広報紙 vol.45しんゆりニュースレター

常勤医師17人の新診療体制で、多岐にわたる治療にあたる

  • こくぶ しげひろ
    國分 茂博 医師
  • 【プロフィール】
    1978年北里大学医学部卒業。89年北里大学医学部内科学Ⅰ講師(消化器内科)。2006年順天堂大学医学部附属練馬病院消化器内科助教授。Best Doctors in Japan選出。07年順天堂大学医学部大学院消化器内科先任准教授。14年より現職。
    日本肝臓学会/超音波医学会/消化器内視鏡学会/消化器病学会;専門医・指導医
    日本門脈圧亢進症学会技術認定医(IVR)

    日本医師会疑義解釈委員、厚労省保険適応検討委員、
    日本門脈圧亢進症学会理事長、肝癌診療ガイドライン2021評価委員(肝臓学会)
  • 昨年4月完成もコロナ禍で、7月にフルオープンした新棟(B棟)のエスカレーターを望む採光豊かなエントランス その風情はそこに行き交う患者さん、ご家族とともに当院で働くスタッフにも、コロナ禍の先の未来に立ち向かう前向きな心を与えてくれるかの如く映えています。

    昨年度当初は、外来・入院患者数など減少傾向となりましたが、新棟フルオープン以降は徐々にその稼働は回復へと転じております。あれから1年 2021年4月より、当院消化器内科は横浜市立大学附属病院肝胆膵消化器病学より新たに6人の精鋭の医師を迎え、井廻道夫消化器・肝臓病研究所所長、廣石和正副院長、袴田拓予防医学センター消化器内科部門部長をはじめ、総勢17人で診療にあたっております。

    消化器内科は管腔臓器である上部・下部消化管(大久保恒希医長)と、実質臓器である肝臓・膵臓・胆嚢の疾患(土肥弘義部長)を扱ってきました。新任の先生方のうち今城健人部長には非アルコール性脂肪肝や肝がんの治療、鹿野島健二医長には当院が手薄であった炎症性腸疾患を中心に消化管を担っていただきます。新たな6人の医師の力は大いに感じており、期待しております。

  • 私の主たる仕事は母校の北里大学、前任の順天堂大学練馬病院の頃から継続する肝臓癌に対する経皮的ラジオ波治療(RFA)と分子標的薬/免疫抗体チェックポイント阻害剤の併用療法と、もう一つの専門は肝臓と消化管を繋ぐ門脈という血管に由来する門脈圧亢進症の治療です。現在その学会の理事長を務めておりますが、2014年に当院へ赴任して以来、有り難いことに都内や神奈川県内の医療機関より難治性胃食道静脈瘤、肝性脳症、門脈血栓など、多くのセカンドオピニオン症例をご紹介いただいております。当院には近隣の先生方の登録医制度があり、コロナ明けには連携体制をさらに強化していく所存です。

    また院内他科の先生方には、以前から転移性肝がんのRFAをご紹介いただいておりますが、まだ本治療法の際、針生検で免染に十分な組織が得られることやRFAに加えマイクロウェーブを用いて腫瘍径4.2㎝まで治療適応があることは周知されておりません。切除後の再発や非切除化学療法例の肝転移の治療選択肢に加えていただければ幸いです。

    今後とも新たな消化器内科の診療体制の構築には近隣の先生方、院内各部署のご協力が欠かせません。何卒よろしくお願い申し上げます。

消化器内科の新体制

副院長/消化器内科部長 廣石 和正

消化器内科は、消化管である食道、胃、十二指腸、小腸、大腸と、腹部の実質臓器である肝臓、胆嚢・胆道、膵臓の病気を専門的に診させていただいております。従いまして、飲み込みの悪さ、胸痛、胸焼け、胃痛・腹痛、背部痛、吐血・下血、血便、便通異常、黄疸、腹部膨満感などの多くの症状や、健診で指摘された臓器障害、画像所見の異常なども私どもの科の診療対象となります。新百合ヶ丘総合病院では、この2021年4月に6人の医師が消化器内科に加わり、現在、常勤医17人で、多岐にわたる疾患について、それぞれの医師の専門性も踏まえて手厚く外来や検査、処置、治療などの診療を行っています。

消化器疾患に対する治療は日進月歩であり、症状が見られないうちに発見し治療することにより、大きく体に負担のかかるような検査や治療を行わずに完治が期待できる疾患が増えてきていることから、腹部に症状がある方はもちろん、たとえお腹の症状がなくてもご自身の消化管や腹部臓器に不安を抱えておられる方は、お気軽に受診していただきたいと思います。

私たちは今後特に、強い腹痛、吐血・下血、血便などの緊急性を要する消化器疾患に対する診断や治療をさらに迅速に行えるように体制を充実させ、地域の皆様のお役に立てるよう努力していきたいと考えています。

内視鏡治療

消化器内科医長 大久保 恒希

内視鏡治療としては、消化管にできたポリープ・がんに対しての内視鏡的大腸ポリープ切除術(EMR)や、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行なっております。特に当院では、難易度が高く専門性に富むESDに力を入れております。高齢化が進み、臓器侵襲性の少ないESDは今後、ますます普及するものと考えております。当院は地域の基幹病院として、専門性に富むESDも施行可能となっておりますのでご相談ください。
◆食道、胃、大腸の消化管の部位を問わず、施行可能。
◆瘢痕化が強い症例や点墨後症例、憩室近傍症例、虫垂孔近傍症例にも対応。
◆耳鼻咽喉科と合同し、早期咽頭がん、頚部食道がんのESDも施行。

High Volume Centerで培った知識と経験を生かし、合併症の少ない安全な内視鏡治療を提供しております。食道、胃のESDは通常1週間程度、大腸のESDは通常4日程度の入院期間で行なっております。

月に一度、北里大学低侵襲光学治療学(内視鏡治療学)の田邉聡教授をお招きし、難重症例へのご指導をいただき、内視鏡治療チーム全体の技術向上を図っております。

  • 《胃ESD例》胃内に20mm大の早期胃がんを認め、ESDで治癒切除
  • 《大腸ESD例》 大腸に50mm大の早期大腸がんを認め、ESDで治癒切除

炎症性腸疾患(IBD)

消化器内科医長 鹿野島 健二
  • 炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease/IBD)は潰瘍性大腸炎とクローン病の2疾患を代表とする疾患群で、ヒトの免疫異常により消化管の炎症を生じ、下痢・腹痛・血便などの症状を引き起こします。病気の原因は不明で根治する方法が確立していないことから一度発症すると長期間にわたる治療が必要となり、国から難病に指定されています。

発症後すぐにいのちに直結することは稀ですが、長期経過(特に治療が不十分な際)ににより、がんの発症や消化管に穴が開くなどの致命的な病気になることがあります。昨今では全世界で増加傾向にあり、かつ幅広い世代・人種がかかる病気であることが知られてきました。

治療目標は日常生活に支障をきたさないようにすることです。また症状が軽くても、検査で見える炎症をできる限り落ち着かせることが、危険な合併症や再燃(症状が悪くなること)を減らすことがわかっており、専門的な治療が求められる領域になっています。当院では2021年4月より炎症性疾患専門医の外来診察が始まりました。世界的に注目を集める領域のため診療・治療方法は日進月歩であり、治療の工夫で健康な人に近い水準の日常生活を送れるケースも増えています。治らない持病だから・慣れたからと諦めずに、専門医へご相談ください。

胆道・膵臓の検査・治療

消化器内科部長 土肥 弘義
  • 胆道(胆嚢・胆管)や膵臓の病気は、健康診断で偶然異常を指摘される無症状の場合も多く存在します。診察に加えて血液検査や超音波・CT・MRIなどの画像検査を組み合わせて診断しますが、より詳細な検査や病理組織診断が必要な場合などは、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡検査(EUS)も積極的に行っています。当院では、胆膵領域の第一人者である埼玉医科大学国際医療センター消化器内視鏡科の良沢昭銘教授、帝京大学溝口病院消化器内科の土井晋平准教授が毎月、検査・治療を行なっており、より高い診療レベルを目指しています。

    ◆結石の検査・治療

    胆石は、約20%の人に症状を起こします。一時的な発作だけでなく、強い炎症を起こした場合(胆嚢炎・胆管炎)などには、超音波や内視鏡下にドレナージ治療を行います。総胆管結石や胆管炎では内視鏡を用いて、胆管結石の除去や胆道ステント留置を行います。胆嚢結石が存在し、再発の懸念がある場合には胆嚢摘出術をお勧めすることがあります。

◆膵臓がん・胆嚢がん・胆管がんの検査・治療

がんでは、症状がわかりづらいことが多くあります。超音波内視鏡検査は膵臓・胆道により近い胃や十二指腸から観察を行うことができ、病理診断が必要な場合には超音波内視鏡下吸引細胞診 (EUS-FNA)を行うことも可能です。がんのもっとも有効な治療は手術であり、早期に発見され切除可能と診断されれば、消化器外科科と連携して加療します。切除が難しい場合は、入院・外来での抗がん剤治療を行います。腫瘍による閉塞性黄疸をきたした場合には、ERCPを施行してプラスチックや金属のステントを胆道に留置し、黄疸を改善させることが可能です。がんは症状が乏しいことが多く、大切なのは早期発見です。慢性膵炎や膵管内乳頭状粘液産生腫瘍(IPMN)にはがんが合併しやすいと報告されており、当院では超音波内視鏡検査も積極的に行なっていますので、是非ご相談ください。

肝臓の検査・治療

消化器内科部長 今城 健人

肝臓は沈黙の臓器といわれており、肝臓の中で炎症が起こる肝炎や、線維化が生じて硬くなる肝硬変に至ってしまっても大きな症状はございません。これが逆に怖いところで、肝硬変から肝臓がんへと至っても気づかれずに進行してから見つかることも少なくありません。肝硬変へと至る疾患として、B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎のみならずアルコール性肝炎や肥満による脂肪肝から肝炎を生じる、非アルコール性脂肪肝炎(NASH;ナッシュ)といった疾患も増えてきております。

これまでは、肝臓の線維化(硬さ)を調べるためには肝臓に針を刺して組織を採取する、肝生検が必須でした。しかしながら、肝生検は痛みや出血のリスクを伴うため、安易にはできないというデメリットがございます。そこで近年、特殊な超音波やMRIを利用して肝臓の硬さを測定する、エラストグラフィが開発されました。患者さんへの痛みはなく、超音波エラストグラフィでは5分程度、MRエラストグラフィでは20分程度で肝臓の硬さと脂肪の量を測定することができます。

この検査を行うことで肝臓の状態が悪いため、肝生検が必要となる患者さんを絞り込むことが可能です。肝臓の状態が気になる方、是非一度この検査を受けていただきたいと思います。

また、当院では肝細胞がんや転移性肝がんに対しての内科的治療、特に局所治療(ラジオ波焼灼療法やマイクロ波凝固療法)、カテーテルを用いた化学塞栓療法や新しい化学療法にも力を入れております。特に局所治療では鎮静剤や鎮痛剤を使用しながら、できるかぎり患者さんに眠っていただき、苦痛少なく治療を行うことを心がけております。

治療方針につきましても、カンファレンスで外科の医師と連携しながら的確な治療を行えるように努めております。これからも何卒よろしくお願いいたします。

消化器内科医師紹介

  1. 卒業大学
  2. 専門分野/特異な領域(敬称略。順不同)
  1. 井廻 道夫(消化器・肝臓病研究所所長)
    ①東京大学医学部 ②肝臓病学・消化器病学

  2. 國分 茂博(肝疾患低侵襲治療センタ―/内視鏡センター センター長)
    ①北里大学医学部 ②肝臓がんに対するラジオ波治療などの局所療法、EOB-MRI、MRElastographyによる診断、門脈 圧亢進症の治療

  3. 廣石 和正(副院長/消化器内科部長)
    ①昭和大学医学部 ②消化器疾患全般

  4. 袴田 拓(消化器内科科長/予防医学センター消化器内科部門部長)
    ①筑波大学医学専門学群 ②肝疾患および消化器疾患、健診部門

  5. 土肥 弘義(消化器内科部長)
    ①昭和大学医学部 ②肝胆膵疾患

  6. 今城 健人(消化器内科部長)
    ①金沢大学医学部医学科 ②肝臓疾患全般、非アルコール性脂肪 肝疾患診療、肝細胞がん治療(ラジオ波焼灼療法・カテーテル治療)

  7. 石井 成明(消化器内科/肝臓内科科長)
    ①昭和大学医学部 ②消化器疾患全般

  8. 天野 由紀(消化器内科医長)
    ①横浜市立大学医学部 ②消化器疾患全般

  9. 鹿野島 健二(消化器内科医長)
    ①信州大学医学部医学科 ②小腸・大腸(炎症性腸疾患/IBD)

  10. 河合 恵美(消化器内科医長)
    ①群馬大学医学部 ②消化器疾患全般

  11. 大久保 恒希(消化器内科医長)
    ①杏林大学医学部 ②消化器内視鏡による診断、治療/早期食 道がん・胃がん・大腸がんに対する内視鏡治療/胆膵疾患に対する内視鏡診断、治療

  12. 土谷 一泉(消化器内科医長)
    ①香川大学医学部 ②早期食道・胃・大腸がんの内視鏡切除/内 視鏡治療全般

  13. 田邉 浩紹(消化器内科医長)
    ①山梨大学医学部医学科 ②早期消化器がんの内視鏡治療/消化 器疾患全般

  14. 川村 允力(消化器内科医員)
    ①島根大学医学部医学科 ②消化器疾患全般

  15. 二森 浩行(消化器内科医員)
    ①昭和大学薬学部、東海大学医学部 ②消化器疾患全般

  16. 西田 晨也(消化器内科医員)
    ①東京医科歯科大学医学部 ②消化器疾患全般

  17. 永井 康貴(消化器内科医員)
    ①北里大学医学部医学科 ②消化器疾患全般