広報紙 vol.98しんゆりニュースレター

掲載日:2026-8-1

耳鼻咽喉科特集

耳鼻咽喉科特集|広報紙

充実した耳鼻咽喉科診療と、迅速かつ安全な手術を

  • 新百合ヶ丘総合病院
    耳鼻咽喉科 部長

    しおの おさむ

    塩野 理 医師
  • 【プロフィール】
    1998年横浜市立大学医学部卒業。2000年横浜逓信病院耳鼻咽喉科。02年平塚共済病院耳鼻咽喉科。04年横浜船員保険病院(現:横浜保土ケ谷中央病院)耳鼻咽喉科。08年横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科助教。14年横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科助教。15年横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師。16年横浜労災病院耳鼻咽喉科部長。24年横浜市立市民病院耳鼻咽喉科診療科長。2026年4月より現職。
  • 2026年4月より耳鼻咽喉科の常勤医師が3名着任し、新体制となりました。それまでの半年間、常勤医が不在となり、近隣の先生方や患者さんにはご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした。これまで通りの外来診療に加え、手術や緊急入院の対応が可能となりましたので、充実した耳鼻咽喉科診療を行ってまいります。

    耳鼻咽喉科の対象となる患者さんは、老若男女を問いません。頭蓋底から鎖骨までの領域で、眼球を除いたすべての臓器を扱います。外科治療、内科治療ともに行うため、耳、鼻、のどは耳鼻咽喉科の専門領域となり、他の診療科から見ると「ブラックボックス」と称されます。そのため、専門性の高い知識や技術とともに、他診療科との連携も大切だと考えています。IgA腎症や掌蹠膿疱症など扁桃病巣感染症に対する扁桃摘出術や、長期間の人工呼吸器管理が必要な場合の気管切開術、誤嚥性肺炎を繰り返す方の評価や嚥下機能改善術など、お気軽にご相談ください。

  • 私は横浜市立大学の二つの附属病院に10年半在籍し、大きながんの手術や若手医師の教育に携わってきました。その後も部長として横浜労災病院に7年半、横浜市立市民病院に2年勤務しておりました。得意分野は「耳鼻咽喉科の手術」ですので、耳、鼻、のど、頭頸部腫瘍など、なんでもご相談ください。とくに鼻・副鼻腔領域については、日本鼻科学会が定める鼻科手術指導医制度の暫定指導医資格を持っており、患者さんのニーズに合わせて積極的に手術を行っています。

    近年、東京や大阪など大都市圏において、耳鼻咽喉科の勤務医不足が問題となっています。大学病院の耳鼻科では、がんの手術から扁桃腺、蓄膿症の手術まで行います。がんの手術は数カ月待つことはできませんので、予定されていた扁桃腺や蓄膿症の手術などは後回しになります。近隣の大学病院では、3カ月から半年ほど待つのが普通です。しかし患者さんは症状がつらくて困っているため手術を希望していますし、お仕事や家庭などの社会的事情もあります。新体制となったからには、このようなニーズにも応えられるよう、迅速かつ安全に手術を行っていきたいと考えております。

【目次】

耳鼻咽喉科の手術

耳鼻咽喉科のイメージはどんなものでしょうか。耳あかや鼻水を掃除してもらう、モクモクとした煙を鼻や口から吸う、週に1~2回こまめに通う、といった、いわゆる町のお医者さんというイメージかもしれません。しかし、病院の耳鼻咽喉科では手術もします。いったいどんな手術をするのか、解説します。

耳の手術

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    鼓膜
  • 耳の奥には鼓膜や中耳、内耳といった聞こえに関する部分や、平衡感覚に関係する三半規管、また顔面神経などの臓器があります。外耳のできものや中耳炎、高度の難聴、顔面神経麻痺などが手術の対象となります。中耳に膿やお水が溜まる、急性中耳炎や滲出性中耳炎はお子さんに多い病気です。飲み薬で改善しない場合、鼓膜を切開してお水を抜いたり、切開した孔が閉じないようにチューブを留置したりすることがあります。

真珠腫性中耳炎という病気では、真珠腫を摘出し、鼓膜の近くを耳掃除がしやすいように形成します。耳小骨という音を伝える小さな骨が壊れている場合、軟骨で作り直すと聞こえやすくなることがあります。中耳炎の手術は内視鏡で行うことがあります。

顔面神経は聞こえや平衡感覚の神経と共に頭蓋骨を出てきますが、耳の奥で長い骨のトンネルの中を走行しています。重度の顔面神経麻痺では、耳の後ろから骨のトンネルを削って顔面神経の圧力を解放してあげる手術を行うことがあります。

鼻の手術

鼻を左右に仕切る鼻中隔の弯曲や、粘膜が肥厚して鼻詰まりの原因になっている場合、慢性的な蓄膿症などが手術の対象となります。ひと昔前、鼻中隔前方の弯曲(前弯)は耳鼻科医が触らない場所でした。前弯を矯正した場合、鼻中隔の強度が弱くなってしまい、鼻が低くなる危険があるためです。最近では、鼻中隔後方の骨や軟骨を前方に移動させ、添え木として補強することで、強度を保ちながら前弯を矯正することが可能です。ただし、鼻中隔弯曲と外鼻変形の矯正が同時に必要な場合は、他院へ紹介します。

下鼻甲介というヒダが肥厚している場合、中心の骨だけを切除し、粘膜全体の厚みを薄くして鼻詰まりを改善させることがあります。くしゃみや水っ洟がひっきりなしに出る場合は、同時に後鼻神経切断術を併用します(アレルギー性鼻炎の検査値にもよります)。

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    鼻腔
  • 蓄膿症は、副鼻腔という左右4つずつある鼻の周りの空洞(細い孔で鼻と交通)に炎症が慢性的に起こっている病気です。現在、蓄膿症の手術はほとんどを内視鏡で行います。鼻と副鼻腔との交通を大きく広げることで、副鼻腔の炎症を改善させます。蓄膿症のうち、「好酸球性副鼻腔炎」という病気が問題になっています。このタイプでは、匂いがしないことや気管支喘息に合併することが多いこと、そして手術しても鼻茸が再発しやすいことが特徴です。当科ではまず初めに手術を行い、再発を起こす場所の表面積をなるべく少なくします。それでも再発した場合には、非常に効果の高い注射のお薬を投与し、日常生活の質を高く保つようにします。

のどの手術

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    咽頭
  • のどの奥にある扁桃腺の手術は、昔と同じように行われています。口を大きく広げる器具をつけ、扁桃腺を引っ張りながら周囲の組織との境目を切っていきます。血が出たところは電気メスのようなもので焼いて止めたり、糸で縛ったりして止血します。

声帯ポリープや咽頭、喉頭の小さな腫瘍は、のどの奥を操作して摘出します。以前は顕微鏡を使って、口から一直線の視野を確保して手術していましたが、最近は内視鏡を使うことでさらに奥の部分も手術できるようになりました。

頭頸部腫瘍の手術

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頭頸部腫瘍とは、耳鼻咽喉科の領域、つまり頭蓋底から鎖骨上までの部位にできた腫瘍のことです。良性腫瘍、悪性腫瘍(がん)ともに手術を行いますが、悪性腫瘍の場合は手術後に放射線治療や抗がん剤などの追加治療を行うこともあります。悪性腫瘍で多いのは口の中の舌にできるがんです。小さいものであれば安全域をつけて切除することで治療が完結しますが、大きいものでは切除した部分を埋めるため、筋肉や皮膚など他の組織を移植して再建する必要があります。

声帯に生じる喉頭がんは、がんが小さいうちから声のかすれが生じるため、早期に見つかることが多いです。一方、咽頭(のどの後ろ側)にできるがんは、進行してから見つかることが多いため、大きな手術や放射線治療を追加する必要があります。とくに下咽頭(食道の手前、のど仏の後ろ側)にできた進行がんは、切除後に食べ物の通り道を再建する必要があり、小腸を移植します。進行した下咽頭がんの手術には、耳鼻咽喉科、消化器外科(小腸を採取)、形成外科(小腸の血管と首の血管を縫合して血流を再建)が同時に入ります。近年、健康診断や人間ドックの上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で早期の咽頭がんが見つかることがあり、耳鼻咽喉科と消化器内科と合同で、下咽頭がんに対する内視鏡手術を行うことがあります。

当科では、再建が必要な手術(進行した舌がんや下咽頭がんなど)は今のところ行っていません。喉頭全摘や頸部郭清(首のリンパ節と周囲の脂肪組織の切除)は可能です。

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    手術の様子
  • 頭頸部にはそれ以外にも、甲状腺や副甲状腺、唾液腺(耳下腺や顎下腺)などの臓器があります。これらの臓器にも良性腫瘍、悪性腫瘍ができることがあり、それぞれ手術を行っています。また嚥下機能が低下した場合に行う、嚥下機能手術(輪状咽頭筋切断、喉頭気管分離など)や気管切開(空気の通り道のバイパスを作る手術)も行っています。

以上、耳鼻咽喉科では機能を重視したものからがんの手術まで、様々な手術を行っています。

耳鼻咽喉科 医師紹介

耳鼻咽喉科

①専門分野/得意な領域 ②卒業大学 ③専門医・指導医・資格・公職等
  1. 塩野 理 (耳鼻咽喉科部長)
    ①鼻・副鼻腔領域 ②横浜市立大学医学部 ③日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医/日本気管食道科学会専門医/日本鼻科学会認定手術指導医制度暫定指導医/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医/医学博士
  2. 山田 将大(耳鼻咽喉科医長)
    ①耳鼻咽喉科全般 ②札幌医科大学医学部 ③日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医/厚生労働省認定補聴器適合判定医/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医/身体障害者福祉法第15条指定医/難病指定医/嚥下機能評価研修修
  3. 小林 惟(耳鼻咽喉科医員)
    ①耳鼻咽喉科一般 ②鳥取大学医学部 ③なし
  4. 【非常勤医師】田路 正夫
    ①耳鼻咽喉科全般 ②慶應義塾大学医学部 ③日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医
  5. 【非常勤医師】小川 郁
    ①耳科学・聴覚医学・頭蓋底外科 ②慶應義塾大学医学部 ③日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医・代議員/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会研修指導医/日本小児耳鼻咽喉科学会理事/日本気管食道科学会専門医・常任理事/日本聴覚医学会理事/日本耳科学会顧問/日本頭蓋底外科学会理事/日本頭頸部外科学会理事/国際耳鼻咽喉科学振興会理事/国際聴覚医学会理事/アジア・オセアニア国際頭蓋底外科学会評議員/医学博士