耳鼻咽喉科

当科の特徴(概要)

  • 耳鼻咽喉科スタッフ
    耳鼻咽喉科医師
  • 耳鼻咽喉科は頭蓋底から鎖骨までの領域のうち、眼球を除くすべての部分を扱います。耳、鼻、のどだけでなく、唾液腺、甲状腺、顔面神経のような臓器も含まれます。

    対象は新生児から成人、ご老人まで、そして男女とも診療しますので、耳鼻咽喉科を訪れる患者さんは文字通り老若男女を問いません。

当科の治療について

治療にはお薬を使う内科的な治療と、手術を行う外科的な治療の両方を行います。そのため耳鼻咽喉科診療では幅広い知識と技術が必要です。耳、鼻、のどは感覚が敏感な部位であり、患者さんはつらい症状に悩んでいます。患者さんのつらい症状を理解し、ともに病気を治療していくことを心掛け、診療に当たっています。

当院には高度な設備があり、検査や治療に際して大学病院レベルを目標とした診療を行っています。また病診連携を進め、当院でなければできない診療を集中的に行い、いったん病気が落ち着いた状態となれば、かかりつけ医への通院をお勧めしています。

対象疾患・治療法

  1. 耳科領域
  2. 鼻科領域
  3. 口腔咽喉頭領域
  4. 頭頸部腫瘍
  5. 甲状腺・副甲状腺

【1】耳科領域

標準純音聴力検査、耳鳴検査、ティンパノグラム、耳小骨筋反射検査、耳管機能検査、ABR(聴性脳幹反応検査)、画像検査(中耳内視鏡、レントゲン、CT、MRI)、補聴器適合検査などの検査が可能

耳科領域の主な疾患

突発性難聴

ある日突然、片方の耳が聞こえなくなり、聴力検査で感音難聴が判明すると、突発性難聴と診断されます。急性期の突発性難聴に対して入院の上、安静、ステロイド薬などの点滴、飲み薬により治療します。飲み薬で通院治療したものの改善が乏しい症例や、少し時間が経ってから病院を受診した場合でも、入院して急性期の場合と同様の治療を行うことがあります。ステロイド薬の鼓室内注入を行うことも可能です。

老人性難聴

めまいを生じる病気は様々で、耳(三半規管)が原因である場合だけでなく、脳や心臓、足腰に原因が見つかることがあります。
命の危険を伴う病気(脳梗塞や不整脈)によって生じるめまいが否定された場合や、難聴を伴う場合には耳鼻咽喉科で診療することになります。メニエール病やめまいを伴う突発性難聴では、突発性難聴に準じた治療を行います。めまいそのものを治す特効薬はありませんので、安静にし、水分や栄養分を点滴で補給することが主体となります。

急性中耳炎

中耳と鼻は耳管という管でつながっています。風邪を引いたとき、ウィルスやバクテリアが鼻の奥から耳管を通って中耳へ波及したものが中耳炎です。発熱や痛み、難聴、耳だれなどを伴います。
小さなお子さんの場合、自分で症状を伝えることができないため発見が難しいことがあります。ガイドラインに従ってお薬や鼓膜切開などを行います。繰り返す場合には鼓膜換気チューブを留置することがあります。

滲出性中耳炎

急性中耳炎の治りかけや鼻炎が原因で発症することがあります。痛みや発熱は伴わず、難聴や耳閉塞感があります。就学前のお子さんがかかることが多く、聞こえにくいため母国語の習得に支障をきたすことがあります。
鼻炎の治療で改善することもありますが、治りにくい場合には鼓膜切開や鼓膜換気チューブを留置することがあります。成人が罹患した場合、鼻の奥(上咽頭)に病気が見つかることがありますので、詳しい検査を行います。

慢性穿孔性中耳炎

鼓膜に穴が開いた状態が慢性化し、耳だれや難聴を伴います。お薬や手術によって治療しますが、中耳炎の状態によって治療方針が異なるため、詳しい検査を行います。

真珠腫性中耳炎

腫の文字が入っていますが、腫瘍細胞が増殖する病気ではなく、中耳炎の一種です。鼓膜が中耳の奥に吸い込まれ、上皮の組織が真珠のような塊となり、炎症を引き起こす状態です。
炎症によって周囲の粘膜や神経、骨などの組織を破壊することがあり、さまざまな合併症を引き起こすことがあります。詳しい検査を行い、早く治療方針を決めることが大切です。まれですが先天性のことがあります。当院では、耳の後ろを切開する手術と内視鏡を用いる手術の両方が可能です。

顔面神経麻痺

顔の動きを司る顔面神経は、耳の奥に位置する神経のため、耳鼻科で検査や治療を行うことがあります。お薬の治療と手術による治療(顔面神経減荷術)とがあります。

【2】鼻科領域

画像検査(鼻副鼻腔内視鏡、CT、MRI)、鼻腔通気度検査、アレルギー検査(採血)などの検査が可能

口腔咽喉頭領域の主な疾患

アレルギー性鼻炎

今や国民病と称される花粉症は、空気中に浮遊するアレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)によって生じるアレルギー性鼻炎の代表です。抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬などは症状を抑えるのに適したお薬です。
鼻粘膜の表面をレーザーで焼灼する治療、肥厚した鼻粘膜を必要な分だけ切除する下鼻甲介手術などは鼻詰まりに対して効果が高いです。舌下免疫治療(アレルゲンを精製したお薬を唾液と一緒に飲み込むことで、アレルギー反応を弱めるアレルゲン免疫療法)や生物製剤による治療(1シーズンに1-2回の注射)も行っています。

急性副鼻腔炎

誰でも、風邪を引くと黄色い鼻水や顔面の圧迫感、頭痛を伴うことがあります。鼻かぜのウィルスやバクテリアが、鼻の周りにある副鼻腔という空洞に炎症を引き起こすことで発症します。風邪が治るのと同時によくなることもあれば、症状が長引いてしまうこともあります。詳しい検査を行い、適切な治療が必要です。
非常に稀ですが、炎症が強いと、周囲にある臓器(眼窩や頭蓋底)に炎症が波及し、重篤な合併症を引き起こすことがあります。お薬や外来での処置、ときには入院して点滴したり緊急手術を行ったりすることがあります。

慢性副鼻腔炎

副鼻腔の炎症が3カ月以上長引くと慢性副鼻腔炎と診断されます。慢性的に感染が生じている場合や、アレルギーの体質が影響している場合、上あごの虫歯が影響している場合などがあります。鼻詰まり、膿性鼻漏、後鼻漏、鼻内の異臭、頬部痛、頭重感、前頭部や後頭部の頭痛、上あごの歯痛、鼻茸(ポリープ)などの症状があります。
まずはお薬による治療を開始しますが、数カ月経っても改善しない場合は手術を行うことが多いです。手術は基本的に鼻の中から内視鏡を用いて行うため、顔に傷がついたり歯茎を切ったりすることはありません。
近年、「好酸球性副鼻腔炎」という病気が話題となっています。気管支喘息の患者さんに合併することが多く、早期からにおいが鈍感になったり、食べ物の風味が分からなくなったりします。当科ではこの病気の手術や術後治療、難病申請に関する相談、生物製剤の導入や維持療法に力を入れています。

鼻中隔湾曲症・肥厚性鼻炎

日本人の半数以上は鼻中隔(鼻を右と左に仕切りする真ん中の壁)が曲がっていると言われていますが、これによって鼻閉、副鼻腔炎を繰り返す場合、手術の対象となります。
内視鏡で行うため、顔に傷はつきませんし鼻の外見が変わることもありません。以前は行っていなかった鼻の入り口の弯曲(前弯)の手術も可能です。
また慢性鼻炎やアレルギー性鼻炎によって下鼻甲介粘膜の肥厚が認められ、鼻閉が強い場合、手術で鼻閉を改善させることが可能です。同時に下鼻甲介の神経(後鼻神経)を切断することで、くしゃみや水様性鼻漏の発作を軽減させることができます。

【3】口腔咽喉頭領域

咽喉頭内視鏡検査、嚥下内視鏡検査、下咽頭食道造影検査、画像検査(CT・MRIなど)が可能

口腔咽喉頭領域の主な疾患

急性扁桃炎

風邪をひいて熱が出てのどが痛くなり、扁桃腺(口蓋扁桃)が腫れた状態です。飲み薬による治療が効かない時や飲食できない時は入院して点滴を行います。急性扁桃炎を年に何回も繰り返す場合、左右の口蓋扁桃を摘出することがあります。

扁桃周囲膿瘍

急性扁桃炎が進行し、口蓋扁桃の周りに膿が溜まった状態です。膿は切って出さないとさらに炎症が広がってしまいます。

閉塞性睡眠時無呼吸

口蓋扁桃や咽頭扁桃(アデノイド)が大きいために夜間の無呼吸が生じることがあります。大きな口蓋扁桃やアデノイドを手術で切除します。小児でも成人でも行います。

声帯ポリープ・声帯結節

声枯れの原因になります。声の出し方を指導しても改善しない場合、手術を行うことがあります。

声帯麻痺

様々な原因で片方の声帯が麻痺することがあります。声のかすれや飲食の際にむせ込みが生じます。麻痺して外側に寄ってしまった声帯を、手術によって中央に戻し、声のかすれを改善したり飲み込みやすくしたりすることがあります。

嚥下障害

加齢や呼吸不全、脳梗塞などの持病が原因で飲み込みが悪くなることがあります。詳しい検査をしたうえで、治療の方針を検討します。飲み込みをよくする手術や誤嚥(唾液や食べ物・飲み物が間違って気管に入ってしまうこと)を予防する手術を行うことがあります。

【4】頭頸部腫瘍

上述の検査に加え、PET検査が可能

頭頸部腫瘍の主な疾患

頭頸部腫瘍

耳鼻咽喉科領域(頭蓋底から鎖骨まで)に生じた腫瘍を指します。腫瘍には良性と悪性があり、治療方針が大きく異なります。良性腫瘍は手術で取り切れば治療が終了となります。悪性腫瘍の場合、病理組織診断や病気の進行具合によって治療方針が大きく異なります。
頭頸部は生命活動に必須の機能(呼吸、咀嚼、嚥下、発声など)を担う臓器があるため、綿密な治療計画が必要となります。当院では悪性腫瘍の手術や術後の放射線治療、抗癌剤を組み合わせた化学放射線治療を行うことが可能です。現時点で最も治療効果が高い標準治療を行っており、エビデンスに基づいたチーム医療を心掛けています。
今年度は再建を伴う大きな手術治療は行っていません。早期癌や喉頭全摘、頸部郭清術など再建が不要な手術、そして放射線治療(抗がん剤併用)は可能です。再発や転移の場合、定位放射線治療や分子標的薬による治療も行っています。腫瘍外来で担当医と詳しく相談して治療方針を決定します。
唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)の良性腫瘍、悪性腫瘍の手術も行っています。

【5】甲状腺、副甲状腺

耳鼻咽喉科と外科との境界領域で、当院では耳鼻咽喉科が手術を担当します。

甲状腺、副甲状腺の主な疾患

甲状腺腫瘍

首の前でのど仏のすぐ下、鎖骨の上に甲状腺という臓器があり、新陳代謝に関係するホルモンを作っています。自分で鏡を見て腫れているのに気付くこともあれば、検診やかかりつけ医で首のエコー検査を受けたときに偶然見つかることもあります。
全体的に腫れている場合はホルモンの異常であることが多く、一部分が腫れている場合は腫瘤性病変と呼ばれます。
腫瘤はのう胞(液体のたまったもの)だったり、腫瘍(細胞が詰まったもの)だったりします。充実性の腫瘍で2センチを超えるものは、細胞診検査(針を刺して細胞を吸い取り、顕微鏡で見る検査)が必要になります。そして悪性腫瘍が強く疑われた場合、手術が必要になることがあります。

バセドウ病

免疫システムの異常によって甲状腺の機能が亢進し、甲状腺全体が腫れている状態です。通常はお薬で管理可能ですが、重症でお薬でもコントロールできない場合は手術で甲状腺を全摘することがあります。術後は甲状腺ホルモンのお薬が必要になります。

副甲状腺腫瘍

甲状腺の裏側に、上下左右4つ、米粒くらいの小さな臓器があり、副甲状腺または上皮小体と呼ばれます。カルシウムの血中濃度を調整しています。副甲状腺の腫瘍のうち副甲状腺ホルモンを過剰に分泌するものは手術で摘出することがあります。