広報紙 vol.51しんゆりニュースレター

2022年4月1日掲載

産婦人科(産科)特集

地域に根ざした産科医療への取り組み

  • 新百合ヶ丘総合病院
    産婦人科 産科部長
    ひぐち たかゆき
    樋口 隆幸 医師
  • 【プロフィール】
    2001年慶應義塾大学医学部卒業、同産婦人科学教室入職。2005年同周産期研究室所属。2008年川崎市立川崎病院産婦人科配属。2018年同産科担当部長就任。2020年より現職。
    日本産科婦人科学会専門医・指導医/日本超音波医学会超音波専門医・指導医(産婦人科)/日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)/日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医/母体保護法指定医
  • 当院は開院より9年経過し、地域の産科医療体制の確保のため妊婦健診や分娩に取り組んできました。近隣にお住まいの妊婦さんに安心してマタニティライフを過ごしていただけるように努めています。

    また、当院の産婦人科診療の二本柱は腹腔鏡・子宮鏡低侵襲手術高度生殖医療となっており、不妊症に悩む患者さんが数多く来院されます。

    専門医による子宮筋腫や子宮内膜症に対する内視鏡手術、生殖補助技術である体外受精・顕微授精を経て無事に妊娠した患者さんが、そのまま円滑に妊婦健診に移行できることが当院の強みです。

    現在、当院には産婦人科医師が20名在籍し、その多くが産科医療にも携わっています。実際に、患者さんの内視鏡手術や不妊治療を担当した医師が、妊娠健診や分娩を担当することもあり、妊婦さんにとっては安心感につながるものと考えています。

    妊婦さんにはもうすぐお母さんになる期待感がある一方で、順調に出産まで過ごせるのか、無事に健康な赤ちゃんを出産できるのかという不安がつきまとうものです。

  • 当院では妊婦さんの不安を解消し、妊娠・出産がかけがえのない体験となるようにサポートしたいと考えています。妊婦健診では定期的な胎児超音波検査と助産師指導、出産入院中には機能的なLDR室(陣痛から出産、回復までの時間を1つの部屋で過ごすことができます)、快適な全室個室、栄養士監修による食事などを取り入れ、的確な診断、安全性の確保とともに、温かい雰囲気の中で妊婦さんが健診や出産に臨める環境作りを目指しています。

    また、無痛分娩、産後ステイなどのオプションを用意し、多くの妊婦さんにご満足いただける体制を整えるように努めています。里帰り出産も受け入れていますので、安心してご相談ください。

    当院の分娩数は例年400件前後であり、内視鏡手術や不妊治療の件数と比較すると小規模です。しかしながら産科医療も少しずつ充実を図り、現在は日本周産期・新生児医学会が認定する周産期専門医が4名在籍する体制となりました。

    周産期専門医は安心・安全な妊娠・出産を望むご家族をサポートするスペシャリストです。今後も地域の妊婦さんに適切な妊婦健診や分娩を提供できるように努力していきます。

【目次】

胎児超音波検査

現在、当院の妊婦健診では3名の超音波専門医(非常勤医1名を含む)を中心に10名前後の産婦人科医師が胎児超音波検査を行っています。妊娠5カ月から9カ月の間に計4回の検査の機会を設け、赤ちゃんの推定体重や羊水量を計測します。さらに胎児超音波スクリーニングといって、赤ちゃんの先天的な異常がないかを詳しく調べます。

胎児超音波スクリーニングのチェック項目は赤ちゃんの脳、顔、脊椎、心臓、肺、胃腸、腎臓、膀胱、性器、四肢、さらには胎盤、臍帯と多岐にわたります。

胎児超音波検査によって100%ではありませんが、赤ちゃんが生まれてすぐに治療が必要になるもの、ならないものまで、病気の有無を知ることが可能です。生まれる前に赤ちゃんの病気がわかると、妊婦さんが出産前から心構えをもったり、必要であれば赤ちゃんが生まれてすぐに高度な医療を受ける体制が整えられるメリットがあります。

もし何らかの異常が見つかった場合には、赤ちゃんにとって最適な分娩や小児科の治療を目的として、高次医療機関である周産期センターや大学病院に紹介させていただくこともあります。

当院は妊婦さんへのサービス向上の取り組みとして、胎児超音波検査に高性能な機器を導入して3D/4Dエコーを行っています。3D/4Dエコーは赤ちゃんの顔や手足などの立体のイメージを作り出し、その映像は妊婦さんだけでなく、ご家族にとっても赤ちゃんに対する愛着が湧くものとなります。

皆さんに3D/4Dエコーを楽しんでいただきたいと考えていますが、常にご満足いただけるイメージを映し出せる訳ではありません。3D/4Dエコーに適した時期は妊娠20週頃から30週頃までで、しかも限られた健診時間の中での撮影となり、赤ちゃんの位置や向きによってはうまく映らないこともありますのでご了承ください。

当院で撮影された胎児3Dエコー

無痛分娩

  • 分娩室分娩室
  • 当院では硬膜外麻酔による無痛分娩を行っています。無痛分娩には陣痛を緩和し、母体の疲労を軽減するメリットがあります。当院は患者さんの安全性を最優先に考え、産科麻酔の経験を積んだ麻酔科医が硬膜外麻酔を直接管理する体制を整えています。

そのため無痛分娩は人数制限のある予約制となり、さらには分娩予定日前後の日程での計画分娩となります。現在ご好評いただいており、妊娠3カ月頃までに受診し予約を取っていただかないとご希望に添えないことがあります。分娩予定日次第では早めに予約を締め切ることもありますのでご容赦ください。

産後ステイ

  • 産後ステイセット産後ステイセット
  • 出産後から数カ月程度、お母さんは赤ちゃんとの生活で慣れないことが多く、自宅では手伝ってくれる人がいない、授乳がうまくいかない、お世話の仕方や生活リズムがわからない、出産の疲れから体調が回復しないなど、悩みや困りごとがつきないものです。

しかしながら、この時期にゆったりと安心して過ごして心身の状態を整えることが、育児という長い道のりを楽しみながら健やかに過ごしていくための基礎となります。そこで当院では、出産後3カ月未満のお母さんを対象に、育児のスタートの支援として産後ステイのサービスを提供しています。

産後ステイのタイプとして宿泊あるいは日帰りを選択することができます。ステイ中には助産師がお母さんの休養と体力回復に向けてケアを提供します。お母さんは赤ちゃんとともに個室でリラックスした時間を過ごすことができます。

ケアプランはお母さんの体調やご希望に合わせて個別に作成されますが、赤ちゃんのケアとして体重・黄疸・排泄のチェック、沐浴、スキンケア、お母さんのケアとして育児相談、沐浴や授乳の方法の指導、乳房トラブルの手当て、アロママッサージなどが行われます。県内の総合病院で産後ステイのサポートを設けている施設は多くありません。ぜひ当院の産後ステイで、お母さんが少しでも安心して自宅での育児をスタートできるようお手伝いさせてください。

  • 産科病棟のスタッフステーション産科病棟のスタッフステーション
  • 産後ステイに使用される個室産後ステイに使用される個室
産婦人科を受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)※月~土(日・祝日除く)
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産婦人科医師紹介

(2022年3月現在)

  1. 専門分野/得意な領域
  2. 卒業大学
  3. 専門医・指導医・資格・公職等
  • 浅田 弘法(低侵襲婦人科手術センター長/産婦人科 統括部長)

    1. 腹腔鏡手術(良性・悪性)
    2. 慶應義塾大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会認定医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本産科婦人科学会産婦人科指導医
  • 田島 博人(産婦人科 部長)

    1. 生殖医学・内視鏡下手術・遺伝医学
    2. 慶應義塾大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医/日本産科婦人科内視鏡学会子宮鏡技術認定医
  • 竹本 周二(産婦人科 科長)

    1. 婦人科腫瘍
    2. 福岡大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医・指導医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医/日本産科婦人科内視鏡学会子宮鏡技術認定医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本内視鏡外科学会技術認定医
  • 樋口 隆幸(産婦人科 産科部長)

    1. 産科・胎児超音波
    2. 慶應義塾大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医・指導医/日本超音波医学会超音波専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)/日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔 鏡技術認定医
  • 浅井 哲(産婦人科 医長/東海大学医学部医学科客員講師)

    1. 腹腔鏡手術(良性・悪性)、胎児超音波
    2. 慶應義塾大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)/日本超音波医学会超音波専門医・指導医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 原 周一郎(産婦人科 医長)

    1. 生殖、内分泌
    2. 山形大学医学部医学科卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医・指導医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本内視鏡外科学会技術認定医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
  • 奥野 さつき(産婦人科 医長)

    1. 婦人科一般
    2. 島根医科大学卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医/日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医
  • 佐藤 美和(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 長崎大学医学部医学科卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本産科婦人科内視鏡学会子宮鏡技術認定医
  • 大久保 はる奈(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 獨協医科大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医
  • 有馬 宏和(産婦人科 医長)

    1. 婦人科腫瘍、腹腔鏡手術(良性・悪性)
    2. 慶應義塾大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医・指導医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医/日本内視鏡外科学会技術認定医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 益子 尚子(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 自治医科大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医
  • 佐々木 恵子(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 杏林大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
  • 仙道 可菜子(産婦人科 医長)

    1. 周産期領域
    2. 山形大学医学部医学科卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
  • 安藤 まり(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 近畿大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医
  • 高松 愛(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 福井大学医学部医学科卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医
  • 深瀬 実加(産婦人科 医長)

    1. 周産期領域
    2. 山形大学医学部医学科卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
  • 神野 友里(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 和歌山県立医科大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医/日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
  • 別宮 若菜(産婦人科 医長)

    1. 産婦人科一般
    2. 日本大学医学部医学科卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医
  • 菊地 まほみ(産婦人科 医員)

    1. 産婦人科一般
    2. 東京女子医科大学医学部卒業
    3. 日本産科婦人科学会専門医
  • 山田 泰平(産婦人科 医員)

    1. 産婦人科一般
    2. 順天堂大学医学部卒業