広報紙 vol.66しんゆりニュースレター

2023/9/1掲載

腎臓内科・透析内科特集

腎臓内科・透析内科特集|広報紙

尿異常から透析まで
~インターベンショナルネフロロジストを擁する腎臓内科~

  • 新百合ヶ丘総合病院
    腎臓内科・透析内科 部長
    まつい かつおみ
    松井 勝臣 医師
  • 【プロフィール】
    2003年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。03年~聖マリアンナ医科大学病院内科研修医。05年~08年医療法人鉄蕉会亀田総合病院総合診療感染症内科・腎臓内科。08年~11年聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科(腎臓・高血圧内科学専攻)大学院博士課程修了。11年~聖マリアンナ医科大学内科学腎臓・高血圧内科助教、川崎市立多摩病院医長。15年~横浜市西部病院腎臓・高血圧内科主任医長。16年~聖マリアンナ医科大学内科学腎臓・高血圧内科講師。17年~横浜市西部病院腎臓・高血圧内科副部長。23年4月より現職、聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科非常勤講師。
  • 2023年に着任しました腎臓内科・透析内科の松井勝臣です。当科は健康診断などで発見される検尿異常から糸球体腎炎精査のための腎生検、腎臓の機能が低下する慢性腎臓病、そして腎臓の機能が廃絶する末期腎不全、透析導入・管理に至るまで、腎臓病のすべての病期に対して診療を行っております。他疾患で治療中の患者さん、腎臓病の患者さんで多く見られる水・電解質異常に対しての診療も当科の得意分野です。

    また、高血圧患者さんの診療も行っており、健診で高血圧を指摘された患者さん、数種類の降圧薬でもコントロールが難しい難治性高血圧の患者さんに対する栄養指導を含めた生活指導から原因精査・薬物治療も行っております。

    当科の特徴の一つとして透析関連の手術をすべて腎臓内科・透析内科で実施していることが挙げられます。当科は6人の医師で構成されておりますが、全員が内科医でありながら手術や血管内治療も行う“インターベンショナルネフロロジスト”です。

  • これは簡単に申し上げると“手術も行う腎臓内科医”のことです。「内科なのに手術?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、20年以上前から海外では腎臓内科医のsubspecialty(サブスペシャリティ)の一つとして手術手技を行うInterventional Nephrology(インターベンショナルネフロロジー)が存在します。私は内科の専門医・指導医であり、腎臓内科の専門医・指導医、透析の専門医・指導医、そして腎移植の専門医でもあります。一般内科から腎臓内科、透析内科、腎移植内科に至るまで、幅広く患者さんの診療にあたっておりますが、それと同時に透析関連の手術も多数執刀しております(2022年度は年間602件の手術を行っています)。

    当科は県下有数の腹膜透析実施施設であり、その導入手術から合併症の手術治療に至るまで当科で行います。それと同時に、血液透析患者さんのバスキュラ・アクセス手術も実施しております。定期的なアクセス管理から緊急時対応まで、今後はさらに地域の皆様に貢献できるよう尽力してまいります。

【目次】

腎臓内科・透析内科の外来

当科の外来は対象患者さんに応じて3つの専門外来と1つの多職種外来があります。インターベンショナルネフロロジストを擁する当科ならではの診療体制となっております。

それぞれの特徴をご紹介させていただきます。

①腎臓内科外来(月曜日~土曜日、午前)

  • ①腎臓内科外来(月曜日~土曜日、午前)
  • 健診での尿異常や腎機能異常、慢性腎臓病患者さんの定期外来、水・電解質異常、遺伝性腎疾患(多発性のう胞腎、アルポート症候群など)、高血圧など、腎臓、血圧に関わる疾患の診療を行っています。慢性腎臓病では徐々に腎機能が低下しますが、適切な時期に腎専門医の介入を行うことで患者さんの予後が改善されることが示されています (表1)。日本腎臓学会が作成したご紹介基準をご参照ください。この基準に関わらず患者さんのご紹介を承ります。

かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準

②腹膜透析外来(月曜日~金曜日、終日)

  • ②腹膜透析外来(月曜日~金曜日、終日)
  • 腹膜透析患者さんの診療を行っています。当院では透析室の外来ブースで診察しております。

    腎臓内科外来に通院していた患者さんの腹膜透析カテーテル挿入手術・透析導入から退院後の腹膜透析外来診療まで、シームレスな管理を行っております。他院通院中の腹膜透析患者さんの合併症など、診察・手術依頼も承ります。

③バスキュラ・アクセス外来(月曜日・火曜日、午前)

  • ③バスキュラ・アクセス外来(月曜日・火曜日、午前)
  • これから血液透析を導入される患者さんのシャント術前評価・手術前診察、血液透析患者さんのアクセス管理 (定期受診、緊急時対応)を行っております。

    診察時は理学所見とともにエコー検査も外来ブースで実施しており、インターベンショナルネフロロジストである専門医が患者さんにとっての最適な治療プランをご提案いたします。他院通院中の血液透析患者さんのアクセストラブルもご相談いただければ対応いたします。

かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準 透析VAIVT2022 透析バスキュラーアクセスインターベンション治療医学会 P.35より引用

④療法選択外来(多職種外来)

慢性腎臓病は進行性の疾患であり、徐々に腎臓の機能は低下してきます。腎臓の機能が低下するスピードを遅らせるため、①腎臓内科外来では生活指導や服薬管理を行いますが、それでも腎臓の機能が低下し、推算糸球体濾過量(eGFR)が30 ml/分/1.73㎡を下回った場合、療法選択外来にて今後の腎代替療法 (腹膜透析、血液透析、腎移植、CKM*)について詳しく説明します。腎代替療法はお仕事や生活のリズムが大きく変わってしまう可能性があるため、専門資格を持った医師、看護師などが治療の説明だけではなく、生きがいやライフスタイルを考慮して、患者さん・ご家族が主体的に治療を選択できるように時間をかけて面談を行います。それぞれの治療を十分に理解し、保存期の段階から早期に腎代替療法をイメージすることは、その後の前向きな生活にとても大切なことだと考えます。

*CKM(Conservative kidney management:保存的腎臓療法)について

末期腎不全に達した患者さんが腎代替療法(腎移植、腹膜透析、血液透析)を希望しない場合や維持透析患者さんが透析療法の継続を中止する場合に、尿毒症症状(嘔気や呼吸困難など)や苦痛の軽減のために実施される保存的な治療で、腎臓内科的管理から緩和医療までを包括してCKMと呼びます。当院では患者さんならびにご家族のご希望を伺い、多職種で相談の上、今後の最適なプランをご提案させていただきます。

腎代替療法のイメージ 腎代替療法のイメージ

腎代替療法は患者さんの残っている腎機能 (残腎機能)、生活背景、既往歴などから選択を行いますが、当院では生活の質が落ちず、心血管系への負荷が少ない腹膜透析から開始することを勧めております (PDファースト)。また超高齢者などで在宅での介護を要する患者さんへも腹膜透析を自宅で行っていただき、住み慣れた環境下でご家族と最期を迎えられるよう、腹膜透析の在宅医療支援も行っております。インターベンショナルネフロロジストを擁する当科では透析導入時のみならず、透析導入後の管理についても手術を含め行いますので、患者さんにはご安心いただける体制となっております。

ドクターコラム「残存腎機能の重要性~PDファーストという考え方~

腎臓内科・透析内科 医師紹介

腎臓内科・透析内科 医師紹介ページ

①専門分野/得意な領域 ②卒業大学 ③専門医・指導医・資格・公職等
  1. 篠﨑 倫哉(血液浄化療法センター長/腎臓内科・透析内科統括部長)
    ①腎臓疾患全般、ブラッドアクセス・腹膜アクセス手術、透析療法(腹膜透析・血液透析)を含めた血液浄化療法 ②九州大学医学部 ③日本透析医学会専門医/日本腎臓学会認定腎臓専門医・指導医/日本内科学会認定医・総合内科専門医
  2. 松井 勝臣(腎臓内科・透析内科部長)
    ①腎臓内科学全般、透析療法全般、腹膜透析関連の手術ならびにバスキュラアクセス作成・管理 ②聖マリアンナ医科大学医学部 ③日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医/日本透析医学会透析専門医・指導医/日本腹膜透析医学会認定医/日本腎臓学会認定腎臓専門医・指導医/腎代替療法専門指導士/日本臨床腎移植学会認定医/日本移植学会認定医/厚生労働省臨床研修指導医/医学博士
  3. 稲永 亮平(腎臓内科・透析内科医長)
    ①腎臓内科・透析内科一般 ②杏林大学医学部 ③日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医/日本腎臓学会認定腎臓専門医・指導医/日本透析医学会専門医
  4. 堀 圭一郎(腎臓内科・透析内科医員)
    ①腎臓内科・透析内科一般 ②岩手医科大学医学部 ③日本内科学会認定内科医
  5. 村木 直弘(腎臓内科・透析内科医員)
    ①腎臓内科・透析内科一般 ②信州大学医学部 ③日本専門医機構認定内科専門医/日本透析医学会専門医/日本腎臓学会認定腎臓専門医
  6. 朝比奈 謙吾(腎臓内科・透析内科医員)
    ①腎臓内科・透析内科一般 ②山梨大学医学部 ③なし