慎重な経過観察が必要となります。

4.放射線治療

1.外照射
直線加速器(リニアック)と呼ばれる大型の機械で、体の外から体内の病巣部に放射線を照射し、1日1回の治療を5~6週間かけて行います。治療が必要な範囲の形に合わせた正確な照射範囲を定めるために、専用のコンピュータを用いて最適な照射計画を選択します。

2.腔内照射
子宮内に治療用器具を挿入し、子宮の中から放射線治療を行う方法です。子宮の近くにたくさんの放射線をあてることができます。通常週1回、計4回程度行います。

当院の子宮がん治療の特徴(⇒詳細についてはこちら)